2016年5月17日~20日(一般公開は19、20日)に富士通は、東京国際フォーラムにおいて「富士通フォーラム2016」を開催したが。同展において、富士通とExaScalerは共同展示という形で液浸のビジネスサーバ群を披露した。

富士通フォーラム2016での液浸サーバの展示の様子。左下の液浸槽から1個のブリックを半分引き抜いた状態で展示している

なお、この展示は先進技術としての参考出展であり、現時点では液浸サーバは富士通の商品として提供されてはいない。

液浸槽を上から見たところ。手前側に8本のブリックが見え、青いカバーの奥にも8本収容でき、合計16ブリックを収容。なお、ブリックに小形のファンが見えるが、これは電源に組み込まれているもので、ファームウェア変更で稼働させていないが、取り外すと特注品となってコストアップになるので残してあるとのことである

これまでPEZY/ExaScalerは、自社開発のメニーコアのPEZY-SCチップを使うスパコンを前面に出していたが、今回は、富士通と共同展示によりビジネス向けのXeonサーバ3種とストレージサーバ2種を公開。一挙に5種の液浸サーバの展示と言うのは圧巻であった。

展示された5種のサーバブリックを前にして、説明を行うExaScalerの齊藤会長

展示されたサーバブリックは、Xeon E5-2660 v3を16個搭載するマルチXeonサーバブリック、Xeon E5-2650 v3を4個とGPU(現在はKnights Corner)8台を搭載するマルチGPGPUブリック、Xeon D1577を64個搭載するマルチXeon Dサーバブリックの3種である。マルチXeon Dブリックは、全体では1024コア、DDR4 DRAMが4TBという高密度サーバとなる。

これらに加えて、24台の8TB HDDと24台の480GB SSDを搭載するストレージノードブリックと、1TBのM.2 SSDを1480台搭載するオールフラッシュストレージノードブリックも展示した。

ExaScalerの液浸槽には16ブリックが収容できるので、全部をマルチXeon Dブリックとすれば16,384コアで64TBのDRAMを搭載したかなりの規模のサーバになる。また、全部をオールフラッシュストレージブリックとすると、24PBのフラッシュストレージとなる。

むき出しのM.2 SSD(白い長方形のラベルが貼られている)を1480台収容するオールフラッシュストレージノードブリック

フロリナートという絶縁性の液体に直漬けして冷却しているので、体積当たりにすると、空気の1000倍の熱を運ぶことができる。そのため、このような高密度の実装でも冷却が可能となっている。

そして、熱はフロリナートで運び出してしまうので、サーバルームの空調は不要であり、これが大きな省電力化となる。また、空気を循環させるファンも不要であり、騒音もほとんど無くなる。

なお、富士通は、子会社の富山富士通にこの液浸サーバを設置し、実機による機能評価を行っており、試算では従来よりも設置スペースを約70%削減、消費電力も30%以上削減可能と見ている。また、2016年度中には社内の仮想デスクトップ環境の一部に液浸サーバを適用することを見込んでいる。