Appleのモバイル決済サービス、Apple Payは、開発者会議WWDC16で、Apple Watchのアプリ内での決済をサポートすると表明。またmacOS SierraではウェブブラウザからApple Payの決済を利用できる「Apple Pay on the Web」を披露し、macOS Sierraの目玉の新機能の一つに加えた。

Apple PayのMac対応についてアナウンスする際、Macを店頭に持ち運んでリーダーに近づけるジョークの写真を紹介して、笑いを誘った。実際は、もっとスマートな方法で実現することになる

Apple Payは米国で始まり、英国、カナダ、オーストラリア、中国、シンガポールへと広がっている。加えて、スイス、フランス、香港での利用が可能になる。

Apple Payをサポートする国は9カ国に増加した。日本への導入も待たれるところだ。カード会社の足並みをそろえること、そして日本では特にイトーヨーカードやイオンといった小売大手とコンビニでのサポートが普及の鍵になりそうだ

Appleへの手数料を負担するのはクレジットカード会社で、より手軽に利用できるようする顧客体験の向上(=利用額の増加)と、カードの不正利用の防止や盗難などよる再発行等のコスト削減が、導入のメリットとなっている。

ユーザーにとってはセキュリティと、オンラインショッピングの場合は面倒な入力の省略という2つの利点がある。後者はとにかく、セキュリティは重要な問題だ。

店舗にしてもオンラインショップにしても、用心していてもスキミングの被害を防ぐことはできずにいたからだ。筆者もたった4年間の短い米国生活であっても、リアル店舗、オンラインの双方で、スキミングの被害に遭っている。

スキミングの被害に遭うと、すぐにクレジットカードから確認の電話がかかってくる。急に「トルコで飛行機のチケットを買いましたか?」「モスクワで食料品を買いましたか?」と電話がかかってきて、「やられた」と気づくのだ。

もちろん、不正利用額は全額保証されるため、支払う義務はない。しかしそのカードは止められ、カードが再発行されて届くまでの10営業日ほど、カードが使えない生活を余儀なくされる。カード決済のケータイや日本でいうETCなどの支払いも全て新しいカードに切り替えなければならないし、現金をあまり持たない生活の中で、カードがないことは非常に不便なのだ。

Apple Payは、こうした既存のカード利用に起きていた問題点を解決する方法の1つとして期待されている。