今年で10回目となる「日本おもちゃ大賞2017」の授賞式が、東京国際フォーラムで30日に行われた。42社335アイテムの応募商品の中から、玩具業界のプロによる審査で選ばれた同賞は、質の高い新商品の栄誉を称えるとともに、各ジャンルをけん引する今年の主力商品を占う場にもなっている。

「日本おもちゃ大賞」は、今年で56回目を迎える日本最大級の玩具見本市「東京おもちゃショー」において、9年前から創設された賞。玩具開発を促す目的で設けられた。同賞の部門は、「ボーイズ・トイ」「ガールズ・トイ」「コミュニケーション・トイ」「エデュケーショナル・トイ」「共遊玩具」「イノベイティブ・トイ」「ハイターゲット・トイ」の7つ。さらに、「前年度ヒットセールス賞」「特別賞」が併せて発表される。

「ボーイズ・トイ部門」「ガールズ・トイ部門」大賞は、それぞれ昨年に引き続き「ベイブレードバースト」(タカラトミー)と「ラブあみ」(アガツマ)の新シリーズが受賞。累計販売数が1,000万個を超えている人気アイテム「ベイブレードバースト」だが、従来のバーストギミックに加え、ベイに「バネを仕組み相手を弾きやすくなる」、「ローラーで相手の攻撃をいなす」「回転中にベイが変形して性能が変わる」などギミック面が進化し、バトルの激しさや戦略性をアップさせた。

「ベイブレードバースト」開発担当の堀川氏は、世界展開を視野に、「子どもたち同士は、言葉が通じなくても、玩具を通じて一緒に遊ぶことができることを実感した。今年はぜひベイブレードで世界大会を開きたい。そして、世界中の子どもたちをドキドキさせたい」と壇上で思いを語った。

一方、アガツマは、今年のガールズトイのトレンドである「ボンボン」メーカーにおいて一歩先をいく。同社の「ラブあみボンボンメーカー」は、サイズ調整機能とさまざまな素材に対応することで高いプレイバリューを実現。展示コーナーには動物型のボンボンやカラフルなタッセルが並んでおり、来場者の目を楽しませていた。上級編の遊び方が用意されていることもヒットの要因となっている。

「コミュニケーション・トイ部門」では、定番のすごろくを立体にしてしまった「地球まるごとすごろく」(メガハウス)が大賞を受賞。担当者によると地球儀の形状に落ち着くまで紆余曲折を経て完成したというが、いままでになかった発想で注目を集めそうだ。なお、地球儀はビーチボールのようにたたんで持ち運ぶことができ、"コマ"は表面に貼り付けて遊ぶことができる。発売日は7月で、価格は4,298円(税込)。

近年注目の高い"知育"や教育に貢献する玩具である「エデュケーショナル・トイ部門」では、2月に発売された「アンパンマン おしゃべりいっぱい!ことばずかんSuperDX」が受賞。ロングヒットアイテムとなっていた「ことばずかん」シリーズだが、「ことばずかんSuperDX」では単純な単語ではなく、「おかあさん、すき」「りんご、たべたくない」など2つの単語を結びつけた最もシンプルな文章を学ぶことができる「二語文モード」を搭載した。定番アイテムの新たな可能性を拓いたことが評価につながった。

新規性のある玩具に贈られる「イノベイティブ・トイ部門」大賞には、タカラトミーの「プラレールトーマス」25周年記念商品「蒸気がシュッシュッ!トーマスセット」が輝いた。本物のような蒸気を、特許取得済の新技術「タンクレス蒸気システム」を採用し、熱くなくカビにくい仕様で実現。水の量によって「お水を入れてよ!」「満タンだ!」などトーマスのセリフが変化する仕様もポイントになっている。

2016年の玩具国内市場規模は8,031億円で、前年比100.3%。3年連続8,000億円越えとなった。3年前の2014年といえば、『妖怪ウォッチ』や『アナと雪の女王』関連のアイテムが玩具市場を席巻した年。2015・2016年は定番アイテムの売り上げが好調で、8,000億円超えを支えた。2017年の「おもちゃ大賞」の顔ぶれを見ると、定番アイテムが今年も主力になりそうだ。果たして定番アイテムの"進化"は市場をリードすることができるのか、"真価"が問われる。

なお、「共遊玩具部門」大賞には「くみたてDIY はしるぞっ! ねじねじアンパンマンごう」(セガトイズ)、「ハイターゲット・トイ部門」大賞に「FORMANIA ν(ニュー)ガンダム」(バンダイ)、「前年度ヒットセールス賞」に「変身ベルト DXゲーマドライバー」(バンダイ)、「特別賞」を「リカちゃん」(タカラトミー」、「メルちゃん」(パイロットインキ)が受賞。バンダイの「変身ベルト DX」シリーズは、昨年の「変身ベルト DXゴーストドライバー」に続く2年連続での「ヒットセールス賞」受賞となった。