流行情報誌『日経エンタテインメント!』(日経BP社)が選ぶ「ヒットメーカー・オブ・ザ・イヤー2016」の授賞式が12日、東京ミッドタウン ホールで行われ、大ヒット中のアニメ映画『君の名は。』を手がけた新海誠監督が表彰式に出席した。

グランプリを授賞した新海誠監督

今年8月に公開された『君の名は。』の興行収入は現在180億円を突破し、邦画歴代5位(2016年11月11日現在)。また、台湾でも歴代邦画興行収入ランキング1位を達成し、ホラー映画『リング』の興行収入1億6,200万円を超える人気ぶり。表彰式に登壇した新海監督は、キャストやスタッフへの感謝を述べると共に、「1年前の制作発表時には、まさかこんなヒット作品になるとは思いませんでした。本当にファンの皆様のおかげ」とグランプリに選ばれた喜びと感謝をファンに伝えた。

「日経エンタテインメント!」編集長・山本伸夫氏より賞状を受け取る新海監督

大ヒットの要因については、原因はわからないとしながらも、「映画公開初日、2日目に好調であることを聞き、プロデューサーと『誰もズルしなかったもんね』と話しました」と告白。「例えば、RADWIMPSとは一緒に1年間ディスカッションしながら曲や脚本、演出を直してきた。声優を務めた神木(隆之介)君も凄い気合いで、(上白石)萌音ちゃんも台本をすべて暗記してくるなど、みんな、今までのルーチンでそこそこのパフォーマンスで終えるとか、1人もしなかったんです。ズルをしないというか、楽をしないでやってきたことが大きな要因」と分析した。

そして、"ポスト宮崎駿"と言われていることについて、「宮崎駿さんと名前を並べていただけるのは過大評価。あれほど仕事ができる方はこれまでもいなかったし、この先もいないと思います」と断言。「宮崎さんと同じ方向に行っても絶対追い越せないので、宮崎さんとは違うものを出していきたい。例えば、宮崎さんには久石譲さんという完璧なコンポーザーがいて、完璧な映像と音楽のマッチングがあります。であるなら、全然違う方向の音楽じゃないと手触りが違う魅力のある作品にならない。じゃあ、ロックバンドの疾走感のある音楽をベースに、音楽を聴きながら作品を作ろうと思いました。これからも違うものを差し出していきたいという気持ちです」と、映画制作に対する熱い想いを吐露した。

最後に新海監督は「プロモーションが4か月続き、ずっと『君の名は。』だけの日々になってしまいました。年内には次の作品の企画案に入らなければ3年以内に出せないので、焦っている毎日です。まだ白紙ですが、観客の皆さんが何を臨んでいるのか、楽しんでもらえるのかを、この1・2か月で耳をすませて、目を開いて感じていけたらと考えています」と次回作への意欲を示し、授賞式は幕を閉じた。