パナソニックは8月26日、自宅の様子をスマートフォンから確認できるホームネットワークシステム「スマ@ホーム システム」を発表した。同日開催の新製品発表会では、新製品の開発背景や、導入のメリットが解説されたほか、実機を使ったデモンストレーションなどが行われた。

【左】今回発表の屋内カメラとホームユニットを持つ女性。片手で持てるほどコンパクト。屋内カメラは状況に応じてリビングや玄関など、簡単に移動できるようにしたという。【右】スマ@ホーム システムのラインナップ

スマ@ホーム システムは、外出先でもスマートフォンなどから自宅の様子を確認できるシステム。今回発表されたスマ@ホーム システムは、1台の「ホームユニット」と、それに接続するカメラやセンサーといった機器で構成される。ホームユニットが自宅の無線LAN経由でインターネットに接続し、スマートフォンなどへ通知を送る仕組み。

家屋や家族構成に応じて機器を組み合わせることで、防犯や見守り用のシステムを比較的安価に、容易な設定で導入できるのが特徴だ。今回発表された第1弾は全部で5製品だが、個々の製品については、こちらの記事を参照のこと。

スマ@ホーム システムの仕組み。センサーの反応をきっかけに、カメラの映像などをホームユニット経由でスマートフォンに伝え、スマートフォン上から操作や音声のやりとりが可能だ

防犯意識が高まっている

パナソニック コンシューマーマーケティング ジャパン本部 本部長 中島幸男氏

発表会の冒頭、パナソニック コンシューマーマーケティング ジャパン本部 本部長の中島幸男氏が壇上に立ち、今回投入する新製品を第1弾として、「ホームセーフティー」「見守り」といったテーマの製品を展開していくと宣言。また、今回の新製品を投入するに至った背景を説明した。

パナソニックの調査によれば、セキュリティについて、7割以上の人が何らかの不安を感じており、一般家庭でも防犯意識が高まっていることが明らかとなった。また、総務省の調査では、共稼ぎ世帯が1,000万世帯超、高齢者の単身・二人暮らしが約1,122万世帯という結果も出ている。留守宅や離れて暮らす家族の様子を気がかりに思う人が増加する傾向にあるなか、従来のホームセキュリティシステムや防犯機器は、ランニングコストや設置の難しさがハードルとなって導入が進みにくいというのが現状だ。

家の中の様子をスマートフォンで確認できる製品について、設置に対して前向きな回答をした人は6割以上いた。特に、ペットを飼っている人や子育て中の母親、要介護者の同居者では7~8割の人が設置に前向きな回答をしたという。そこでパナソニックでは、家の中を見守るニーズがあると判断。先述したハードルをクリアすべく、導入が容易でランニングコストもあまりかからないスマ@ホーム システムを市場に投入する運びとなった。

パナソニックでは、これまでもスマートフォンとつながる家電製品や、家庭内のエネルギー管理システム「スマートHEMS」など、ネットワークを活用した製品を提案してきた。

今回のスマ@ホーム システムも、無線LAN(Wi-Fi)やスマートフォンを使用する環境への導入が前提となっており、今後は他の家電製品と接続してコントロールできるようにするなど、事業を拡大していく。

【左】パナソニックの調査では、ホームセキュリティや防犯機器をまだ設置していない家庭が7割強。導入していない理由として、費用と設置の難しさが挙げられている。【右】ペットオーナーや子育てママの約7割、要介護者の同居者の約8割が設置に前向き

将来は家電コントロールやペットケアなどの製品も加えて、事業領域を拡大していく考えだ

パナソニックショップや家電量販店での販売を予定しており、将来はカーショップやペットショップでの展開も期待しているという。発売当初はドアホンの売り場などに置かれることになるだろう。

導入のハードルを低く

パナソニック システムネットワークス社 常務役員 コミュニケーションプロダクツ事業部 事業部長の南恭博氏

続いて、コミュニケーション事業担当の南 恭博氏が登壇。スマ@ホーム システムにおいて、ホームユニットと、屋外・屋内カメラや開閉・人感センサーを接続するために採用されているDECT準拠方式の強みや、スマ@ホーム システムのメリットなどについて語った。

スマ@ホーム システムのメリットは、大きく分けて3つ。スマートフォン専用アプリから設定するだけという初期設定の容易さ、1.9GHz帯のDECT準拠方式を採用するため、電波干渉が少ないこと、月々の定額費用などが不要で、購入時の費用だけで済むということだ。パナソニックでは、これらのメリットにより、導入のハードルが下がり、ホームセーフティー市場全体を拡大できると予想する。

DECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)は、世界で広く普及している無線通信方式の一つであり、日本でも海外でも展開しやすい。海外ではすでに販売している「水漏れセンサー」や「ガラス割れセンサー」「屋内サイレン」「スマートプラグ」といった製品は、国内への投入も検討しているそうだ。南氏は、「スマ@ホーム システムをIoT(Internet of Things、モノのインターネット化)の商品として拡充していく」と述べた。

【左】DECT準拠方式は1.9GHz帯で、他の家電製品との電波干渉が少なく、電力消費量も低いのが強みとされている。【右】スマ@ホーム システムのメリットは、設置が容易で導入しやすいこと、電波干渉が少ないうえ広い家屋でもカバーできること、月額使用料が不要なことなど

今後、国内市場において、2015年度(2014年10月~2015年3月)で約5億円の売上を見込み、2018年度には国内で70~100億円程度を目指す。海外と合わせて、2018年度には400億円弱の売上に伸ばす考えで、中島氏は「次の柱となる事業に育てていきたい」と意気込む。

ガレージにいる不審者を撃退

【左】屋内カメラは、子どもの留守番や独居高齢者の見守りなどでの活用を想定。動体検知、音センサー、温度センサーなども備える。【右】屋外カメラは、玄関やガレージ、庭などへの設置を想定。赤外線LEDを搭載するため、夜間でも映像を確認できる

【左】製品の活用事例を伝える寸劇の一コマ。ガレージに不審者が現れたことをセンサーが感知。リビングの母娘が気付き、カメラを通じて確認、スマートフォン経由で警告することで、不審者を無事に追い払うという内容だ。【右】スマ@ホーム システムのアンバサダーを務める綾瀬はるかさんがビデオで登場。「スマ@ホーム システムは、家族みんなが安心できる便利なシステム。温かい気持ちになれるCMを撮影しているので期待してほしい」とメッセージを残した

【左】会場には展示スペースも。人感センサーに反応があると、ホームユニットは耳障りなブザー音を鳴らして、赤く光る。それと同時にスマートフォンへ通知を送る。【右】スマートフォン上から映像を確認。音声もやりとりできる