「ブランド効果測定」の利用方法として繰り返し語られたのが、継続的な測定を行うことの重要さだ。

「1度で判断するのではなく、継続的に測定することをお勧めしています。広告でまずはブランド認知の獲得を目標とするかと思いますが、そこから商品やサービスの購入に至るまでにはさまざまな要因が必要となります。そこを乗り越えるための一つのポイントがターゲットの興味の対象に合わせたブランドメッセージを送り続けるということです。それによってメッセージを受け入れやすく、また関心を持ちやすくなることが考えられます。さらに、メッセージが効いているかどうかを、繰り返し調査を行うことで検証し、最適化して行くことができるのが効果測定のメリットです。「ブランド効果測定」によって、最適なターゲティングと最適なメッセージの組み合わせを検証することができるのです」と翁氏は語る。

そして、そうした最適解を探す動きにおいて重要となるのが、事前の目標設定だという。広告によって何を達成したいのかという目標を設定し、測定結果を活かして改善し続けることが必要なのだ。

「動画広告のキャンペーンにおいて、ブランドの認知度や好意度の上昇や、ブランド関連キーワード、例えばGoogle検索でコンバージョンしやすい特定のキーワードの検索数の上昇を目指すというのが基本的な目標設定ですが、その前に、まずその動画広告のみならずキャンペーン全体で何を達成したいのか、それを達成するために動画広告が果たすべき要素は何なのかを明らかにする必要があります。例えば、売上を上げるというのは最終目標ですが、売上を上げるために必要なのは何か。ブランド好意度が高い方ほど購入率が高い、だが競合他社と比べてブランドの認知度が低いのが課題としてある場合、まずはブランド認知度と好意度を高めることだけを今回の動画広告キャンペーンの役割とする、などです。どんな要素上げたら最終的な売り上げに効果がありそうなのかといった仮説を持って取り組み、常にその結果と向き合って検証するのがマーケターの仕事だと思います。そのため1度測定するだけでは意味がありません。目標を持って取り組み、結果を見て何が悪かったのかを見直し、目標を達成しつづけることが重要でしょう」と中村氏。

継続的な測定と改善によって、より動画広告のクリエイティブの質も向上する。テレビCM用のコンテンツをそのまま流用するのもひとつの手だが、ユーザーの興味・関心事に合わせた内容にしたり、モバイルデバイスから視聴されるシチュエーションを考えたりすることで、最適な表現も見えてくるはずだ。

「ブランド効果測定」のユーザーに向けて、Googleではケーススタディの提供などを含めたアドバイスも行っているという。

「例えば、Googleトレンドなどのデータがありますので、特定時期に急激に検索数が伸びるキーワードもわかりますので、バレンタイン向けなら2カ月前に検索数が急上昇し始める、というような事実を提案しています。また「ブランド効果測定」の結果に対する改善アドバイスなども営業担当者が行っています」と中村氏。

広告を掲出する時間やターゲティングについてより具体的なアドバイスなどを求める広告主もいるようだが、まずはそうしたデータを元にしたアドバイスを受けた上で、定期的な測定を行い、自社の最適解を探すべきなのだろう。

広告代理店ではなく、YouTubeという場を提供する企業であるGoogle だからこそのアドバイスとして、中村氏からはコンテンツそのものの魅力強化が指摘された。

「YouTubeに動画をアップロードすれば、広告として出稿している期間以外でも、動画はYouTube上にありますしGoogleの検索結果でもYouTube動画は出てきます。つまり、これまでは「動画広告を出す」という目的でクリエイティブを制作してTVCMなどで出稿しても、その動画自体は後に残りませんでしたが、YouTubeを活用すれば、企業自体がコンテンツオーナーになっているのです。そのため、企業が一方的に伝えたいメッセージを発信するのではなく、ターゲットにとって魅力ある、自ら見たくなるようなコンテンツを制作することが重要で、そうすれば検索や関連動画などから見つけてもらえます。」と中村氏。

広告出稿期間以外にも効果が得られる可能性が高いことなど、同じ動画を使ったものながらオンライン動画広告とテレビCMは大きく違うことがわかる。今ひとつ手応えを感じられていない状況ならば、ぜひ目標設定を行った上でコンテンツを制作しよう。その上で、効果測定を定期的に活用すること。これがGoogle の提案する、動画広告の活用方法だ。