シュナイダーエレクトリックは4月1日、データセンター構築の設計からプロジェクトの実行までをトータルに支援する新組織を日本に設置した。その狙いを来日したアジアパシフィック地域の責任者Serge Noraz氏に聞いた。

シュナイダーエレクトリック データセンター・リージョナルアプリケーションセンター APJ地域担当役員 Serge Noraz氏

シュナイダーエレクトリックが国内向けデータセンター(DC)構築の支援事業を本格化させている。4月1日には、グローバルな専門組織である「データセンター・リージョナルアプリケーションセンター・インターナショナル(DC RAC)」の日本向け組織「DC RAC Japan」を設立。データセンター構築の設計からプロジェクトの実行までをトータルに支援できる体制を整備した。

シュナイダーエレクトリックは、グローバル規模でエネルギーマネジメント&DC自動化ソリューションを展開するフランス企業だ。国内では、2011年に買収した旧APC時代からビジネスを手がけ、消費者向け/企業向けUPS製品で知られている。データセンター関連でも、エネルギーマネジメントやデータセンター自動化へのニーズが高まるなか、規模を拡大させている。

このタイミングでのDC RAC Japanの設立には、どんな背景や狙いがあるのか。DC RACのアジア地域責任者を務めるSerge Noraz氏は「グローバル企業を中心に日本におけるデータセンター構築のニーズが高まってきたからだ」と指摘し、次のように説明する。

「IoTやデジタルビジネスの取り組みが日本でも活発化してきた。こうした取り組みではデータマネジメントや運用の自動化がカギを握る。また、データセンターというインフラで、そうした取り組みをしっかりと支えていくことが重要だ。そうしたなか、グローバルな知見とノウハウを持つ当社に構築から運用までをトータルで協力してほしいという声が増えてきたのだ」(Noraz氏)

Noraz氏によると、IoTなどの新しい取り組みを行うには、従来型のデータセンターでは限界があるという。従来型のデータセンターというのは、標準化が進んでおらず、システムごとに異なる管理体系を必要とし、運用管理を人手による作業に頼らざるをえないようなデータセンターだ。

「たとえば、当社のある顧客は、標準化、簡素化を進めてきた東南アジアやオーストラリアのデータセンターと同じポリシーで日本のデータセンターを管理したいと考えている。アジアパシフィックのデータセンターを共通の体系で管理することで、運用コストや管理コストを下げ、アプリケーションをアジア全体にデプロイしやすくする狙いがある」(Noraz氏)

国内で高まるIoTやデジタルビジネスへのニーズ

こうしたデータセンターの標準化や管理ポリシーの共通化というニーズは、国内企業の間でも高まっているという。従来型のデータセンターに改良をほどこさないまま、IoTなどの取り組みを進めていくと、システムが複雑化し、さまざまな問題を生む。

たとえば、データ連携やシステム連携の際にボトルネックが生じたり、クラウド環境との統合環境を構築する際に期待したパフォーマンスがでないといった問題が生じ始めている。そこで、グローバル規模でデータセンターを構築・運用するシュナイダーエレクトリックに声がかかるのだという。

「私自身、ずいぶん長くアジアに住み、さまざまな日本企業と関係を築きながらビジネスを行ってきた。日本企業の品質に対する要求は厳しい。グローバルレベルの標準を踏まえつつ、それを日本の品質基準に対応したサービスとして提供することにかけては、当社は大きな強みを持つ存在だ。そうした強みを発揮する組織として設立したのがDC RAC Japanだ」(Noraz氏)