【レポート】

飲んで食べて体験できる! 787初号機を中核とする中部国際空港の商業施設

1 初号機の屋内展示と商業施設の一体化は世界初の取り組み

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2015年6月22日に、ボーイング787の初号機(ZA001)がラストフライトとして中部国際空港に "里帰り" を行った。その模様についてはボーイング787の初号機、中部国際空港に到着で報じた。

中部国際空港は2016年3月に、同機を中核とする複合商業施設を開設する構想を明らかにしていたが、11月9日に開催した記者会見で、その商業施設の概要を発表した。本稿では、その模様をお届けする。

記者会見は、中部国際空港 代表取締役社長の友添雅直氏、ボーイング ジャパン社長のブレット ゲリー氏、それとチームラボ 代表取締役の猪子寿之氏によって行われた。

左から、ボーイング ジャパン社長のブレット ゲリー氏、中部国際空港 代表取締役社長の友添雅直氏、チームラボ 代表取締役の猪子寿之氏

ZA001を中核にした展示と商業施設を一体化できる「FLIGHT OF DREAMS」

気になる施設の名称は、「FLIGHT OF DREAMS」となる。ZA001がラストフライトを実施した時点では、同機を展示するための施設は確定していなかった。差し当たり、格納庫に入れて保管するのかと思ったが、既存の格納庫には他の用途があるのだから、ZA001を保管するために明け渡すわけにもいかない。

戦闘機ならともかく、787となるとモノが大きいだけに、それを収容する施設も大掛かりになるのは避けられない。すると、施設を建設・維持するための費用をどうするか、という話が出てくるのは必然だ。そして導き出された解が、ZA001を中核とする複合商業施設だった。

設置場所は、現在のターミナルの南寄りで、道を隔てた東側となる。以下が、記者会見に際して公表された建物の外観想像図だ。

「FLIGHT OF DREAMS」の外観想像図 資料:中部国際空港

この「FLIGHT OF DREAMS」の東側には、2019年に大規模展示施設(コンベンション施設)を開設する話が決まっている。また、現ターミナルビルの南側には、2019年上期を目標としてLCC主体の新ターミナルビルを開設する計画もある。

つまり、「FLIGHT OF DREAMS」は、駅や現ターミナルビルからコンベンション施設、あるいはLCCターミナルに向かう途中に位置することになる。ZA001を目的として訪れる人だけでなく、コンベンション施設を訪れる人も、LCCターミナルを利用する人も、対象にできる。そこが複合商業施設たるゆえんである。

近年、どこの空港も商業施設を充実させる傾向にある。しかし、単に有名テナントを並べるだけでなく、ZA001を中核にした展示と商業施設を一体化できるのは、「FLIGHT OF DREAMS」だけだ。

中部国際空港では「このような最新鋭機かつ歴史的価値のある初号機が屋内展示され、商業施設と一体となっている施設の計画は、世界初の取り組みです」としている。商業施設との組み合わせは収益性の観点からいって好ましいし、屋外展示よりも機体を良い状態で維持できる利点にもつながる。

建物の設計は日建設計が担当する。建物の外見を直線的にすることで、787の曲線美を強調する狙いがあるそうだ。なお、施工担当は未定で、これから公募を行った上で決定することになっている。友添氏は「夢のある施設なので、志のある、分かち合えるようなパートナーと組みたい」とコメントしていた。

着工は2017年4月、オープンは2018年の夏を予定している。まだ完成までに2年近くあるので、Webサイトの開設やSNSを通じた情報発信に努めたいとしている。また、オープンに先立ち、2017年の後半にチームラボと連携して、プロモーションイベントを仕掛ける計画もある。駐機場に置かれているZA001を移動・搬入するのは2017年の冬の予定だ。その際には、可能であれば移動作業や現地の模様などをレポートしたい。

以下、ボーイング ジャパンのゲリー氏のコメントだ。

「ZA001はボーイングにとって特別な機体。2009年12月に雨天の中で初飛行を行い、ボーイングの高い志を、そして尽力いただいたパートナー企業の志を載せて飛び立ったもの」

「ZA001が、機体の製作において深い関わりがある中部地方に里帰りすることには意義がある。それを受け入れてくれるのが中部国際空港であることにも意義がある。里帰りの先として中部国際空港以上の場所はない」

1階は787を中心に、航空について学べる場所に

「FLIGHT OF DREAMS」は、大きく分けると3フロア構成になる。以下が屋内のイメージ図だ。

「FLIGHT OF DREAMS」屋内の鳥瞰想像図。機体を取り巻くようにさまざまな展示がなされる 資料:中部国際空港

違う角度からの想像図。左手の通路に、物販・飲食施設を並べる配置になる 資料:中部国際空港

もちろん、中核となるのはZA001を展示する1階で、ここは有料になる。「持続的にコンテンツを楽しんでいただくために有料とするが、相応の相場観を持った値付けとしたい」(友添氏)

よく知られているように、ボーイング787を構成する機体構造材のうち35%が日本のメーカーによって作られている。製作を担当しているメーカーの多くが中部地方に立地しているし、完成した胴体や主翼などの部材を747LCF「ドリームリフター」によって空輸する際の拠点になっているのは中部国際空港だ。

参考 : ボーイング社、ドリームリフター・オペレーションズ・センターを開設 - 中部国際空港に設置しサプライチェーンを効率化

つまり、中部地方、あるいは中部国際空港は、787と極めて縁が深い場所なのだ。だから、「FLIGHT OF DREAMS」では、空港、あるいは地域とボーイング社との関わりが重要だと考えている。

具体的に何をするのかというと、中央に展示されたZA001を取り巻くようにして、航空機の製作や運用について体験したり、学んだりできる仕掛けを用意する構想だ。つまり、飛行機を構成する部品の構造や製作過程、出来上がった部品が各地から最終組立ラインに集まるサプライチェーン、そして機体の組み立て、完成した機体を実際に飛ばすためのさまざまな仕事。そういったものについて知る場を設けようというわけだ。

「FLIGHT OF DREAMS」の中核は世界で唯一の787初号機。当然、それを目当てにして来訪する人もいるだろう。しかしそれだけでなく、プラスアルファとして商業施設も加える。これは、「空港を単なる通過点にするのではなく、皆さんが来て、楽しめる空港にすることがこれからは重要ではないか」(友添社長)という考えによる。そこで飛行機に触れたり語らったりして、持続的な集客を確保できれば、ZA001を良好な状態で維持し続けることができるし、航空機産業に関心を持ってもらう役にも立つ。

気になるのは、主役であるZA001をどこまで見せてもらえるかだろう。ボーイング社にとっては機密保全という課題があるので、現在はどこまで公開できるかについて、中部国際空港側とボーイング社の間で検討を進めている段階だ。なお、上の想像図でおわかりの通り、機体は地平に直接ではなく、降着装置を台座の上に載せることになっている。地面より一段高いところに位置するので、機体に直接触れるのではなく、近くで見るという展示形態になるようだ。

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インデックス

目次
(1) 初号機の屋内展示と商業施設の一体化は世界初の取り組み
(2) シアトル発祥のブランド誘致、「ボーイング・ストア」開設も


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