ロックバンド・X JAPANを襲った悲劇の連鎖…Toshlの洗脳、バンド解散、HIDEとTAIJIの死、そして復活。ハリウッドが製作したX JAPANのドキュメンタリー映画『WE ARE X』(公開中)で、彼らの封印された壮絶な歴史が描かれている。このたび、リーダーYOSHIKIへインタビュー。前編では、ToshlやHIDEへの思い、解散や再結成のときの心境などを聞いたが、この後編では、先月4日に開催された、念願の英ウェンブリー・アリーナでの公演の感想や、今後の活動について聞いた。
――今回のウェンブリー・アリーナの成功により、米マディソン・スクエア・ガーデン、YOSHIKIさん単独での米カーネギー・ホールとあわせて、音楽の3大殿堂制覇という快挙を達成されました。映画の中で、2014年のマディソン・スクエア・ガーデンでの公演が大きく取り上げられていますが、このときはどんな思いでしたか?
やっと人生の新たなショーの扉をあけたような感覚でしたね。
――そして、3月4日にウェンブリー・アリーナ公演を開催されましたが、いかがでしたか?
ファンの方たちに見守られてなんとか乗り切ることができました。粗削りな部分もあり、すべてがうまくいったわけではないのですが、ファンの方たちが感動してくれたことが何よりもうれしかったですね。
――「KISS THE SKY」という楽曲は、ウェンブリー・アリーナ公演で収録したファンの声も入れて完成させたそうですね。
そうですね。レコーディングはほぼ終わっていて、最後にせっかくなのでファンの声を入れたいなと思って収録しました。
――ウェンブリー公演をやられて何か芽生えた思いはありますか?
何年後とかを見て生きているわけではなく、今この一瞬一瞬を生きることに精いっぱいなんですが、ただ、今を思いっきり生きることによってまた明日があり、その次の日がありという…それはそれでいいのかなと思えるようになってきました。
――今、力を入れて取り組んでいることは?
今はとりあえずアルバムをしっかり仕上げないといけないなと思っています。今年出たら21年ぶりになるのかな。
――個人的に何か、これからこうしていきたいということはありますか?
相変わらず無謀な生き方をしようかとは思っています。やっぱり守りには入りたくない。攻撃あるのみでいいんじゃないでしょうか。止まるのが怖い自分がいるのかもしれないです。止まって考えるといろんな悲しいこととか考えてしまうので。
――その生き方はずっと続いていきそうですか?
どこかで何か達成感を味わったときに変えようと思うかもしれないですが、まだ達成感はないですね、まったく。突っ走っていないと生きていけない人間なのかもしれないです。
――ちなみに、いつからそういう考え方になったのでしょうか。
HIDEが亡くなったときは、家の扉をあけて外に出られないくらい完全に引きこもってしまったんです。今は表に出ていますが、表に出る以上はとことん出るしかないんじゃないかと、そんな風に感じています。
――海外を経験されたからこそ得られたことはありますか?
人ってやはり一度離れると見えてくるというか、僕の場合、当たり前のようにいたメンバー、当たり前のようにいたファンのみなさんが実は奇跡だったんだと。いかに素晴らしいメンバーと僕らはやっていたのかと解散したあとの10年間で気付いたんです。今はすべての瞬間を当たり前だと思わなくなりました。そしてそれと同じように、海外に行ったことによって日本のすばらしさが見えてきましたね。
――あらためて気づいた日本の良さとは?
やはり情緒にあふれているなと感じます。文化も含めて西洋と東洋が微妙なバランスで共存している国というか、歴史があり、でも新しい、とても興味深い国だなと思います。
――そんな日本での今後の活動は?
もちろん日本のファンの方が支えてくれているから世界に行ける僕らがいるので、感謝の気持ちも込めて日本でも活動していきたいなと思っています。
■プロフィール
YOSHIKI
ロックバンド・X JAPANのリーダーで、ドラム・ピアノ担当。1989年にXとしてメジャーデビューし、1992年にX JAPANに改名。人気絶頂の1997年にToshlの脱退宣言を機に解散し、翌1998年にHIDEが死去。解散後、YOSHIKIは1999年に「天皇陛下御即位十年をお祝いする国民祭典」で演奏、2005年には「日本国際博覧会(愛・地球博)」の公式イメージソングを担当するなどソロで活躍。そして、2007年にX JAPANが再結成を果たし、2008年3月に東京ドームで復活ライブを敢行。国内外問わず精力的に活動し、2014年に米マディソン・スクエア・ガーデン、2017年1月にはYOSHIKI単独で米カーネギー・ホール、さらに2017年3月3日に英ウェンブリー・アリーナでの公演を成功させ、音楽の3大殿堂制覇という快挙を達成した。
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