iPhone Xは、確かに外見の違いや使われるテクノロジーの違いに注目が集まるが、本質は、いかに機械学習を活かし、煩雑な操作や処理を自然な振る舞いの中で実現するか、というところに主眼が置かれているように思える。

iPhone Xでフィーチャーされる主な機能

前述のように、Face IDは一度登録すれば、太ろうが痩せようが、髪型を変えようが、きちんとその人物を認識してくれる。結果として、これまでの指紋認証という明示的な所作なしに、iPhoneを持ち上げるだけで認証される仕組みとなった。

Face IDは、センサーと機械学習処理を組み合わせたセキュリティシステムの刷新だったが、今後、コミュニケーションやスマートホーム、ヘルスケアやエクササイズなどの様々なシーンで、メリットをもたらしてくれることになると期待している。

iPhoneの最新ラインナップ。iPhone 8は699ドルから。iPhone Xは999ドルから

今回発表されたiPhoneにはA11 Bionicプロセッサが共通して採用されている。グラフィックスや機械学習処理、写真撮影やARをカバーする画像処理に長けたプロセッサと、これを活用するアプリの登場は、スマートフォンを介して、新しいテクノロジーを、我々の生活に近づけてくれることになるだろう。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura