【レポート】

スパコンから自動運転まで盛りだくさんな「COOL Chips 20」

日本で開催されるIEEE主催のプロセサ関係の国際会議である「COOL Chips」が、今年も4月19日からの3日間、神奈川県横浜市にある横浜情報文化センターにて開催される。今回は20回目の節目の会議になる。

初日の19日はチュートリアルセッションで、日本IBMの中村裕氏がIBMのニューロチップシステムである「TrueNorth」について講義を行う。TrueNorthのハードウェアについては、IBMの沢田氏がCool Chips 17で発表しているが、今回の中村氏の講義では、ビデオインプットから複数の物体の検出を行うというアプリケーションについて説明が行われる。

もう1つのチュートリアルでは台湾国立清華大学のTsung-Yi Ho氏が、微小電極ドットアレイ(MEDA)を用いたデジタル微流体バイオチップ(DMFB)の生化学合成アプローチについて講義を行う。

4月20日と21日が本会議で、4月20日の最初の基調講演では、無錫スーパーコンピュータセンタの所長代理で、北京の清華大学の教授でもあるHaohuan Fu教授がTop500 1位である太湖之光(TaihuLight)スーパーコンピュータ(スパコン)について「The Sunway TaihuLight Supercomputer: the Design of the Processor and the System」と題した講演を行う。260コアのSW26010チップを使い合計1000万個のコアを持つシステムの設計思想から、アプリケーション性能までカバーする講演となる。特にアプリケーション性能については、まだ、公表された情報が少なく、注目される講演である。

そして2番目の基調講演は、日産自動車の久村春芳氏の「New Era of Electrification and Vehicle Intelligence」と題する講演である。最新の車に実装されている自動運転技術から将来の自動運転車の最近の開発までをカバーする講演になるとのことである。また、このような用途に使われる自動車用半導体に要求されるチャレンジについても触れられる予定である。

そして、4月21日は、ARMのDavid Brash氏およびNigel Stephens氏が登壇し、「ARM: scaling new heights」という基調講演を行う。ARMは64ビット化したARM v8AアーキテクチャにScalable Vector Extensionを加え、IoTからHPCまでカバーするアーキテクチャとなって来た。ARMアーキテクチャの拡張の歩みとエンタープライズ向けの最近の拡張について述べる。

4番目の基調講演は、IBMのJeffrey Burns氏による「POWER9 Design Innovations」と題する講演である。POWER9については、2016年8月のHot Chipsで発表されているが、Cognitive Computing(認知技術を使う計算)に関してのスライドは1枚しかなく、詳しいことは分からなかった。今回のBurns氏の基調講演ではCognitive Computingに焦点をあてた講演のようであり、新しい情報が出てくることが期待される。

また、一般発表としては富士通の丸山氏のミッションクリティカルサーバ向けのSPARC64 XIIの発表、KAIST(韓国科学技術院)のディープラーニングプロセサの発表、Texas Instruments(TI)の216GOPSのイメージプロセサの発表などが行われる。

さらに、4月20日には慶應義塾大学の天野先生が座長を務める「Cool Chips for the next decade」というタイトルのパネルディスカッションが行われる。低電力化はいまや最大の関心事であり、次の10年の方向性として、パネリストからどのような意見が出てくるのか注目される。

この時期は気候も良く、横浜公園のチューリップも美しい時期である。また、日本での国際学会を盛り上げるという点でも、多くの日本人に参加していただきたい会議である。



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