今回の選書

新華僑のスゴい仕事術(陳海騰) 徳間書店

新華僑のスゴい仕事術(陳海騰) 徳間書店

選書サマリー

中国経済を世界第2位にまで引き上げたのは「新華僑」と呼ばれる、改革開放以降に中国を離れ、世界を股にかけてビジネスを展開してきた中国人だ。

「新華僑」は、かつて世界中にチャイナタウンを建設し、その国に根を下ろしてきた「老華僑」とは異なる。「老華僑」は、異国の地で地縁のつながりを守りながら、小さな経済圏の維持に努めてきた。

一方、「新華僑」は、小さな商売からグローバルな規模のビジネスまで手掛ける。積極的にその国、そのエリアの経済圏に関わり、より上のレベルのビジネスへとアグレッシブに展開する。

新華僑のビジネス手法は、日本人のビジネスマンと大きく異なる。それは、思考法や商売の勘所が違うからだ。これを踏まえずに中国とのビジネスに乗り出して失敗する日本企業をいくつも見てきた。

世界経済を牽引する新華僑を理解すれば、新しいビジネスチャンスをものにする可能性が高まる。なぜなら、新華僑の後ろには、10年後には3億人ともいわれる中国人富裕層の市場が控えているからだ。

よく「ビジネスを成功させるために必要なことは何ですか?」と質問される。真っ先に挙げるのは、その分野で一番成功している人と一緒に仕事をすることだ。

成功している人のところには成功している人が集まり、そこに情報がありチャンスがある。成功する人はまた、どうすれば成功するのかをよく理解している。また、ノウハウも持っている。

成功した経験がない人と組むのは、土地勘のないもの同士で道なき道を進むようなものだ。互いの未経験による無知が足を引っ張り合うことにもなりかねない。

どうしたら成功した人と組むことができるのか。それには、2つの方法がある。1つは、自分自身が成功者になって、相手の方から、「ぜひ、一緒に仕事をしたい」と思われる存在になることだ。

しかし、今から成功を目指す人にとって、これは難しい。だから、私は2つ目の方法を提案したい。それは「唯一無二の自分の『核(コア)』を持つ」ことだ。

世の中には、人脈を広げるためのノウハウ本がたくさんある。また、名刺交換会や異業種交流会などの機会も用意されている。だが、本当の人脈は、そんなところにはない。

大切なことは、自分の専門性が人に求められ、周りに人を呼び寄せることができるようになることだ。成功している人と付き合うべきというのは、そういうことなのだ。

とはいえ、自分の世界で専門性を磨くだけでは、誰も自分に気づいてくれない。だから、とにかく外に出かけて行くことだ。そして、人と話をすることを心がけるべきだ。

たとえば、私は、まだ自分の専門性が固まっていない、社会的には何者でもない若い頃から、飛行機に乗るときにはビジネスクラスに乗るようにしていた。

ビジネスクラスで隣に座るのは、経営者や大企業の管理職、あるいは、何かの分野で成果を上げている人だ。時には、普通に面会を申し込んでも、中々アポイントが取れないような人もいる。

そんな人の隣りに座ることができたら、彼らの話をゆっくり聞く。もし、お互いの人間性に興味を持てるなら、今後も続くご縁が生まれるかもしれない。絶好のチャンスなのだ。

一般的に、ビジネスクラスやファーストクラスで名刺交換することはマナー違反とされている。だが、自然に会話が弾んで、楽しいひと時を過ごすことが禁じられているわけではない。

ガツガツとコネを求めるのは感心しないが、偶然乗り合わせた人とその後もいい関係を続けられるなら、飛行機上で自己紹介し合うことを、マナー違反にはならないはずだ。

知り合った相手に「つまらない時間を過ごしてしまった」と思われるのは最悪だ。そうならないよう、必ず相手に何かを提供できる存在になることを目指すことだ。

選書コメント

中国を飛び出して、グローバルに活躍する新しいタイプのビジネスパーソン「新華僑」の思考法や行動パターンを、自らも「新華僑」である著者に学びます。

著者は、時給650円のホテルマンから日本でのキャリアをスタートさせ、ついに中国最大手検索エンジンの会社「百度(バイドゥ)」の日本駐在首席代表にまでのぼり詰めた方です。

このような立身出世をとげた、しかも日中双方のビジネス事情を知りつくした著者が、日中ビジネスはもちろん、あらゆるビジネスで成功する上で役立つ秘訣を教えてくれます。

中国を飛び出し、世界を股にかけて活躍するニュータイプのビジネスパーソン、それが新華僑です。中国経済引き上げの立役者であり、元祖グローバル人材です。そんな彼らの思考法がわかります。

日本のメディアでは、中国はネガティブに報じられがちです。そのため、中国を、政治的、経済的な「脅威」としてだけ受け止めている人が多いようです。

加えて、日本では、アメリカ発の訳書ばかりが紹介されてきました。そのため、ビジネスの成功法則も、企業の実情も、アメリカのものばかりが流入しています。

しかし、中国は、これから30年、年8%の経済成長が続くと言われています。世界中が、脅威と警戒の目で見つめる中、さらに存在感を増していくはずです。

そんな隣人を、羨望と嫉妬のまなざしで眺めて終わるより、彼らの成長をチャンスととらえ、自分たちの成長に活かすべきです。

中国に限らず、アジア、そして世界に活路を見いだそうと考える方、日本式でもアメリカ式でもない成功譚を知りたい人にお勧めします。

選者紹介

藤井孝一

経営コンサルタント。週末起業フォーラム代表。株式会社アンテレクト代表取締役

1966年千葉県生まれ。株式会社アンテレクト代表取締役。経営者や起業家という枠にとどまらず、ビジネスパーソン全般の知識武装のお手伝いを行うべく、著作やメールマガジン、講演会、DVDなど数々の媒体を活用した情報発信を続けている。著書にベストセラーとなった『週末起業』(筑摩書房)はじめ、『かき氷の魔法』(幻冬舎)、『情報起業』(フォレスト出版)など。

この記事は藤井孝一氏が運営するビジネス書を読みこなすビジネスパーソンの情報サイト「ビジネス選書&サマリー」」の過去記事を抜粋し、適宜加筆・修正を行って転載しています。