「最近、本当に疲れやすくなった……」とお悩みのあなた。そんなスタミナ不足をフォローするために日夜、栄養剤を胃に流し込んでやいませんか。否! 断じて、否!! 人間は食って、元気になるのが基本である。そこで大量の肉と野菜を食って元気になれると人気の「スタミナじゅうじゅう焼き」を紹介しよう。もちろん大盛りだ!

東中野の名店からのれん分けして27年

開店直後の「千徳」。カウンター9席のみだが戸越界隈でも屈指の人気店

都内一長い商店街という戸越銀座。そこから程近い地下鉄都営浅草線の戸越駅から徒歩30秒程度にある創業26年の「千徳」。第二京浜道路沿いに位置し、車で通った際に行列を見たこともあるという方もきっと多いに違いない。

「千徳」は18時から深夜2時までの営業。そのため、「基本的には仕事帰りの方や地元の常連さんがいらっしゃることが多いですね」と話してくれたのは店長の千徳秀一さん。なんでもこの店、来店客は「男性が8割で、女性はカップルか家族連れがほとんど」だそうだ。そんな仕事終わりの疲れきった男性たちがこぞって注文するというのが「スタミナじゅうじゅう焼き」というメニュー。「ウチのお客さんは大体、これですね。一応中華料理屋なのでラーメンとかもあるんですけど、1日に5杯出るか出ないか(笑)」。

「スタミナじゅうじゅう焼き」はトッピングも豊富。店長オススメは「無臭にんにく」

そんな千徳店長に「スタミナじゅうじゅう焼き」の由来を聞いてみると、「先代の店長である父が、東中野の『大盛軒』という店で働いていて。そこの名物が『鉄板麺』というメニューなんですけど、父が独立した際に『スタミナじゅうじゅう焼き』と名づけ直したんです。スタミナっていっても生卵が入っているだけ。父が子供のころってやっぱ生卵が貴重だったらしく、食べたら精がつくって信じられていたんですよ。昭和っぽいですよね(笑)」。

いや、分かる。れっきとした昭和生まれ、昭和育ちの記者からしてみたら、それだけでもうスタミナ! では早速、半ラーメンとライスがセットになっている「スタミナじゅうじゅう焼きセット」(940円)と、あわせて人気という「ジャンボ餃子」(300円)をオーダー。

カメラのレンズが曇るほどの猛烈な蒸気

タバスコ以外にもラー油をかける方もいるとか。自分好みの味を探すのも楽しいかも

準備してもらっている間にカウンターで目に付いたのがドデカいタバスコの瓶。中華料理屋にタバスコとはかなり珍しい……。「そのタバスコは『スタミナじゅうじゅう焼き』に掛けるとまた風味が変わっておいしいんですよ。緑の瓶はハラペーニョ。赤より酸味とハーブのような風味があるので、さっぱりと食べたいときにオススメです」。

千徳店長のアドバイスをいただいている間にも、コンロにのせられた鉄板が煙を上げるほど熱せられて、山盛りのキャベツと蒸し焼きの豚肉がどっさり。さらにニラ、ニンジン、そして生卵が割り入れられる。そこに千徳店長曰く「秘伝のタレ」を回しかけると……、「じゅううううううぅっ!!! 」とすさまじい勢いで蒸気が上がる。メニュー名にも納得していると、目の前にセットが到着。写真を撮ろうにもカメラのレンズが曇りまくる……。

「秘伝のタレ」をかける瞬間。食欲をそそる香りが店内に蒸気とともに満たされて、鼻腔を直撃

こちらが目の前に登場した「スタミナじゅうじゅう焼き」

上の写真もこちらの写真もレンズが曇っているけど、シズル感と思ってください……

ヘビーと思いきや、あっさり!? 

「熱いうちに生卵を割ってかき混ぜてくださいね。また、タバスコも熱いうちにかけるのが……」。

了解です! 箸で生卵をつつき割り、タバスコをガンガンふりかけると目がっ、目がぁぁぁっ!!!

「オススメなんですけど、タバスコの蒸気も出るので至近距離で浴びないように気をつけてください」。……了解です(先走り過ぎました)。

ともあれ、熱々のじゅうじゅう焼きを口に運ぶと、香ばしさもあるキャベツの甘みと豚肉の旨み、さらにちょっと酸味のきいたタレが渾然となって、めちゃウマ。ふりかけたタバスコの辛味も鉄板で熱せられたせいかキツくなく、酸味のあるタレと生玉子のまろやかさとの相乗効果で、どんどん食欲を増進させる。メニュー名にスタミナと銘打たれているから、かなりヘビーなものを想像していたが予想外にあっさりとした後味だ。

セットについてきた半ラーメンは、平打ちのちぢれ麺。半ラーメンのはずなのに麺量が90gと多いのも嬉しいが、歯ごたえも程よく、これまたあっさりとしたスープとも相性抜群。

こちらが「ジャンボ餃子」、その名の通りのデカさだ。モチモチの皮と餡のキャベツが秀逸

「ちなみに、ライスも麺も『スタミナじゅうじゅう焼き』も3倍の量がある『メガ盛りスタミナセット』(1,500円というものもあるんですけど、正直オススメできないんですよ。以前社会人ラグビーの選手の方が頼まれたのですが、そんな方ですら残されちゃうほどの量があるので(笑)」。

確かに、この3倍の量は難しいかも……と思いながらも、普通量バージョンに関しては双方ともにスルスルと入っていき、完食! 残されたのは確かな満腹感のみ!!

「実際、『スタミナじゅうじゅう焼き』はキャベツの量がかなり多く、豚肉も一度、蒸し焼きにしているので脂が抜けているので意外とヘルシーなんですよ。見た目以上にぺろりと食べられると、お客様には良く言っていただきますね」。

量もかなり食べられて、ヘルシーかつスタミナもバッチリつけられる「千徳」の「スタミナじゅうじゅう焼き」。最近、疲れ気味な方は仕事帰りに立ち寄って、明日への活力を取り込むべし!

※価格はすべて税込

(文・A4studio牛嶋健)