TBSの林みなほアナウンサー(26)が土曜の朝に新風を巻き起こす。4月より土曜朝のTBS系報道番組『あさチャン!サタデー』(毎週土曜5:30~7:00)で、久保田智子アナの後任として自身初となる報道キャスターに就任した。

辻丸良明プロデューサーは「土曜朝の報道番組。明るくて躍動感のある番組にしたいと思い、"明るさ"、"快活さ"、"押し出しの強さ"のある林アナを起用した。また、林アナと同じくらいの若い世代にも政治や経済に興味を持ってもらえる一助になれば」と起用理由を説明。「すごく努力していて、狙い通りに育ってくれている」と早くも手ごたえを感じているようだ。

報道の世界は、林アナにとっては新たな領域。就任が決定した時はどんな気持ちだったのか、そして、約1カ月やってみての感想、今後の目標などを本人にインタビューした。

――就任が決定した時はどんな気持ちでしたか?

TBSの林みなほアナウンサー

報道のメインキャスターは初挑戦でしたし、前任者が久保田さんということで、プレッシャーはありましたが、入社5年目の春にこのような責任のあるお仕事を任せていただいたことに単純にうれしく思いました。

――約1カ月たちましたが、いかがですか?

就任に加え、この1カ月の間に、『あさチャン!サタデー』の時間帯を含めて熊本地震に関する報道特番を2回担当させてもらったことで、あらためて深く報道の在り方を考えるようになりました。「被災者が必要としているものは何か」「ひとりよがり(番組よがり)の放送になっていないか」など。地震時のマニュアルがあり、対策はしているのですが、実際そういう状況になるとマニュアルの言葉では伝わらないだろうなと感じ、本当に伝えたい想いを届ける大切さや寄り添う力の大切さ…報道人である前に人としての部分を大切にできたらいいなと思いました。

――最初の1カ月でものすごく大きな経験をされたんですね。ちなみに、地震時のマニュアルはどういうものですか?

地震に関するスーパー(画面に登場する文字)が出た時の対応方法や、注意喚起の言葉などがあります。それらの基本ができた上で、さらに臨機応変に対応する必要があり、そこでは人間力も問われると思いました。今回、さまざまな震災特番を見て、このキャスターは普段から人に寄り添える優しい方なんだろうな、とか、視野を広く持って放送に臨み、いま番組をつけた人にも親切な放送、例えば概要をおさらいしながら進める方などがいて、学ぶべきことがたくさんありました。自分が今すぐ実際できるかというとまだまだそうはいかないですが、最終的にそういう風になれたらという思いは強くあります。

――具体的に目標としている方はいますか?

"この人"というのはなく、いろんな方のいろんな要素も取り入れながらオリジナルを作りたいと思っています。ただ、ジャンルで分けるならば、クールでかっこいいキャスターより、熱くて情に厚いキャスターに憧れます。人の痛みに寄り添えて、器が大きくて視野が広い、人間として余裕のある人…そういった人間力の高い人が素敵だなと。尊敬している方の1人に(TBSの)堀井美香アナウンサーがいます。堀井アナウンサーは、アナウンサーの鑑(かがみ)です。出過ぎず引き過ぎず…押し引きがとにかく素晴らしい方です。場の空気の操り方が絶妙ですし、七色の声を持っていらして、プロフェッショナルです。そういった尊敬する部分をいろんな人から学んでいきたいです。

――ベテランの佐古忠彦さんとのタッグはいかがですか?

絶対的に信頼できる報道マンがいるというのは心強いです。今はまだ、メインキャスターとして隣に並んでいるというより、佐古さんのサポート役という立場かなと思っています。震災特番の時もそうでしたが、出演する側の人間として見える視野を生かして、この原稿は今はいらないと思ったら見せないとか、フリップ1枚出すにしても、佐古さんがやりやすいようにと意識しています。

――佐古さんとの関係性は少しずつ変わっていきそうですね。

佐古さんも経験されていくので追いつくことはありませんが(笑)、横にいるだけで学べることがたくさんあります。いろんな状況への対応やコメンテーターの方との会話から、政治についてこういう視点があるんだなと知ることができ、自分の蓄えになっていると思いますし、単純におもしろいですね。5年目まであまり触れてこなかったジャンルですが、知らないことを知る楽しさや刺激があります。