全国的な梅雨明けも迫り、いよいよ夏本番を迎える日本列島。まとまった休みを取って旅行に出掛けるとなると、一度は検討するのが沖縄旅行だろう。最近は離島でのんびり過ごす沖縄滞在も人気だが、本島もまだまだ捨てたものではない。中でも首里城を中心とした首里エリアは、"海"だけじゃない沖縄の姿を垣間見ることができるアツいエリアなのだ。今回は、「ダブルツリー by ヒルトン那覇首里城」の協力で取材したグルメスポットを紹介しよう。

古都・首里で琉球を味わおう(写真は「首里そば」)

生まれ変わった首里のホテル

首里エリア探索の拠点としては、「ダブルツリー by ヒルトン那覇首里城」が便利。7月1日にヒルトン・ワールドワイド傘下のブランド「ダブルツリーbyヒルトン」としてリブランディングされたホテルだ。

「ダブルツリー by ヒルトン那覇首里城」

かつては「ホテル日航那覇グランドキャッスル」として親しまれており、ホテル内の日本料理店「富士」と中華料理店「舜天」もそのまま引き継がれている。地元の人もハレの日のお祝いなどに利用することが多いそうだ。

日本料理店「富士」

中華料理店「舜天」

隠れ家料理店「富久屋」で滋味を味わう

ホテルのレストランもこだわりの料理を振舞ってくれるのだが、せっかく探索するのなら、首里エリアで食事どころを回ってみるのがやっぱり楽しい。当然ながら夏の沖縄はものすごく暑いので、レンタカーやタクシー、レンタサイクルなどの乗り物で巡るのがオススメだ。

ホテルから首里城のある首里城公園までは車で約7分。首里城を訪れる前に腹ごなしをしておきたいなら、首里城公園の北側にある「富久屋(ふくや)」に立ち寄るといいだろう。

隠れ家的な雰囲気を楽しめる「富久屋(ふくや)」

古民家で沖縄料理を楽しめる同店は、首里城に沿った大通り・龍潭(りゅうたん)通りから1本奥に入った筋道にある。隠れ家的な雰囲気を醸し出す店内に入ると、中はレトロで清潔な平屋造り。畳敷きの座敷と、板張りのテーブル席に分かれている。

中はレトロな平屋建て

「富久屋」ではランチをいただいた。昼のオススメメニューは、「むじぬ汁定食」(1,250円)と「いなむどぅち定食」(1,050円)である。

定食メニューでは、メインの料理以外に、赤飯と5品の小鉢がつく。ピーナツを使った「地豆豆腐」や「かんぴょういりちー(かんぴょうの炒め煮)」など、どれも沖縄の郷土料理だ。

「むじぬ汁定食」(1,250円)

「いなむどぅち定食」(1,050円)

「むじぬ汁」は、田芋の茎(むじ)を具材に使い、赤みそで味つけした汁料理で、具沢山でボリュームたっぷり。本土の料理でいうと豚汁が近いが、豚の三枚肉の食べごたえは沖縄料理ならでは。田芋の根茎(でんぷん質で主に食す部分)が汁全体にトロッと溶け込んだ食感も新鮮だ。

赤みその「むじぬ汁」は、田芋と三枚肉の食感が効いた一品

「いなむどぅち」もみそで味をつけた汁料理だが、赤みそを使った「むじぬ汁」に対して、こちらは白みそでまろやかな味をつけてある。ピーナツバターを隠し味に使っており、クリーミーでコクがある濃厚な食味が特徴だ。具材は、短冊切りにした豚の三枚肉やシイタケなど。

白みその「いなむどぅち」はコクのある味わいが特徴だ

なお、定食は持ち帰りも可能となっている。地元の人々に愛される、料理も雰囲気も暖かな店だった。

●information
富久屋
住所: 沖縄県那覇市首里当蔵町1丁目14
営業時間: 昼の部 11:30~15:00
夜の部 18:00~20:00(L.O.21:00)
駐車場: あり
定休日: 火曜日

大人気店「首里そば」で別格の沖縄そばを

ランチでもう1店、観光客に大人気の沖縄そば専門店「首里そば」も紹介したい。行列の絶えない店だが、「並ぶ価値がある」と評判だ。首里城公園の東端辺りに位置し、ゆいレール「首里」駅からも車で約2分と近い。

沖縄そば専門店「首里そば」

今回は、同店の定番である「首里そば(中)」(500円)と「じゅうしぃ」(200円)をオーダー。「首里そば」は、一見オーソドックスな沖縄そばだが、食べてみると明らかに麺とスープが違う! メンはコシが強く、歯をはね返すような食べごたえある食感。透き通ったスープは雑味なくコク深く、聞けば豚肉・かつお節・島塩を沸騰させずに4時間以上煮込んでいるそうだ。

(左から)「首里そば(中)」(500円)と「じゅうしぃ」(200円)

また、具材も豚肉の三枚肉と赤肉(ロース)、白かまぼこにショウガとオーソドックスながら、沖縄県産の豚肉を使うなど、1つひとつの素材にこだわっている。紅ショウガをトッピングする店が多い中、同店ではそばの味を引き立てるという針ショウガを注文ごとに刻んでいるそうだ。

沖縄独自の炊き込みご飯「じゅうしぃ」も絶品。「首里そば」と同じくだしの旨味が効いており、ボリュームもたっぷりでコスパ抜群。「首里そば」と合わせて食べればおなかいっぱいになれる。

駐車場はあるが、人気店のため車を駐(と)められる保証はない。「首里」駅からは歩いても4分ほどなので、ゆいレールを使うのもアリだろう。

奥の座敷や縁側にも席がある。団体客などを通すそうだ

●information
首里そば
住所: 沖縄県那覇市首里赤田町1丁目7
営業時間: 11:30~14:00(売り切れ次第終了)
駐車場: あり
定休日: 日曜日・祝日

緑の展望カフェ「真珠」で一休み

ランチを終えたら、腹ごなしに首里城公園とその周辺を散歩してみるのもいい。首里城公園の南側には、首里城から丘を下るように続く石畳の古道「金城町石畳道」がある。この長い坂道の上方にあるのが、「石畳茶屋 真珠(まだま)」だ。

「石畳茶屋 真珠(まだま)」

同店では、「タコライス」(900円)や「黒糖プリン」(400円)など、沖縄らしいフードやスイーツを楽しめる。店内席とテラス席の2種類の席があるが、天気がよければ断然テラス席がオススメだ。緑に抱かれ、街を見下ろす高さに位置する同店では、さわやかな風に吹かれながら首里の街並みを一望できる。

街並みを見下ろせるテラス席がオススメ

今回は「マンゴーかき氷」(750円)をオーダーした。ゴロっと大きくカットされたフローズンマンゴーが山盛りで、見た目にも楽しい一品だ。木陰で涼みながら冷たいスイーツに舌鼓を打ち、夏の散策の熱をしばし冷まそう。

果肉たっぷりの「マンゴーかき氷」(750円)

●information
石畳茶屋 真珠
住所: 沖縄県那覇市首里金城町1丁目23
営業時間: 10:00~17:00
駐車場: なし
定休日: 火曜日

夕食は「あしびうなぁ」で庭を見ながら

夕方から夜にかけては、昼の熱気も少しだけ落ち着く。夕食は夕涼みも兼ねて、枯れ山水の庭に臨む縁側で沖縄料理を味わえる「琉球茶房 あしびうなぁ」でとってはいかがだろうか。

「あしびうなぁ」が位置するのは、首里城公園「久慶門」にほど近い「当蔵」交差点の目と鼻の先。首里城見学コースの出口に近いため、首里城公園を発つ際に立ち寄るのもいいだろう。

「琉球茶房 あしびうなぁ」

店内には93席を用意しており、カップルにも人気の縁側席は計21席。面する庭は枯れ山水のあしらいで、日が暮れると時折涼しい風が通り抜ける。

縁側から臨む庭

夜のメニューで店長のオススメが「中山第一御膳(ちゅうざんだいいちごぜん)」(2,160円)だ。先付け3品と御膳6品がセットになった同メニューでは、お手頃価格で琉球料理のエッセンスを楽しめる。これに加えて、一品料理や泡盛などを追加オーダーするのもありだ。今回は、「菊之露VIPゴールド」(グラス756円~)をロックでいただいた。

「中山第一御膳(ちゅうざんだいいちごぜん)」(2,160円)。右下のグラスが泡盛の「菊之露VIPゴールド」(グラス756円)

先付けの3品は、「島らっきょう」「スーチカー(豚三枚肉の塩漬け)」「もずく酢」。塩気の効いた「スーチカー」は泡盛とも相性抜群だ。少量ずつ楽しむ御膳の6品も、さっぱりといただける「ミミガー酢」「島蛸の刺身と海ぶどう」からボリューム感のある「ラフテーと島豆腐の炊き合わせ」、風味豊かな「じーまーみ豆富」とバラエティに富んでいる。

先付けの3品。左から「島らっきょう」「スーチカー(豚三枚肉の塩漬け)」「もずく酢」

店内には沖縄民謡が流れ、縁側を通る風の音や宴席のにぎわいも心地いい。泡盛のグラスを傾けながら琉球料理をつまんでいると、あわただしい日常をつかの間忘れられた気がした。

つかの間、時間を忘れて過ごせる店だ

●information
琉球茶房 あしびうなぁ
住所: 沖縄県那覇市首里当蔵町1丁目14
営業時間: 昼の部 11:00~15:00
夜の部 17:00~23:00(L.O.22:00)
駐車場: あり
定休日: 旧盆・研修日など(公式サイトにて告知)

「サンセットラウンジ」で夜景を堪能

夕食を終えたら、最後はホテルに戻って一息。「ダブルツリー by ヒルトン那覇首里城」の最上階(20階)にあるバー「サンセットラウンジ」で夜景を眺めながら1日を振り返るのもいいだろう。

「ダブルツリー by ヒルトン那覇首里城」最上階(20階)のバー「サンセットラウンジ」

冬が終わり大地が潤う、沖縄の最も美しい季節を指す言葉を名前にした「うりずん」(1,000円・税/サービス料別)や、南国の花・ハイビスカスをイメージした「ハイビスカスパンチ」(1,150円・税/サービス料別)など、沖縄にちなんだカクテルも多い。眼下に広がる光の海と共に、南の島の夜をじっくりと味わおう。なお、カバーチャージは1人500円となる。

左から「うりずん」(1,000円・税/サービス料別)、「ハイビスカスパンチ」(1,150円・税/サービス料別)

●information
サンセットラウンジ
住所: 沖縄県那覇市首里山川町1-132-1
営業時間: 18:00~24:00(L.O. フード23:00/ドリンク23:30)
駐車場: あり
定休日: 無休

首里城周辺は、かつて琉球王国の城下町として栄えた歴史を持つ"文化の街"だ。海は少し遠いが見晴らしがよく、那覇の街並みやその向こうに広がる海岸線を見下ろせる眺望も魅力。1度目の沖縄旅行は海を味わうとしても、2度目・3度目の沖縄旅行は、古都・首里の街並みを散策してみてはいかがだろうか。また違った沖縄の"顔"に出会えるはずだ。

取材協力: ダブルツリー by ヒルトン那覇首里城

※税別表記のあるもの以外、価格は全て税込。記事中の情報・価格は2016年7月取材時のもの