2017年11月1日に3rdアルバム『WONDERFUL PALETTE』をリリースしたi☆Ris。2ndアルバムから約1年半ぶりとなる本アルバムでは、i☆Ris初の試みとして全員のソロ曲や、メンバーが作詞・作曲した楽曲が収録されている。
今回は、ソロ曲をメインにアルバムの聴きどころについてインタビュー。11月6・7日に開催される5周年記念ライブについてや、昨年の武道館公演から約1年経っての想いなどをじっくりと語ってもらった。
個性バラバラな6色を全部混ぜたらi☆Ris色に
――最初に、アルバム『WONDERFUL PALETTE』のコンセプトについてお聞かせください。
山北 今回は『WONDERFUL PALETTE』というタイトルの通り、i☆Risのいろいろな色を見せたいと思っています。i☆Risのアルバムとしてははじめて全員のソロ曲が収録されていたり、メンバーが作詞や作曲を担当したり、これまでにない一面を見せられたかなと。色とりどりのアルバムになっています!
――これまでリリースしたオリジナルアルバムは、『We are i☆Ris!!!』(2015年4月発売)や、『Th!s !s i☆Ris!!』(2016年4月発売)のように「○○i☆Ris」という形式でしたよね。
山北 アルバムのタイトルはいつも私たちが決めていて、今回も「なんとかi☆Ris」にしようとは思っていました。でも、ソロ曲が入るということもあり、全員の色が出るようなタイトルがいいねと話し合っていたんですけど、いくら考えてもいいのが思いつかなかったんです。そこで、最初にレコーディングした「WONDERFUL PALETTE」を見て「この曲はタイトル的にもコンセプトに合ってるんじゃない?」って。もう満場一致でした。
――たとえば候補に出てた「なんとかi☆Ris」はどんなのが?
若井 「There is i☆Ris」とか。
芹澤 あとは「Made in i☆Ris」もあった!
若井 あー、マネージャーさんが考えたやつ!
久保田 今回のタイトルでよかったかもしれないです。ここでやめなかったら、今後ずっと縛られ続けるからね(笑)。
――たしかに、タイトル会議が毎回しんどいことになりそうですね。ソロ曲については後ほどお聞きいたしますけど、レコーディングしての手応えはいかがでした?
芹澤 まず「私たちっぽいな」と思いました。i☆Risってありえないくらい、個人が考えていることや好きなもの、趣味がバラバラなんです。そんな6人がソロ曲を歌うと、こんなにバラバラになるんだなって。
――ほんとにバラバラで、でもアルバムの曲構成が絶妙なんですよね。まずタイアップ曲からはじまって、ソロ曲ゾーンがあって、全員で歌う新曲がある。
芹澤 そうなんです。ソロ曲でのバラバラ感が「WONDERFUL PALETTE」によってひとつになる。曲の順番がほんとにしっくり来るんです。
山北 前作『Th!s !s i☆Ris!!』のときは新曲が8曲もあって、アルバムを作っている感がすごくあったんですけど、今回はそれぞれソロと新曲を3曲しかレコーディングしていないので、アルバムを作っている感があまりなかったんです。いざ出来上がって聴いてみると、ソロ曲だけでもボリュームがあって聴き応えがあるし、みんなすごい個性だなって。完成するまでどんなアルバムになるかわからなかったからこそ、第三者目線で楽しめたなって印象です。
澁谷 そうなんですよね。i☆Risの個性というものが手に取るようにわかる。最初に出した『We are i☆Ris!!!』も自己紹介的なアルバムだったんだけど、今回はよりパーソナルな感じですね。i☆Risというユニットにいるメンバー一人ひとりにフォーカスを合わせた自己紹介が出来ている。
若井 まさにワンダフルなパレット! タイトルがぴったりなんですよ。5年間活動してきて、一人ひとりの色がより濃くなっている。でも、全部混ぜたら、これがi☆Ris色なんだなって。
久保田 ソロ曲もだいぶ個性あるけど、もともとの曲もだいぶ振り幅があるなって思った。「Ready Smile!!」や「Shining Star」に「Re:Call」といったシングルから、初CD化した「Daily Berry!!」、それと武道館Ver.の「イチズ」。かわいかったり、かっこよかったり、すごい振り幅。i☆Risの名前は知っているけど、曲は知らないという方にはぜひ聴いてもらいたいアルバムになりました!
茜屋 うん、このタイミングで出してよかったなって思う。武道館公演を経て、個人の活動を強めて、6人それぞれの色がはっきり見えたいまだからこそ出せるアルバム。いま出来るi☆Risのすべてを出しました。
5年間活動したからこそ受け入れられるんじゃないか
――それではソロ曲についてお聞きしたいと思います。まずは山北さんの「Heart Crash!」。
山北 私は前回のツアー「i☆Ris 3rd Live Tour 2017 ~Fan+6=∞~」で昭和歌謡を歌うコーナーがあって、それがハマッていたので、昭和ぽい曲でとオーダーをしました。
――「センチメンタル・ジャーニー」や「私がオバさんになっても」、「DESIRE-情熱」などを歌っていましたね。たしかにどこかしっくりきました。
山北 いただいた楽曲は単純に昭和歌謡というよりは、プラス現代のアイドルソングっぽさもありました。私、見た目はかっこいい系というよりかわいい系に見られがちなんですけど……あ、どっちかというとですよ? でも、歌だと大人っぽい系の方が歌いやすいんです。そういう意味では、はじめてi☆Risの曲を聴くという方にも、「山北って人、意外と歌うときはこういう感じなんだな」という一面を見せられるんじゃないかなと。
――そんな方たちに、特にここを聴いてもらいたいというポイントは?
山北 割と現代チックなメロディの中で、歌い方は昭和歌謡ぽく寄せました。フレーズの中の切ない感じの吐息混じりな歌い方を聴いて欲しいですね。今回、主旋律とハモが全部私が歌っているんですけど、特にハモが多かったんです。上ハモと下ハモを各2回ずつ収録して、3曲分くらいのレコーディング時間を費やしました。いつもはハモにまわることが多い山北なのですが、今回は全部歌っているので、そこも聴きどころかなと思います。
――昭和歌謡っぽくということですが、参考にしたアーティストはいますか?
山北 中森明菜さんとか工藤静香さんとか、哀愁漂う感じの格好良い方たちが好きなので、意識しています。特にAメロなんかは明菜さんをだいぶ意識して歌いました。
――芹澤さんのソロ曲「キミノカノウセイ」。TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDさんが作曲を担当しているのでテクノポップな楽曲なんですけど、こういう系統なのかと驚きました。
芹澤 私はソロ活動もしているので、そっちとの差別化もしたいなと思っていたんですよ。TECHNOBOYSさんはひとつの音が多いし、その音にめちゃくちゃ歌詞をハメるので、テンポの調整が大変でした。
――今回、作詞もしていますね。
芹澤 そうなんです。最初に書いた歌詞は「アイドル」とか「自分大好き」みたいな方向だったんです。キャピキャピした歌詞を描くのに二徹くらいして、「もーしぬ!」と思いながら書いていたんですけど、「これコンセプト違うかもなー」ってなって全部捨てたんです。
――全部!?
芹澤 結局Bメロの"大空に飛び立つFeelingで どこまでも続く青 重なるPrism 今世紀最高最強の世界 溢れるほどのトキメキ!"しか採用されなかったですね。それ以外を4~5時間かけて書くという驚きの作業でした。
――なんでまた最初からやり直そうと?
芹澤 心の底で思っていることを、ことばにしようと思ったんです。「負けたくない」とか「自分を信じる」とか「くっそー!」と悔しがることとか、あまり人に言うものではないじゃないですか。でも、5年活動してきたので、きっとファンのみんなはそんな私も受け入れてくれるんじゃないかなって。照れくさいんですけどね(笑)。
――特に"いまの私がすべてじゃない、なんにだってなれるから"、"私にしか作れない世界、届けるんだ"とかは、芹澤さんらしさをとくに感じました。
芹澤 ぽいですかー? そうなんです、TECHNOBOYSさんのメロディが生っぽくないからこそ、私の生っぽい歌詞を入れることでいいコントラストになって綺麗な一曲になったんじゃないかなって思います。意外と私はことばにして伝えることがなかったんですよ。いつも、元気チャッピーハッピーみたいな感じなので。
若井 チャッピー……?
芹澤 チャッピーって言わない? まあいいか。
――次は茜屋さんが作詞をしたソロ曲「Dear...」。
茜屋 これまで作品のストーリーに添って作詞をするということはありましたけど、今回ははじめて自分のためだめけに歌詞を書きました。自分が満足するまでたくさん書いて直して……と繰り返しました。
――この楽曲からは「何かを届けたい」といった想いを強く感じました。
茜屋 「Dear...」は、亡くなったおばあちゃんに書いた曲なんですよ。私が歌っている姿を見せたかったんですけど、それが叶わなかったんです。なので、いつか歌という形で届けたいと思っていたので、長年の夢が叶ったという感じですね。おばあちゃんの好きな花がひまわりなので、"ひまわりの花"という歌詞は入れたかったんですよね。この曲は、大切な人を思い浮かべながら聴いてもらえたらうれしいですね。曲調もバラードなので、世界観にひたりながら思い切り歌いました。
――茜屋さんは昔、バラード系の歌手を目指していたくらいバラードが好きでしたね。レコーディングもすんなりいきました?
茜屋 はい。作曲の野間康介さんは私が好きなAimerさんも担当されていて、曲がすごく良くて、レコーディングのディレクションもしてくれました。良いところをたくさん言ってくれて、褒められて伸びるみたいに、ノリノリで終始満足のいくレコーディングでした。