NTTドコモの関西支社が取り組む災害・イベント対策に関する説明会が開催され、関西支社が始めた「中ゾーン基地局」などの施策が紹介された。大規模イベントにおける移動基地局車などの対策による成果や、西日本を担当する西日本オペレーションセンターや大ゾーン基地局も公開された。

大阪府にあるドコモの大ゾーン基地局

NTTドコモ関西支社はその名の通り関西地区を担当するが、大阪府内にドコモのネットワークを管理する西日本オペレーションセンターを擁しており、東日本を管理する東京のネットワークオペレーションセンターとともに、ドコモのネットワークを支える重要な役割を担っている。

ドコモ関西の取り組みを説明するネットワーク部災害対策室の田村勝久氏

ドコモは、2011年3月の東日本大震災以来、全国の災害対策を強化してきた。「災害対策の3原則」として信頼性の向上や重要通信の確保、早期復旧の3つの観点から、10項目の対策を実施。2012年2月までにはこれらの対策をほぼ完了させている。

ドコモ全体の災害対策の3原則と実施した対策

その中の1つ、「大ゾーン基地局」は広域災害・停電時に人口密集地の通信を確保するための、通常の基地局よりもカバー範囲の広い基地局で、これを各都道府県にほぼ2カ所ずつ設置している。1局で半径7km程度をカバーできるため、全国106カ所で人口の約35%の通信をカバーできるという。2017年3月にはLTE化を完了させる予定だ。カバーエリアが広く既存の基地局との干渉などは考慮されていないため、平常時には利用しない。現時点で稼働したことはないが、定期的に試験を行い、非常時に適切に稼働できるように準備をしているという。

大ゾーン基地局。大阪府内の4局をはじめ、関西地区で14局が設置されている

大阪府内にある大ゾーン基地局の1つを下から見上げたところ。全高は180m近くにも及ぶ

上部にあるアンテナを利用する

これが実際のアンテナ。4波対応

大ゾーン基地局が設置された場所から見下ろした眺め

半径7kmがエリアということで、背後の梅田のビル群は難しいが、手前の3基の背の高いビル辺りまではエリアとして利用できるという

中央にある謎の派手な建物は舞洲ゴミ処理工場。ここもエリア化できる

手前の海遊館、その奥のUSJ辺りもエリアになるそうだ

ちなみに基地局のさらに上には避雷針がある。この基地局自体は、もともとマイクロ回線を設置していたものらしい