本来は、携帯電話であり音楽再生機でもあるiPhone(iPod touch)は、クリエイティブな作品を作り出す創作ツールとしても大きな威力を発揮してくれる。また、それだけでなく3G回線やWi-Fiを利用することで、いつでもどこでも必要な情報が取り出せるネットツールとして活用できるのも、iPhone/iPod touchの大きな魅力といえる。今回は、クリエイターの効率的な情報収集を強力にサポートするアプリを紹介していこう。

NewsRack

大量のWebサイトからの情報を効率的に収集する方法といえばRSSが大定番。最近では、各種ニュースサイトや大多数のブログから、記事のテキストや画像などの含めた更新情報などがRSSの形で提供されているため、これらを如何に処理するかが大きなポイントとなる。そこで、様々なRSSリーダーが提供されているiPhoneアプリの中でも、特にオススメしたいのが、ニュースの閲覧に最適な「NewsRack」だ。

NewsRackは、以前はNewsStandの名前で知られていたアプリ。新聞スタンドのような特徴的な表示など、iPhoneらしいグラフィカルなユーザーインタフェースに親近感が持てる。「新聞ラック」表示を行うには、RSS一覧のタイトルバー部分をタップするだけ

NewsRackは、Webサービスとして提供されているGoogleリーダーと同期可能な専用クライアント。基本的にGoogleリーダーでRSSを登録し、その閲覧をiPhone/iPod touchで行うことになる。RSSによる快適な閲覧を行うためには、大量のRSSを一度に読み込んだり、閲覧することはあまり推奨できない。そこで、個人的には、普段使いのアカウントとは別に、ニュース用の専用アカウントを用意し、そのアカウントをNewsRackと同期することで、ニュース閲覧のためだけのアプリとして利用している。なお、登録するRSSは、記事内容が全文配信されているものが望ましい。こうすることで、"NewsRack"はその名の通り、"ニュースを見るためだけのアプリ"として、さらなる実力を発揮してくれる。標準の状態では何の変哲もないカテゴリーや記事が並ぶ画面表示だが、ワンタップで「新聞ラック」表示に切り替えることができ、各RSSのトップ記事を一望することが可能。駅の売店で気になる新聞見出しを選んで購入するかのような感覚で、RSSを選べるのが非常に楽しく快適だ。さらに特筆すべきは、オフラインでの記事の閲覧機能。通常はネット接続可能な状態でニュース内容を取得しなければならないが、記事内容やイメージ画像をあらかじめダウンロードしておけば、電波が届かないような場所でもRSSを閲覧できる。地下鉄などでの移動中や、地下スタジオなどでの情報収集にも大いに役立つだろう。

画面右上の「共有」(吹き出し)ボタンをタップすることで、Instapaper(後述)やTwitterなど、多数の他サービスとの連携機能を利用する。RSSで気になった記事を後からチェックしたり、情報共有したいときなどに便利

あらかじめ記事内容やイメージ画像を取得すれば、いつでもどこでも該当の情報を閲覧できる。なお、イメージ画像の取得に関しては、マニュアルのほか自動的な取得にも対応している。オフライン表示なら、電波を受信しない「機内モード」でも問題ないことに注目

Instapaper Pro

続いては、先ほどのNewsRackとも連携可能なWebサービス「Instapaper」の専用アプリ「Instapaper Pro」。本アプリでは、Instapaperに保管された"あとで読む"Webサイトの情報を、オフラインでも読むことが可能になる。ユーザーは、Instapaper内にある自分のアカウントを同期させることにより、Instapaper対応したあらゆるアプリでブックマークしたサイト内の情報を、改めてオフラインでじっくり閲覧することができるので、非常に利便性が高い。しかも、Instapaperの特性として、iPhone/touchに最適化されたテキストモードなども備えられており、より効率的な情報の処理を行える。気になる記事やWebサイトをブックマークしておきたいといった用途にも最適のサービス&アプリとなっている。なお、Instapaperアプリには、無償版も配布されているが、ポジションの保存、傾けてスクロール、フォントとテキストサイズの変更、表示テーマなどの便利な機能が省かれており注意が必要。

NewsRackなどのアプリで、Instapaperにブックマークした記事は、Instapaper内の「Read Later」フォルダに納められている。さらに、ここでチェックを終えた記事は、スターの有無やアーカイブ、フォルダ分けなどにより情報の整理も行える

Instapaperでは、Mobilizer機能によりWebサイト内のテキストを最適化し閲覧可能。画面右上の「View original」ボタンをタップすれば、SafariでWebページも表示できる

Wikipanion Plus

オフラインで情報を閲覧できるネットツールは、RSSリーダーなどのアプリにとどまらない。情報を得る手段として、ニュースサイトやブログなどと同様にちょっとした調べものに役立つのがWikipediaだ。誰もが無料で自由に編集に参加できるオンライン百科事典であり、多くの情報が集約されている。「Wikipanion Plus」は、そんなWikipediaから必要な情報をダウンロードし、オフラインでも閲覧できる機能を備えたアプリ。もちろん、最適化されたページ表示やページ内検索、ウィクショナリーを使った単語検索などの機能も同時に搭載されているので、Webブラウザ経由での閲覧と比較しても格段の快適さを実現できる。

目次、関連リンク、ページ内検索、ウィクショナリーなど充実した各種機能は、Wikipediaの魅力と利便性をさらに高めてくれる。検索に該当した単語は、ハイライトされるのでわかりやすい

Wikipanion Plus内で検索した単語は、ブックマーク時に保存の有無を選択することで、オフラインでの閲覧に対応する。保存されたブックマークは、オフラインの状態でもすぐに呼び出し、イメージを含めて閲覧可能

ページ内のリンクを遷移せずに「キュー」として保存し、後から適宜各ページを参照できる便利機能も搭載。ページを行ったり来たりしなくても。多くの関連情報ページを一度に閲覧でき非常に効率的

最後に、もうひとつ忘れてはならい情報収集ツールが、マイコミジャーナル専用アプリ「 MYCOM Journal」だ。マイコミジャーナルにて、日夜更新される最新ニュースや記事を、オフライン(テキスト/画像含む)でも閲覧可能にしてくれる。また、お気に入りの記事にはスターをつけて管理したり、表示カテゴリーの設定なども行える。今後は、ぜひともカテゴリー別の閲覧への対応や、Webサイトでも実現されているTwitterへのツイート機能をはじめ、Instapaperなどの各種Webサービスとの連携機能の実装にも期待したいところ。

アプリを起動すると、自動的にマイコミジャーナルにアクセスして最新記事を取得する。情報更新時には、データ取得のためにやや時間がかかるが、その後はオフラインでも快適に記事の閲覧が可能

今回は、効率的な情報収集を実現すると共に、さらに携帯電波の届かない場所やiPod touchでも大きなアドバンテージを発揮する「オフライン」での情報閲覧機能に注目し、各々アプリをピックアップした。皆さんもぜひ、これらのアプリを活用して日頃からの情報入手方法をさらにアップグレードしてみてはいかがだろうか?