短期間でシンプルな基盤を整えて需要に合わせた拡大を予定

北陸銀行ではXenDesktopの基本的な業務利用を2017年初頭からスタートさせる計画で動いている。タブレットの業務活用などを含め、利用機能を順次拡大する形で導入し、2017年前半で新システムへの完全移行を完了させる予定だ。

「12月中旬にはタブレットの配布を行い、実際の利用方法は各店舗で研修を行えるようにする予定です。導入の最終決定が7月でしたから、稼働まで5カ月。タブレット配布までにある程度の期間が必要と考えるとさらに短期間での導入なので大変ではありますが、シトリックスのサポートを受けてうまく進められています」と堀氏は語る。

非常に短期間での導入だが、これは「最新のものをシンプルに」という意思に基づいてのことだという。「時間をかけて導入すれば慎重というものではありません。時間をかけすぎると現場も変化します。シンプルな基盤を導入し、今後必要に応じた対応が行いやすいことが大切だと思います」と富永氏が語れば、堀氏も「システムの寿命は5年ですから、1年かけて導入したとすれば全体の20%を導入に費やしてしまっているわけで、時間を無駄にしたとも言えます。時間をかけすぎるのはよくありません」と指摘する。

導入にあたって、現場には具体的な端末選定に関わってもらうなどして、経営戦略を実現するには必要なシステムであると、移行を決行した。モバイル環境の改善やインターネットサービスの利用など、現場にとって便利なシステムになっており、教育など行いながら反応を見る形だ。

「全行員にタブレットを配布するわけではなく、外出の多い渉外1000人を中心に役職者などに合計1700台を配布予定ですが、彼らは外出先でもオフィスでも同じ端末を利用できるようになります。また、行内で働く行員もインターネットが利用できるようになるため、クラウドサービスなども活用する予定です。動画コンテンツは投資信託や資産運用、ライフプラン設計などについて用意したいですね」と堀氏。

さらに、Skype for Businessを利用した遠隔での対話を内部での会議的な用途ではなく、対外的な営業活動に利用したいという要望も持っている。

「専門性の高い商品やサービスについて全拠点に人材を配置するのは難しいですが、Skypeを利用して遠くの専門家がお客様に直接対応できればと考えています。例えば、相続発生時に遠隔地にいるお子様に近くの支店までいらしていただいたり、担当者とどこかで落ち合ったりして話し合いに参加していただくようなこともできたらいいですね」と富永氏。地方銀行として上京した子世代と地元に残る親世代の仲立ちとなるような活動もして行きたいという意向だ。

さらに今後、メールやスケジュールといった一部機能に絞り込みはするものの、BYODにも対応する予定だ。これはWindowsタブレットを支給されている行員でも、緊急時は手元のスマートフォンで対応できたほうがよいだろうという判断で、募集形式で実施される予定だ。

動画利用や遠隔地対応については、顧客側で受け入れの風潮が整うことも重視している。単に便利にするだけでなく、顧客ニーズに合わせた対応力の向上や業務効率化を目指している北陸銀行の、今後の活躍に期待したい。