左から終始無言で職人気質なカメラマン・橋本政明(田中要次)、いつも大雑把なディレクター・瀬川学(小澤征悦)、金に目がない現地通訳・マゼラン(岡安章介)、熱血キャラのイメージに悩む俳優・杉崎正雄(藤原竜也)、ノリと勢いだけで乗り切ろうとする適当プロデューサー・井坂善三(ユースケ・サンタマリア)、バカバカしいことで盛り上がるおじさんスタッフに呆れているAD・赤田たまき(佐野ひなこ) (C)2015「探検隊の栄光」製作委員会

――もともと演技は苦手だったそうですね。何をきっかけに、そこを追求しようと思ったんですか。

……そうです(笑)。本当にこの映画の影響は大きいです。大変なロケ地でのタイトなスケジュール、何回と重ねたリハーサル……この作品をきっかけに演技の「幅」についてすごく考えるようになりましたし、有名な原作だったり、参考になったものがあったり、作品によっていろんな方向性があるので、新しいものに挑戦することが本当に楽しくなりました。そして、もっともっと演技で成長したいとも思えるようになりました。監督は恩人です。一言のセリフを40~50分繰り返したことは一生忘れません(笑)。

――ちなみにどんなセリフですか。

「トゥルースって言った」です。

――大事なセリフですね。

はい。それを繰り返して、監督からは「違う」「変わってない」「もう1回」と次々オーダーが(笑)。

――最後にOKが出た時はどんな反応だったんですか。

「そんぐらいで行こう」みたいな返答でした。

――粘ったわりにリアクションが薄い(笑)。

たぶん、どストライクではなくて、ストライクゾーンに入ってきたような感じだったんだと思います。40分ぐらい経過した時に、思わず「もう! 分かりません!」って叫んでしまいました(笑)。

――演技の苦手意識と関連する話題なのですが、もともとグラビアに抵抗があったんですよね。でも、"51センチのくびれ"で佐野さんのことを知った人も多いと思います。

そうです。もともと芸能界を目指していたわけではなくて、モデルをやりたくてこの業界に入ったような感じで。グラビアをやるとグラビアアイドルという肩書きが決まってしまいそうな気がして、最初は少し抵抗がありました。でも、グラビアアイドルというイメージがないまま女優さんをやる方もいるので、ちょっとやってみようかなというところがはじめるきっかけです。

たくさん表紙とかをやらせてもらえるなんて想像していなかったので、「実は私に向いていることなのかな」と後から思うようになりました。でも、やっぱりやってみるとそんなに甘いものじゃなくて、ポージングも難しいですしたくさん苦労もありました。

――くびれを維持するのも大変だと思いますが、そういう使命感もグラビアをはじめたからこそ芽生えたことだったんですね。

はい。ウエストも最初は意識したことはありませんでしたが、グラビアをやるとそこも目立ちますし、そのくびれがなくなったら私のグラビアの魅力がなくなっちゃうんじゃないかなという危機感みたいなものも。あとはせっかく評価していただいたところでもあるので、そこはなんとしてもキープしなきゃと思っています。認めていただいたこと、注目していただいたことは「もっともっと」という追求心でがんばっています。

――この業界に入る前は読者モデルをやっていたそうですね。どのようなきっかけではじめることになったのでしょうか。

都内の高校に通っていて、髪の毛を染めるのは校則で禁止されていたので夏休みだけ染めていたんですけど、夏休みの終わり頃に黒髪に戻さないといけなくて。ちょうどその時に美容師さんに声をかけていただきました。怪しいなと思ったんですけど、有名な美容室だったのでそれをきっかけにサロンモデルをすることに。

そこからヘアカタログを見た出版社の方から雑誌モデルのオファーをいただきました。読者モデルをはじめたのは高校2年生ぐらいで高校3年生ぐらいまで続けました。スケジュール管理ももちろん自分。1日に4つぐらいの撮影が毎日続くような生活で、そういう個人事務所のような状態が、私にとっての読者モデル時代です。

芸能界に入ることはあまり考えていなかったんですけど、そういう状況もあって具体的に事務所に入ることを目指すようになりました。読者モデルを続けていくか、大学に進学するか、事務所に入るか。高校3年生でそれぞれの進路を考えた時に、大学の選択肢はなかったので「スカウトキャラバン」を受けることにしました。

――好きな言葉は「マイペース」と聞きました。お話するとそんな印象も受けますが、経歴を見るとそうじゃないのかなとも。今も変わらず好きな言葉ですか?

そうですね。マネージャーさんとか見てても「なんでそんなに急ぐの?」「すごく急かされるなぁ」とか思ってしまいます(笑)。

――そういうところはいつまでも変わらないでいてほしい(笑)。

いえ! 21歳になりますし(取材は9月)、成長しなきゃいけません! 徐々に大人の佐野ひなこになっていければなと思います(笑)。

■プロフィール
佐野ひなこ
1994年10月13日生まれ。東京都出身。身長160センチ。読者モデルを経て、2012年の「ホリプロタレントスカウトキャラバン」のファイナリストに選ばれ、芸能界入り。2013年に『週刊ヤングマガジン』でデビューし、2014年に雑誌『ViVi』の専属ビューティー・ミューズに抜擢される。2014年からは女優としても活動し、これまで『水球ヤンキース』(14年・フジテレビ系)、『地獄先生ぬ~べ~』(14年・日本テレビ系)、『デスノート』(15年・日本テレビ)などのドラマに出演した。