6人の学生がチームを作り、3kWという消費電力の範囲で、アプリケーションの実行性能や、HPCに関する知識などを競う「Student Cluster Competition(SCC)」は、HPC分野では人気の高い競技である。

そして、各チームのブースが並んだ一角にはStudent Cluster Competitionの横断幕が掲げられた。

今年の課題アプリは例年の「LINPACK」に加えて、「HPCC」、「Graph500-1」、「Graph500-2」、「Splotch-1」、「Splotch-2(レイトレース)」と「WRF(気象)」である。Graph500-1とGraph500-2は同じアプリであるが、入力データが異なる。これはSplotchの場合も同じである。これらの事前に公表されるアプリについては勉強して置くのは当然であるが、入力データは競技開始時に与えられるので、事前にまったく同じ条件で実行してみることはできないようになっている。

今年のミステリアプリは例年とは趣向が違う。アプリはWRFとCloverleaf(圧縮流体)であるが、実行時間を競うのではなく、1時間以内に実行を完了するということを満足し、システムのピーク消費電力が小さいほど得点が高いという採点方法が採られた。このため、各チームはフルシステムでの実行時間から、実行能力が過剰になると考えられるサーバの電源をオフにして電力を減らすなどの対応をとっていた。

今回のISC 2016で開催されたSCCには、次の12チームが参加した。

Centre for High Performance Computing(CHPC)

南アフリカのCenter for HPCは、ISC 2014では優勝、昨年のISC 2015では準優勝の強豪校である。

Purdue University and University of Colorado, Boulder

パデュー大学とコロラド大学の連合軍。SCCの常連である。

Nanyang Technological University

シンガポールのNanyang大学(南洋理工大学)はアジアでもトップクラスの名門校である。

National Energy Research Scientific Computing Center(NERSC)

ローレンスバークレイ国立研究所に属する米国の基幹計算センターの1つで、Coriスパコンを擁している。NERSCには学生はいないが、常時、多くのインターンの学生がきているので、その中からチームを結成してSCCに参加している。SCC参加は始めてであるが、All-Girlチームを結成して参戦した。

University of Science and Technology of China(USTC)

中国科学技術大学。中国の科学アカデミーが設立した拠点校である。

University of Hamburg

地元ドイツからの出場である。

Tsinghua University

中国の理工系の名門である清華大学。昨年のISC 2015では優勝の強豪である。

University of Tartu

エストニアのタルツ大学。

Boston Green Team

ボストン大学とノースイースタン大学の連合チーム。CaviumのThunderXプロセサを使うE4システムのクラスタでSCCに挑戦した。

Universitat Politecnica De Catalunya Barcelona Tech(UPC)

スペインのチーム。こちらもE4システムのThunderX ARMサーバでSCCに挑戦した。

Huazhong University of Science & Technology

武漢にある華中科技大学。

Shanghai Jiao Tong University

上海交通大学。理工系の名門大学である。

ISC 2016のSCCでは、HUSTとHamburgが前回のLINPACKの性能を更新し、12.57TFlopsを出したHUSTが最高性能賞を受賞した。

そして、SCC全体では、80.81%のスコアを獲得した南アフリカのCHPCが総合優勝に輝いた。

総合2位は76.91%のスコアをマークした清華大チーム、総合3位は68.92%のスコアをマークした上海交通大チームである。また、惜しくも表彰を逃した4位は中国科学技術大チームとなった。