「企業内にデータが散在、複雑化して困る…」IT推進部門の悩み

「BI」「ポータル化」「データウェアハウス構築」「ERP」、さらに「クラウド」や「スマートデバイス」の採用……、IT部門のシステム化での課題はどの企業でも、山積みである。

そのうえ、社内にデータはあるのに、「利用できない」、「データが古い」、「わかりにくい」といった状況があちこちで巻き起きている。しかも、そうした問題は、データが増えれば増えるほど大変になる傾向にあるのだ。

例を挙げよう。

多くの企業では、業務別のアプリケーションやデータがいろいろあり、それぞれで形式や操作が異なっている。そうしたデータを統合して利用したいというユーザーからの要望はひっきりなしにあり、急ぐときには、手作業による再入力やカットペーストを強いられる情報システム部門も少なくない。

また、データ形式や使い方がわからないデータ/アプリケーションも多く、新しいアプリケーションパッケージを導入する際には、データを抽出したり、変換したりするのが手間になってしまう。エンドユーザーにはExcelなど、手軽に使える最新のデータを届けてあげたいが、なかなかそうもいかない状況だ。その結果、エンドユーザーは、データを分析するよりも、データを変換したり、加工したりするほうに多くの時間を費やしている。その作業時間を金額に換算すると全社レベルではかなりの額に上るだろう。

IT推進の立場としては、エンドユーザーが望むサービスをタイムリーに提供したい。しかし、データを加工して、提供するサービスの開発を外注すると、コストも時間もかかるし、仕様変更や文書化など、いろいろと大変で効率的ではない。やりたいことは単純でも、サービスとして提供するには時間と手間がかかってしまう。企業をとりまくビジネス環境は急速に変化しているのに、余計なことにこんなに時間をかけていたら、企業や組織の機動力が低下してしまう――。

これらはいずれも、ほとんどの企業に共通するIT管理者の苦悩だ。

データをつないで、企業の情報活用促進を支援する

こうした課題を解決してくれるのが、株式会社アプレッソ(以下、アプレッソ)が開発したデータ連携ソフト「DataSpider Servista(以下、DataSpider)」だ。アプレッソ技術部の河野寛氏は、次のように語る。

アプレッソ 技術部の河野寛氏

「DataSpiderは、システムやプログラムを"つくる"ことよりも、 "データ"を連携させてシステム同士を"つなぐ"ことに主眼を置いた製品です。しかも、GUIツールを使って、ノンプログラミングでやりたいことを実現できるように作っています。プログラマ・リソースの少ないユーザー企業にとって導入しやすい製品に仕上がっていると思います」(河野氏)

データに焦点をあて、データを連携させることでシステムをつなぐ。別の言い方をすれば、DataSpiderは、データを汎用的につなぐ統合プラットフォームだ。その汎用性の高さがもたらす価値に気づき始めている企業も少なくない。

「最初は、ある特定のシステムでデータを収集・加工するためにDataSpiderを導入いただくケースがほとんどですが、使い勝手の良さから社内のさまざまな用途に"使い回す"お客様も多いですね。データを持たないシステムはありませんから、大げさな表現ではなく、どんなシステムにもお使いいただけます。一社に一台お持ちいただくと、何かと重宝するのではないかと思います」(河野氏)

DataSpiderは、2001年にNHKの高校野球地方大会速報ウェブサイトの裏側で採用されて以来、10年で1400社を超える企業に導入されている(導入企業数は2011年8月時点のもの)。その豊富な実績は、ノンプログラミングのGUIツールと、さまざまな用途に使い回せる汎用性がもたらす価値を多くの企業が認めた証だ。

GUIツールがもたらす開発・運用効率の劇的な改善

一言でGUIツールと言ってもさまざまなものがある。詳細を河野氏に尋ねた。

「DataSpiderのGUIツールは、文系出身の若手社員でも使えるように、Windowsライクな操作感を実現しています。一日ないし二日の研修で、基本的な機能は使いこなしていただけるようになるはずです」(河野氏)

筆者も半日の体験セミナーを受講したが、基本的な使い方はすぐに理解することができた。アイコンをドラッグ&ドロップしてデータの流れを作り、入力データと出力データを関連付ければ基本的な機能は実現できる。

データ処理の流れを定義する画面。目的の処理を選んで、該当するアイコンをドラッグ&ドロップで配置するだけ。

入力データと出力データを関連付ける画面。入力データの各項目と格納先を線で結び付けるだけ。データの加工が必要なら、該当するアイコンを選んで間に挿入すればよい。

「お客様からよく言われるのは、DataSpiderを使えば、プログラムをつくる場合よりも、開発にかかる工数を3分の1から4分の1に短縮できるということです。設計やテストの工数を劇的に短縮させるのはさすがに難しいですが、開発工程を大幅に短縮できると喜ばれています」(河野氏)

だが、GUIツールならではの利点はそれだけではない。運用フェーズにおいて、GUIツールはさらなる強みを発揮する。

「データの流れと関連付けが視覚的に分かるので、開発者本人でなくとも処理の中身を判読できます。プログラム開発の場合は担当開発者以外の人が手を入れるのはなかなか難しいところがありますが、DataSpiderの場合は第三者が変更・修正を担当することも可能です。システム要件に急な変更が発生した場合でも、人を選ばずに担当者をアサインすることができます。ビジネスの変化に機動的に対応できるのも、ユーザー企業様に喜ばれるポイントです」(河野氏)

高い汎用性を支える充実の機能と豊富なアダプタ

汎用性の高さの秘密はどこにあるのだろうか?

「DataSpiderは、データを集めて関連付けをするだけでなく、複数のデータを統合したり、条件に合うデータのみを抽出したり、データを自在に加工・編集したりすることができます。130種類の処理をアイコンで定義しているので、細かい仕様をGUIで実現することができます」(河野氏)

標準機能で幅広い用途に対応できることが、汎用性の高さにつながっている。なお、数ある機能の中で特徴的なのが、細やかな日本語対応だ。

「アプレッソは国産ベンダーなので、日本語特有の機能を充実させているところも一つの売りです。全角半角変換、和暦西暦変換など、ならではの機能を標準で提供しています」(河野氏)

つなぐ先を選ばないのも大きなポイントだ。

「DataSpiderは、接続のためのアダプタを標準で40種類提供しています。各種DBやグループウェア、ビジネスアプリケーションに対応しているのはもちろんのこと、ファイルアクセスやネットワークプロトコルもサポートし、さらに最新バージョンの3.0では、各種のクラウドサービスへの対応も始めました。特殊なシステムとの接続が要求される場合のために、アダプタを開発するSDKを提供しています」(河野氏)

また、接続先の多さだけでなく、接続先とどうつなぐかも重要なポイントだ。

「アダプタは、ただ単につながればいいというレベルではなく、接続先のシステムの機能を十分に使えるよう、細かいところまで作り込んでいます」(河野氏)

アダプタの開発も、国産パッケージとの接続にも力を入れている。

「SAPやOracleといったグローバルベンダーのパッケージ製品のみならず、Dr.SumやHULFTなど、国産ベンダーが提供しているパッケージをフルに活用するためのアダプタも標準で備えているのが、DataSpiderの強みです」(河野氏)

充実の機能と接続先。システム間の連携も、データの加工も編集も自由自在だ。これが、DataSpiderの汎用性を支えている。しかも、GUIで開発・運用効率を劇的に改善できるとあれば、データの扱いに頭を抱えている企業の強い味方となることは間違いない。1400社が認めるのも納得だ。

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以上、今回はDataSpiderの特徴と、同製品がもたらすメリットについて紹介した。次回は、筆者が参加したセミナーのレポートを通じて、製品の基本的な使い方を紹介しよう。