NECは今年の3月、IoTの基盤ソフトウェアである「FIWARE」(ファイウェア)の普及を民間主導で推進する非営利団体「FIWARE Foundation」に、最上位のプラチナメンバーとして参画することを発表したが、6月20日には同団体の理事でもあるNEC 執行役員 望月康則氏が、「FIWARE」の概要を説明した。

「FIWARE」は、欧州委員会の官民連携プログラムで開発/実証された、次世代のインターネット基盤ソフト(IoTプラットフォーム)。特徴としては、データをどういったものなのかというコンテキスト情報(デジュ-ル標準 OMA MGSI-9/10)として取り扱えるのが特徴で、OSSによるOpen APIsとして実装し、他のIoTプラットフォームとの連携を可能にしているという。

「FIWARE」の特徴

欧州委員会では300億円以上をかけて開発。一次開発は終了し、現在は民間(FIWARE Foundation)主導に移行している。

「FIWARE」は、スマートシティ、ヘルスケア、メディア・コンテンツ、ソーシャル・ラーニング、製造・物流、交通、農業、エネルギー・環境の8つのユースケースに実装することを目的にしており、欧州ではこのプラットフォームか利用してスマートシティのデファクトとして定着しつつあり、スペインのサンタデールやオランタのユトレヒトが活用。

また、データそのものをオープンデータして公開するためのデータ市場(マーケットプレース)をつくり、新たなビジネス創生を促進する動きがあるという。

そして現在は、「FIWARE」を欧州以外の北米/南米、日本、アジアに普及させていくことに注力しているという。FIWARE Foundationでは、現在、Smart City、Smart AgriFood、Smart Industryの3つの領域に注力している。

日本においては、2016年4月に経済産業省が、ドイツ経済エネルギー省との間で、IoT/インダストリー4.0協力に係る共同声明への署名を行ったほか、2017年3月には、世耕経済産業大臣が、ドイツ ハノーバーでツィプリス経済エネルギー大臣と会談し、IoT/インダストリー4.0に関するサイバーセキュリティや国際標準化での協力の枠組みを定めた「ハノーバー宣言」に署名するなど、欧州との関係を強化している。また、FIWARE FoundationのCOOが自民党のIT戦略特命委員会において、「FIWARE」を説明したという。

NECでは、川崎市の産業廃棄物等収集運搬システム最適化に関する要素技術検証にも活用している。このシステムでは、産業廃棄物用の回収ボックス等にセンサーを取り付け、容器内に溜まった産業廃棄物等の量や容器の設置場所等の大量の情報をリアルタイムに収集・分析し、最適な回収ルートを収集事業者に伝達する等、物流の最適化に貢献するビジネスモデルの検討や実証事業、事業計画の策定などを行う。

「FIWARE」は、公共サービスを提供する自治体や企業等の業種を越えたデータ利活用やサービス連携を促すため、オープンソースとして開発され、標準化されたオープンAPIを持つ基盤ソフトウェアで、OSSの約37個のモジュールで構成される。IaaS基盤にOpenStackを利用するなど、OSSとしてデファクトになっているものに関しては、新たに開発するのではなく、そのまま再利用するという方針が採られているという。

「FIWARE」の特徴

NEC 執行役員 望月康則氏

望月氏は、「世の中には360を超えるIoT基盤が存在しており、『FIWARE』は最初からこれらと連携できように設計されている。また、コンテキストデータのため、互いのデータを連携させることができるのが特徴だ。また、どこかの市でスマートシティを構築すれば、他の市はそのシステムをそのまま流用できる」と「FIWARE」の特徴を説明した。

NECは、スマートシティ等のIoT(Internet of Things)を活用した事業の加速に向け、「FIWARE Foundation」のプラチナメンバーへ参画し、技術面からの「FIWARE」の機能拡充・強化と普及を牽引するほか、NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」やIoT基盤「NEC the WISE IoT Platform」と組み合わせることで、IoTソリューションをより充実させていくという。

望月氏は「FIWAREを普及させていくためには、デベロッパーのコミニティにおいて、使ってみようと人を増やしていく必要がある」と述べた。