KDDIはIoT/WoTへの取り組みとして、開発ボード「CHIRIMEN」の提供に参画している。

開発ボード「CHIRIMEN」

なおKDDIは、2014年10月より開発ボード「Open Web Board (OWB)」を提供している。開発ボードとしては同じだが、CHIRIMENはOWBと複数の異なる点がある。

同じ開発ボードだが、CHIRIMENはOWBと複数の異なる点がある。

  • インタフェース「GPIO/I2C」の実装

  • ソースコードや開発段階からオープン化

  • 一般販売を念頭に開発

GPIO/I2Cの実装

GPIO/I2Cは電子工作では一般的なインタフェースで、ボードの両端にピン穴が用意されている。今回、KDDIではなく、オープンソースプロジェクト「MozOpenHard」の一員として、8月1日2日に行われたMaker Faire Tokyoで参考出展が行われていたCHIRIMENだが、このインタフェースは電子工作という「ものづくり」のために実装したという。

Maker Faire Tokyo

プロジェクトに参加しているKDDI研究所 開発センターの メディア開発グループ 開発エンジニアの関口 直紀氏によると、前回のOWBはスマートフォンや、全てのものがネットに繋がる「IoT」寄りの開発ボードであったのに対し、今回のCHIRIMENは、"ものづくり寄り"な開発ボードとして開発しているのだという。

「GPIO/I2Cのインタフェースで、秋葉原で買ってきた汎用の同じインタフェースを持つ機器を簡単につなぐことが出来ます。OWBでは、Bluetoothなどで無線で簡単に繋げられるというコンセプトがありましたが、簡単という一方で、"ものづくり"の状況からすると、Bluetooth対応のセンサーなどは市場に少なく、単価も高いためコストが高い。GPIO/I2Cで接続できれば、対応する機器の幅が広がりますし、コストも抑えられるので、『ものづくりをしたい』という人にとっては、より敷居が下がります」

GPIO/I2Cで接続してる様子

ソースコードや開発段階からオープン化

先述の通り、CHIRIMENはオープンソースプロジェクトの一環として開発が行われている。Mozilla Japan発祥のオープンソースプロジェクトで、MozOpenHardのFacebookページでは250名を超える開発者らが参加。海外の開発者も参加しているという。

開発の途中経過なども逐次公開しているとのことで、ソースコードが途中から公開されたOWBなどとは異なり、ネイティブな「オープン開発」を目指しているようだ。

KDDIは、Fx0の市場投入時から続く「オープンなインターネットの世界」への取り組みの一環として、このプロジェクトに参画しており、オープンなWebを通して自由な開発が行える環境を、Mozillaらと共に作っていくとのことだ。

MozOpenHard Projectとして展示されていた。Firefox OSで動作しているため、書かれている言語はJavaScript。ハイライト表示の部分はセンサー情報の取得のコードで、APIを叩くだけで取得できる

一般販売を念頭に開発

また、OWBがハッカソンなど限定的な開発ボードの提供であったのに対し、CHIRIMENは一般販売を行っていく。

量産化も検討しており、キックスターターを通じての資金調達、量産準備も行うという。

実際に量産準備の様子が公開されていた

「秋口くらいには提供したいと考えています。初めに、数百枚をコアの開発者に提供し、その後はより広く、世界の開発者に広げていきたいですね」(関口氏)

CHIRIMENは、織物の「ちりめん」から名づけたもので、「Web」という"糸"と「ハードウェア」という"糸"を織り込んで、新たな世界を、日本から世界に広げたいという"意図"が込められている。この糸を、世界に紡いで広げる後押しをしてみたいという人は、Facebookページに注目してもらいたい。

KDDI研究所 開発センターの メディア開発グループ 開発エンジニアの関口 直紀氏