新年の楽しみのひとつが、まっさらのダイアリーを使い始めることだ。毎年ダイアリーは何軒もの文具店や雑貨屋を回って毎年探すことは探すが、気に入るページレイアウトのダイアリーはさほど多くない。

ごちゃごちゃといろいろな項目スペースに分かれているのはうるさいし、とはいえ、TO DOリストやメモ欄などもなく日付のスペースのみというのでは、ちょっと使いにくい。結局、新しいブランドの1冊を開拓しようとしても、やはりこれまで使ってきたいくつかのブランドのものに落ち着いてしまうパターンが多い。

もはや定番の「QUO VADIS」ダイアリー

その“いくつか”のひとつが、QUO VADIS(クオバディス)だ。フランスの港町、マルセイユの医者が自分用に作ったのが始まりという、QUO VADISの使いやすさの秘密を探ってみたい。

画期的だった1週間見開きスタイル

QUO VADISの代名詞ともいえる、見開きに一週間分のタイムスケジュールが縦軸でオーガナイズされたフォーマットは、QUO VADISが誕生した20世紀半ばにおいて、他に類を見ない画期的なものだった。

1957年当時のフォーマット

そもそもQUO VADISを生み出したのは、フランスの港町で開業していた医師Dr.ベルトラミだ。彼は問診や往診のスケジュールを見やすく管理できるダイアリーを求め、スタンプで枠を白いノートに押して自作したのが始まりだった。見るからに使いやすそうなDr.ベルトラミのダイアリーは、瞬く間に口コミで話題となり、1954年に一般に販売するダイアリーとして生産され始める。

その後、1966年には英語版、ドイツ語版、イタリア語版、スペイン語版のダイアリーが生産されるまでになったというのだから、その人気がどれほどのものだったのかがうかがい知れる。ちなみに、日本にはヨーロッパ版が1970年代から輸入されていたが、日本の祝祭日なども入ったオフィシャルのジャパン・エディションが作られるようになったのは2000年のこと(ちなみに日本語やハングル語が入った「アジアン・エディション」が発売されたのは1992年)。カバーやサイズ展開も充実し、さらにブランドとのコラボカバーなども登場し、QUO VADISの認知度と人気が急激に高まった。

手づくり時代からほぼ変わらないレイアウト

Dr.ベルトラミが手づくりしていたダイアリーが始まりというQUO VADIS。その当時にすでに、見開きに一週間分を配置したり、ウィークエンドのスペースを小さくしてその部分を連絡するべき先やTO DO リスト、メモ欄、3カ月分のカレンダーなどに割いたりといったフォーマットはほぼ完成していた。

2008年度版「TRINOTE」のフォーマットより

現在、ダイアリーのサイズは、文庫版ほどの「BUSINESS」、正方形の「EXECUTIVE」など多彩だが、現在ある中でDr.ベルトラミのオリジナル版にもっとも近いのは「MINISTER」(ヨコ16×タテ24㎝)だという。ヨーロッパではB5ほどの大判を、携帯用としてではなくデスクダイアリーとして使用するのが一般的なのだ。そのような使い方であれば、ウィークエンドのスペースが極端に小さいというのも頷ける。

QUO VADISのフォーマットで、個人的にとくに気にいっているのが、各日のブロックに入っている時間のレイアウト。数字が罫線代わりになっているため、8:00から22:00まで1時間ごとに数字が入っていても、すっきり。フォントの形や大きさ、太さのバランスもとてもいい。また、書き込むスペースが細かく分かれているため、スペースに合わせてスケジュールを書き込むだけで、その情報がすっきり見やすくレイアウトされていく。書き込んだスケジュールの見やすさ、これがQUO VADISの最大の魅力だ。



Time & Life

Time & Life(10×15cm)/3780円から

2010年度版より新しく登場したシリーズ。これまでのレイアウトでは、日曜日のスペースが小さく、あくまでもビジネス用という傾向が強かったが、タイムアンドライフは週末も平日と同じスペースになっているのが特徴。さらに、19:00-22:00はプライベートな時間と分かるようにグレーに色分けされていて、欄外のフリースペースには家族や恋人との予定を書き込むスペースになっていて、プライベートも楽しみたくなる1冊

BUSINESS

BUSINESS(10×15cm)/1890円から

定番の文庫版に近い携帯サイズ。常にダイアリーを携帯して、どんどんスケジュールを書き込みたい人向き。大判ものに比べ、当然ながら各スペースが小さくなるので、スケジュールのほかに日記なども書き込みたいという人には、少し小さく感じるかもしれない。

EXECUTIVE

BUSINESS(10×15cm)/1890円から

QUO VADISといえばこの形ともいえる正方形のアジェンダプランニングダイアリー。欄外に設けられたTo contact、E-mail、See-Doなどの項目スペースも広く取られていて、忙しいビジネスマン向け。

TRINOTE

TRINOTE(18×24cm)/3990円から

日本人にとってなじみ深いB5版に近い大きさのため、男女を問わず日本人ビジネスマンにとくに人気のあるサイズ。日ごとのフリースペースが大きく取られているので、ちょっとした会議の議事録などダイアリーにいろいろなことを集約したいという人におすすめだ。