イラスト : まずりん

鍼灸師・若林理砂さんが、あなたの近くにいそうなキャラたちの健康相談に答えるこの連載。シーズン1で登場した個性豊かな患者さんたちの「再診」で、現代を生きる人が陥りがちな、体と心の関係を探っていきます。

女性、40代、グラフィックデザイナー
前回は体の冷えのために来院。健康のためにサラダを食べていたのがかえってタンパク質不足を招いていたことから、食事の見直しと運動量の増加を指導されました。さて今回は?

本日の患者さんの悩み「若年性更年期を疑っている」

おや、再診ですね。どうしました?

「先生はお若くていいですね……。いつもお元気そうだし、お肌もつやつやしていて、うらやましいです……。」

あら、どうなさったんですか、そんなやつれた感じで。

「このところどうにもだるかったりして、鏡を見てもなんだか年を取ったなあとしか思えなくて。おしゃれも楽しめないし、何を着ても似合わないような気がして。ちょうど、若年性更年期ってお話をテレビで見て、それじゃないかしらと思って」

ははあ、テレビの健康番組を観て不安になりましたか? お話してなかったかもしれないですけど、受信料が必要な某放送局の健康番組でもいい加減な情報が混じってることもあるくらいで、テレビ番組で安心して見られるのって「きょうの健康」と「ドクターG」くらいですよ。鵜呑みにせず、エンタメなんだと割り引いて観てもらった方が精神衛生上いいですよ。

有酸素運動は小分けに

ところで、先日おっしゃってた冷え性は改善しました?……ああ、やっぱり。してないですよね、運動量、見直してないでしょう?

「はい……仕事も忙しくて、どうしてもハードルが高くって。20分以上継続して有酸素運動をしないとならないのでしょう?」

一度にやらなくても、10分ずつ分解して2セット行っても構わないんですよ、有酸素運動って。それに、20分継続してって聞くとすごく面倒に感じると思うんですが、はや足で歩いて10分かかるところまで散歩して、くるっとUターンして10分戻ってきたら、合計20分ですよ。

「あ……ほんとだわ」

ね、こう考えると、やれそうって思いません?

閉経=”おしまい”じゃない

肌がやつれているのは、もう少したんぱく質と脂質をとらないとならないです。私自身結構な量を食べているんですよ、ほら。

若林さんの実際の食事を撮影したもの(各写真とも左から朝・昼・夕食)

「ほんとだわー。ところで先生、失礼ですけど、今おいくつなんですか?」

40歳ですけど。あ、同い年でしたか。40そこそこでもう年かしらなんて言っていたら、残りの人生どうするんですかー。女性の平均余命が87.05歳だそうですから、40歳ではまだ半分にも至ってないのですよ。

それに、更年期、更年期ってよく皆さんおっしゃって、閉経を迎えると「これでもう女もおしまいね」なんてがっくりしていますけど、初潮が来る前と閉経後を足した時間のほうが、月経がある状態よりも長いんですよ。13歳ほどで初潮で、50歳ほどで閉経と考えてですね。87.5歳-50年+12年=49.5年。ほら、月経がないほうが長いでしょう?

「あら、ほんとだわ! そうですね、40歳くらいでわたしったら」

ええ、月経がないからって、「女性」が終わるわけじゃないです。

三陰交の位置

今、ちょっとお肌がやつれている感じが出ているから、たんぱく質と脂質をとって、睡眠をしっかりとってみてください。おそらくそれだけで結構若返りますし、何となく更年期のような症状が出ていたのもおさまりますので。ほかに漢方を使う方法もありますけど、これは婦人科か漢方薬局で相談してみてください。婦人科には漢方、結構効きます。

ペットボトル温灸だったら、三陰交(くるぶしから指4本分上にあるツボ)をしばらく続けるだけでも良い結果が出ますよ。養生してね、おだいじに!