とてもわかりやすくTwitterの魅力を解説してくれた本間正人氏

「楽しく英語を学びましょう。そのためには自分の興味のあるテーマのつぶやきをTwitterで探しましょう」 - 9月8日にディスカヴァーブッククラブでなわれた『世界とつながるTwitter英語学習法』トークイベント(主催: ディスカヴァー・トゥエンティワン)で本間正人さんは熱くこう語られた。

Twitterを使った英語学習法が最近注目されている。本連載でも紹介した『世界とつながる Twitter英語学習法』の著者でNHK教育テレビ「実践ビジネス英会話」の講師もされた本間さんのトークイベントということで、これは聞きに行くしかないと思って行ったが、予想以上の収穫があった。Twitterがなぜ英語学習に向いているのかがはっきりと理解できたのだ。今回は本トークイベントの内容を紹介する。

英語は楽しく学べる

本トークイベントの元となった『世界とつながるTwitter英語学習法』

日本人にとって英語はとかく苦手意識が付きまとうもの。英語の社内公用語化に反対する人は、英語に対して不安感を持っている人ではないか。日本人の多くは学校教育のせいで英語に対してネガティブなイメージを持っており萎縮している。これでは英語ができるようにはならない。

英語は楽しく学べる。英語を学ぶことでいろいろな効用がある。外国人の友だちができたり、いろいろな情報を得られたりと、可能性が広がるのだ。

英語を楽しく学ぶにはどうしたらよいか? おすすめはまず、自分が英語を活用しているイメージを持つこと。たとえば海外赴任が決まった、ということであれば業務マニュアルを作りそれを英語化するなど、自分に必要なことを英語でやってみる。これによりテキストでの学習とは全く違うレベルで英語が身につく。ほかにも旅行、商談、外国人のガイドなど、自分はなぜ英語が必要なのかを見つめ直そう。

次に自分に合った学習方法を発見すること。誰にでも合う学習法というものはない。人間は人それぞれ異なった特性を持っているので、何が合うかはわからない。いろいろと試してみて自分に合った学習方法を見つけよう。

本間先生から挫折の王道3種として、新聞雑誌の定期購読、英英辞典、NHK語学番組という紹介があった。NHK語学番組にピクっときた私だったが、これは放送を毎回見ないといけないという強迫観念があるから。見逃してもいい、テキストなしでもいい、くらいの感覚でやると良いらしい。私はNHKラジオを10年近く続けているが、これは私に合ったやり方なのだろう。

アウトプット力を高める

英語を楽しく学ぶ大原則のひとつはインプットとアウトプットのバランスを取ること。学校英語の授業ではインプット中心であり、アウトプット、特にWritingはほとんどなかった。

その点、Twitterは絶好のWritingの機会であり、140文字という制限が逆に英語学習者には好都合である。せいぜい2センテンスしか書けないので文章がシンプルになり、文法も複雑なものは使わないので間違えようがない。昔はペンパルといって外国人と文通していたものが、返事が来るまで時間がかかった。Twitterなら即座に全世界の人と交流できる。これは素晴らしいことである。

アウトプット型の学習としてはactive vocabularyを鍛えることも重要。つまり、たんすの置くにしまってあるような状態の単語(passive vocabulary)をすぐに取り出せるようにする必要がある。

そのためにはTwitterでアウトプットをすると良いのだが、ゲームで訓練することもできる。それは「かたとり」「イメージ連想」というゲーム。「かたとり」とは英単語によるしりとりで単語の2番目の文字でつないでいくもの(apple→peace→escape→street…)。「イメージ連想」はapple→red→blood→hospitalのように連想する単語をつなげていくもの。実際にやってみたのだが「イメージ連想」はなかなか面白かった。単語をイメージにし、関連するイメージを単語にするという作業は慣れないと難しかった。イメージと言葉を連携させるのは言語習得において大事だそうだ。

英語学習を長く続けるコツとしては、達成感を感じられる工夫が必要である。TOEICなどの結果が見えることをするか、学習記録をつけることによりRecording Dietならぬ"Recording Learnig"をすると良いとのこと。最後は自分へのごほうびを与えること。要は自分自身をいかにコントロールできるか、これにかかっている。

Twitterの活用法

本間先生の近著『何度も何度も挫折した人のための 英語はネット動画で身につけろ!』(角川SSC新書)。今回のお話に通じることが数多く書かれてありおすすめ

いよいよTwitterの活用法であるが、自分の興味あるテーマのTwitterユーザを探すと良いそうだ。たとえば、wineに興味のある人はGoogleで「wine twitter」で検索してみよう。Twitterの検索機能よりGoogle検索のほうが探しやすい。英語でwineについてつぶやいているユーザが見つけて読んでみる。次に、何か簡単な内容を返信してみる。もしかしたら返事をくれるかもしれない。そういう人はいい人なのでフォローしよう。こういう風にしていくと、Twitter上の知り合いをひと月で10人は作ることができるそうだ。

この方法の良い点は、自分に興味のあるテーマの英文を読んだり書いたりするので、自分用にカスタマイズされたオリジナルの教材になっているということだ。英語の学習法は人それぞれといったが、まさにあなたに合った勉強法になっているではないか。

何でもいいからつぶやく(Going to bed. (寝るなう)、とか)ということに最近若干の違和感を感じつつあった私には、自分が興味のあることをつぶやくということには納得感を持てた。

本間先生へのインタビューから

本コラムの読者にはIT系の人が多いと思うので、IT系の人への英語学習法について質問してみた。本間先生からは「IT系の人は文系の人より英語を学習しやすい環境にある。プログラムなどの技術そのものに英語が使われていることと、ネット環境を使うスキルがあること」とコメントをいただいた。ぜひTwitter、YouTubeなどのネット資源を使って英語を学習していこうではないか。

私達は本当に英語を勉強しなければいけないのか、英語なしで残りの人生をしのぐことはできないのかという切実な質問が、同行した編集者から本間先生にぶつけられた。これへの本間先生の回答は「会社と年齢による」というものだった。株価が低迷している企業は今後円安になったときに外資(特に中国)に買収される可能性はあり、その際には英語が真の意味で社内公用語になるかもしれない。逆に、ジャーナリストの場合は日本語が外国からの参入障壁になっているので英語なしでもやっていけるだろう、とのことだった。私の場合、身に覚えのあるお話で背筋が寒くなったしだいである。

本トークイベントはUstreamの録画で見ることができるので興味のある方はチェックしてみてほしい。

著者紹介

本多義則 (Yoshinori Honda)

日立製作所勤務のIT系研究者。10年前に趣味と実益を兼ねて英語学習を再開以来、アナログからデジタルまであらゆるツールを駆使して英語学習に励んでいる。職場では「英語ができる男」と見られているが、実はそうでもない真の実力との差を埋めるべく、英語学習をやめられなくなっている。休みの日の朝は英語のメルマガ執筆にいそしむのが習慣。取得した英語関連の資格は、英検1級、TOEIC955(瞬間最大風速)、通訳案内士(英語)。座右の銘は「あきらめない限り必ず伸びる」。著書に『伸ばしたい!英語力―あきらめない限り必ず伸びる』。Twitterアカウントはこちら