【レポート】

2015年は「モバイル決済」元年、2016年は日本市場の大変革に注目

1 モバイル決済の展望

 
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筆者はここ数年、スマートフォンなどのモバイル機器を使った決済システムやマーケティング技術に関する取材を続けているが、今年2015年は特に「モバイル決済」に関する動きが激しかった年だと認識している。そこで今回は、「モバイル決済」「モバイル市場全般」の2部構成で2015年を振り返りつつ、2016年以降の展望をみていきたい。

2016年のApple Pay

Apple Payの登場そのものは2014年10月で、サービス開始からすでに1年以上が経過している。Apple Payが成功したか否かを議論するのはまだ時期が早いと思うが、アピールという点でいえば、かつてない成功を収めたサービスだと考えている。それまで、AppleはiPhoneにNFC(Near Field Communication)の技術を搭載せず、QRコードを使ったウォレット型アプリ「Passbook」を搭載してサードパーティの参加を呼びかけていたこともあり、このAppleの動きは業界に驚きと歓迎をもって迎えられた。折しも、GoogleがNFCを使った「Google Wallet」の提供を開始するものの携帯キャリアらによる抵抗や幾多の問題でローンチに失敗し、そのライバルとなる携帯キャリア自身のウォレットサービスの立ち上げと遅々として進まないなか、シリコンバレーのスタートアップ企業を中心に「NFC is (already) dead. (NFCはすでに死んでいる)」とまで表現されていたからだ。

Apple Payに関しては(クレジット/デビットカードを発行する)対応銀行の数を増やしつつ、英国、オーストラリア、カナダとサービス地域を米国以外にも順次拡大している。つい先日には、Appleと中国の銀聯(China UnionPay)が提携を正式発表し、2016年早々にも中国国内での提供開始が予告されている。順風満帆に見えるApple Payだが、次なる課題は「既存ユーザーのつなぎとめ」と「ユーザーのさらなる拡大だ」。

以前にも記事で紹介したが、最初にローンチされた米国でApple Payの利用比率が減っているアンケート調査結果が出ている。現在のところ、"傾向がみえる"という程度でしかないが、日本においても「おサイフケータイ」で「ユーザー拡大の頭打ち」という同様の傾向がみられたため、そう遠くない将来にApple Payでも顕在化した問題として認知されてくるはずだ。対策は「さらなる利便性の向上」と「継続して使い続けるメリットの打ち出し」で、対応店舗やサービスの拡大、さらにポイント連動やロイヤリティカードとの連携など、「利便性」と「お得感」の打ち出しが求められる。Apple Payそのものに関する2016年の注目ポイントはここだろう。

Apple Payの登場とライバルたち

死んだといわれたNFCを引っさげて登場したApple Payの登場は(正確にいうと現在のApple PayはNFC互換ではないのだが……)、ライバルらの動向に大きな影響を与えた。まず、米国携帯キャリア3社のジョイントベンチャーであるSoftcard (旧名Isis)は2015年1月にGoogleに買収され、Google Walletの一部として取り込まれることになった。同社はさらに、これまで利用可能なハードウェアの制限のあったGoogle WalletやSoftcardのサービスをオーバーライドする形で「Android Pay」を今夏にリリースしている。「クラウド」と「ソフトウェア」を組み合わせた新方式を採用しているのが特徴で、Android 4.4以降のOSを搭載してNFCにさえ対応していれば、基本的にはどの機種でも利用できる点が特徴だ。実際、SoftcardとGoogle Wallet (NFC)が利用できなかった筆者手持ちのNexus 5は、Android Payリリースとともにサービスが利用できるようになっている。

Apple Payの登場はライバルたちの動向にも大きく作用した

さらに2月には、MST(Magnetic Secure Transmission)という磁気カードと同じ動作をエミュレーションする技術とウォレットサービスを開発するLoopPayという企業をSamsungが買収し、3月に「Samsung Pay」の名称でGalaxyスマートフォン向けのサービスで発表している。Samsung PayではMSTによる磁気カードエミュレーションのほか、NFCによるタップ&ペイ、オンライン決済に対応するほか、さらにカード情報をソフトウェア的にKNOX技術を使って記録する方式を採用した点が特徴となっている。仕組み的にはGoogleがAndroid Payとともに推進しているHCE(Host Card Emulation)に近いもので、「サービスを利用するのに携帯キャリアやハードウェアの種類は選ばない」という、最近のモバイル決済トレンドを反映したものだ。もっとも、Samsung Payは「Galaxy限定」なのだが。

同様に「ウォレット」方式でモバイル決済に参入する例は増えており、米大手銀行のChase、端末メーカーのLGがそれぞれ「~ Pay」系のサービス提供を発表している。以前、Google Wallet(Softcard)やApple PayのライバルといわれていたMCX(Merchant Customer Exchange)も、テストパイロットではあるが「CurrentC(カレンシー)」を一部都市での提供を開始している。一方で、MCX参加企業のWal-MartやTargetは独自のウォレットサービスの提供を開始していたりと、必ずしも足並みが揃っているように見えない点も興味深い。なお、このウォレットを使ったモバイル決済の世界にはMicrosoftが参入してくるという噂もあり、来年以降の動向に注目したい。

独自のウォレットサービスの提供を開始した米Wal-Mart Stores

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インデックス

目次
(1) モバイル決済の展望
(2) 日本では普及するか
(3) モバイル市場は試練の年に

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