【コラム】

どこでもサイエンス

102 地球は、どう、動いてる?

102/111

人類はながいこと、地球は動かないという「天動説」を信じていました。一方、現在の私たちは、地球が動いていることを知っています。16世紀にコペルニクスが唱えた「地動説」ですなー。というか「説」ではなく、事実として知っているわけです。じゃあ、地球は、どう、動いているのでしょうか。ざっくりご紹介いたしましょう。

地球は動いている。でも、そのショーコはあるのか? これはなかなか難題です。かつてジョン・レノンによって「fool on the hill(直訳すると"丘の上の馬鹿者"という感じでしょうか)」といわれたガリレオは、「それでも、地球は動いている」と言って、1616年と1636年の2回、友人の! ローマ教皇ウルバヌス8世も参加した異端審問、つまり宗教的にまちがっている発言ケシカラン裁判にかけられ、2回目の裁判のあと、当初は終身刑、後に軟禁を命じられました。

つまり、指定の場所からでるな、ということですな。これ、わりと引きこもり体質な私でもかなりキツイです。まあ、3日で草が生えますな。ガリレオは1642年、つまり蟄居6年目に亡くなっています。失意の果て…でもなかったみたいですが、1564年生まれですから77~78歳…かなり長生きやん…で亡くなっています。

さて、ガリレオはなーんで異端審問にかけられたかというと、まあ、地動説を支持し、それを本に書いたからですな。キリスト教の旧約聖書には、神様が「太陽とまれ」と命令したとかいう記述があって、地球が動くのだとこれとあわないとかいうのがよくある説明です。実際は、口が悪かったので「あいつ、あかんやつや」とチクられたからみたいですね。

さて、その口実をあたえた地動説ですが、ガリレオは、望遠鏡で金星を見て、確信をもったとされています。以下の写真はガリレオのスケッチなんですが、金星が満ち欠けをし、しかもほぼ満月状態が一番小さくなるんですね。これは、地球の周りを金星と太陽がまわる天動説だとありえない照射角度なんですな。えーっという方は、いちおう中学校の理科で習うことなので、考えてみてくだされ。ちょっとした頭の体操になりますよ。

ガリレオによる金星の満ち欠けのスケッチ (出所:世界天文年2009 Webサイト、(C) Museo Galileo)

さて、その後、遠方の星が周期的に場所を変える、つまり地球が太陽のまわりをまわる証拠が発見され、地動説が正しいことは確定するわけでございます。ただ、それだけで終わりはしませんでした。太陽も動いていたのです。そう、地球や木星など太陽系の星をつれてです。

その動き方を、映像にしたものが数年前に話題になりました。こちらですな。

The helical model - our solar system is a vortex

実際に、太陽系は地球の公転とほぼ直角に近い方向に動いています。進行方向はおおむね、おりひめ星(ベガ)の方で、ググり用に専門用語を出すと「太陽向点」といわれています。

そして、その動きは、大きくは太陽が銀河系の中を回転するような動きになります。実際には少々上下に波打つような動きでして、だいたい2億年で一周することがわかっています。この銀河系の中を回転というのは、銀河系の中心に太陽がないらしいというのがわかった、20世紀の初頭に考えとしてでてきましたが、実際に確かめたのはヤン・オールトというオランダの天文学者です。宇宙好きの人は、太陽系を取り巻く彗星の巣、オールトの雲の提唱者でもあるというといいですかね。ほかにも、1930年頃に銀河系の回転の研究からダークマターの存在を初めて示唆した人でもありますよ。20世紀で最も偉大な天文学者とされているのですが、まあ、天文ファン以外にはあまり知名度はありません。

さて、地球は太陽のまわりをまわり、その太陽は地球をひきつれて銀河系の中をまわっている。ここまではいいでしょう。でも銀河系そのものも動いているのでございます。

いまハッキリしているのは、銀河系全体が、アンドロメダ銀河という巨大銀河と衝突コースにのっているということですな。一直線にアンドロメダ銀河の方向に突っ走っているってわけです。この衝突については、NASAなどが映像を作っています。

Milky Way - Andromeda Collision Animation

ざっと30億年後には衝突するのですが、星どおしは、ほとんどぶつからないとわかっています。ただ、派手にはじき飛ばされたりはしますね。そうなると、それまでの動き方とはまったく違ってしまう可能性だってあります。

さらに、アンドロメダ銀河や銀河系そのものも、全体として銀河のグループを作っていて、それがおとめ座方向にある「おとめ座銀河団」に引き寄せられていることがわかっています。ちなみに、おとめ座は、5月半ばに夜八時、南の方向です。あっちに向かっているのでございますな。

さらにさらに「おとめ座銀河団」は「うみへび・ケンタウルス座超銀河団」に引き寄せられています。よりデカイ軍団の配下というわけですな。おとめ座より、ちょいと南西よりの方向でございます。

そして、さらにさらにさらに「うみへび・ケンタウルス座超銀河団」は、「グレートアトラクター」という1.4億光年離れた巨大な引力限にひきよせられています。

いちおうその様子をしめした絵があります。ハワイ大学のサイトの下の方の緑の絵ですな。銀河系はMilky way、おとめ座銀河団がVirgo Cluster、グレートアトラクターはGreat Attractorでございます。

しかし、なんですな。地球は太陽のまわりをまわり、太陽は銀河系のまわりを波打つようにまわり、その銀河系はアンドロメダ銀河と衝突しつつあり、その銀河系とアンドロメダ銀河などのグループはまとめて、おとめ座銀河団に引き寄せられ、それがさらにうみへび・ケンタウルス座超銀河団にひっぱられ、さらに、グレートアトラクターにひきよせられる。

いやー、複雑でございます。いっそのこと地球がとまっていたほうが、簡単ですな。神様は簡単なのを好むんじゃなかったのかね(違。

著者プロフィール

東明六郎(しののめろくろう)
科学系キュレーター。
あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。

102/111

インデックス

連載目次
第111回 土星を巡って13年 - 土星探査機カッシーニ・2017年9月15日に最後の日(後編)
第110回 土星を巡って13年 - 土星探査機カッシーニ・2017年9月15日に最後の日(前編)
第109回 世の中を変えた発明、なんでしょう。
第108回 ハイテク素材と赤い炭
第107回 8月7日(月)深夜・月食を見よう!
第106回 2017年の宇宙、どうでしょう? - 下半期・その2
第105回 2017年の宇宙、どうでしょう? - 下半期・その1
第104回 予言者? ジュール・ヴェルヌ
第103回 幻の毎日新聞プラネタリウム館 - 東日(毎日)天文館
第102回 地球は、どう、動いてる?
第101回 アインシュタインの方位磁石 - サイエンスな人の一品
第100回 アストロバイオロジーって、何それ、オイシイの?
第99回 太陽はスゴイ? - 成績発表会
第98回 実験装置、見たい?
第97回 地図と星は仲がいい
第96回 山が変える惑星の模様
第95回 ほとんどの星は爆発しない
第94回 それも「バラ科」ですか……!?
第93回 2017年の宇宙、どうでしょう? - 上半期編その2
第92回 2017年の宇宙、どうでしょう? - 上半期編その1
第91回 流れ星を見つけるコツ
第90回 コピー機の発明について、調べてみたよ
第89回 いにしえの中国やインドの宇宙
第88回 「火星の呪い」が発動
第87回 来年のノーベル賞予想ごっこ
第86回 天文学研究のため、レンジは使わないでください
第85回 カフェでリア充、科学者ハレー
第84回 お月見の日は、どう決まる?
第83回 たまご、熱すると固まるナゾ
第82回 8月12日のペルセウス座流星群と黒い彗星
第81回 絶滅のサイエンスとリョコウバトとウナギ
第80回 ジュノー探査機、木星到着
第79回 「ニホニウム」で知ったかぶりをするための知識5連発
第78回 2016年の「宇宙どうでしょう?」 (下半期)
第77回 増やせばワカルDNA - 「PCR」のお話
第76回 宇宙人を探すなんて、できるの?
第75回 海がない国 スイスで生まれた深海潜水艇
第74回 とりあえず春は、北斗七星。
第73回 くらべてワカル!? 宇宙の世界
第72回 さくらが春に咲くのは、寒さを越えるプログラムがあるから
第71回 ひさしぶりの日食のお知らせ - 日本は2016年3月9日午前11時前後
第70回 「重力波」つかまえました
第69回 春のこよみのサイエンス
第68回 火星をざっくり知っておきましょー
第67回 冬はハワイが近い!? - ジェットストリーム
第66回 2016年の「宇宙、どうでしょう?」(上半期)
第65回 年間最多の流れ星が見える! 12月14日夜はふたご座流星群
第64回 毒についてチョット調べてみました
第63回 凧とかみなり、フランクリン
第62回 はやぶさ2も見られるの?? 人工衛星を見るはなし
第61回 ノーベル賞をゲットしたニュートリノ探知装置
第60回 科学者が、虹遊びをすると…
第59回 日本人は、元素の名づけ親になれるか!?
第58回 数字のケントーをつける話=フェルミ問題
第57回 「星の名決定」総選挙に参加できるぞ!
第56回 夏休み、おてがるサイエンス
第55回 冥王星に接近しました
第54回 硬い冷たいダイヤだよ
第53回 2015年の「宇宙、どうでしょう?」(下半期)
第52回 潜水艦を発明した愛すべきおっさん
第51回 冥王星まめちしき10連発(ビフォー編)
第50回 ジュラ紀とかエディアカラとか、実はローカルな地名ばかりの地球の歴史年代
第49回 夜空の神2共演 - 金星と木星が接近するぞ!
第48回 キャンディをかむと光るのは本当か?
第47回 2015年4月4日夜9時。むこう3年ない皆既月食をみのがすな!!
第46回 浦島太郎とか双子とかとカーナビなサイエンス
第45回 100万年かけて、あったかいーの
第44回 電話より先に発明されたファックス
第43回 世界の「宇宙窓」から
第42回 圧力鍋は、できそこないのエンジン!?
第41回 2015年の「宇宙、どうでしょう?」(上半期)
第40回 12月13~14日は、年に一番流れ星が多い時期
第39回 はやぶさ2、打ち上げそして旅の友
第38回 これだけ知っとこ、小惑星探査機「はやぶさ2」
第37回 誘導ミサイルとポップコーン
第36回 地球上の生物は推定870万種。実はその9割が発見されていない
第35回 祝・日本のお家芸・青色LEDがノーベル賞
第34回 2014年10月8日夜8時。ゼッコーの皆既月食をみのがすな!
第33回 シロウトにチャンス到来・惑星の名前をつけられるぞ!
第32回 スゴイぜ! 彗星探査機「ロゼッタ」
第31回 天才&変人キャベンディッシュ
第30回 渡り鳥が作るV字型編隊の謎
第29回 やってはいけない!サイエンス
第28回 フロッピーの栄枯盛衰
第27回 2014年の宇宙、どうでしょう? - 下半期編その2
第26回 2014年の宇宙、どうでしょう? - 下半期編その1
第25回 100円で作れるちょっぴりキケンな科学オモチャ「アストロ・ブラスター」
第24回 5月24日土曜夕方に本当にでるのか!? - 「きりん座流星群」
第23回 いま、サイエンスで一番アツイ? - タンパク質ギョーカイをのぞく
第22回 英国科学雑誌のQ&Aコーナー - そんなに熱くなるなんて…
第21回 2年2カ月に1度のチャンス! - 火星ただいま接近中
第20回 科学なパーソナリティ列伝
第19回 今年が寒いのは太陽のせい? - 実は暗い太陽の未来
第18回 日本に降る雨は「だいたい雪」、だそうです
第17回 どこでもサイエンス-チョコレートは惚れ薬?
第16回 江戸時代からある「クローン」
第15回 2014年の宇宙、どうでしょう? - 上半期編
第14回 謎実験 - ニュートンビーズ
第13回 12月14日はふたご座流星群の日! - サクッとわかる観察ポイント
第12回 新月が出たぞという意味の「カレンダエ」からはじまった「カレンダー」
第11回 気持ちよく歌えるエコーのおはなし
第10回 ノーベル賞を楽しむネタ知識あれこれ(後編)
第9回 ノーベル賞を楽しむネタ知識あれこれ(前編)
第8回 ただいま接近中 ‐ アイソン彗星
第7回 信号ひとつは70ワット - 交通信号機にまつわる科学のはなし
第6回 いますぐ使える「月」の知識11連発(後編)
第5回 いますぐ使える「月」の知識11連発(前編)
第4回 飲める「リトマス試験紙」
第3回 カンタン工作 - 百均虫めがねで「カメラ箱」を作ろう
第2回 8月12日と13日の夜はペルセウス座流星群を観察しよう
第1回 教科書を覗いてみよう - 小学校3年生の理科より「明かりをつけよう」

もっと見る



人気記事

一覧

イチオシ記事

新着記事