「歓楽街」「眠らない街」とも形容される東京・歌舞伎町は、実はカプセルホテル激戦区でもある。終電に乗り遅れたサラリーマンたちの御用達とイメージする人もいるだろうが、最近の歌舞伎町内のカプセルホテルはちょっと様子が違う。どうも、外国人客の利用が目立つのだ。
ビジネスユースにも答える
区役所通りに面した、まさに"区役所前"という便利な立地にある「新宿区役所前カプセルホテル」も外国人客の利用が多いことで知られている。もちろん、サラリーマンにも人気の施設で、2013年7月にオープンした女性専用フロアも有する"進化型カプセルホテル"として人気を博している。新宿駅から徒歩4~5分という立地もさることながら、このエリアとしては比較的低料金で利用可能なことも人気の秘密だ。
館内に入ってまず驚くのが、フロント奥にあるロッカースペース。明るく清潔感があり、好印象である。何より、衣類とブリーフケースの収納に適したロッカーサイズで、こうした利用者目線のサービスはうれしい。もしロッカーに入りきらない荷物がある時は、フロント前の荷物スペースを利用しよう。合わせてワイヤーや鍵の貸し出しもしているところも、大荷物で旅行する外国人客に人気がある理由のひとつだろう。
さらに4階にある「リラックス&ビジネスラウンジ」は驚きだ。ダークトーンを基調としたシックなインテリアで、空港の会員制ラウンジのような雰囲気をかもし出している。実際のラウンジに負けず劣らず、無線LANやコンセントも完備、パソコンにプリンター、コピー複合機(コイン式・有料)など完備しているので、ビジネスユースにも威力を発揮するだろう。そんなビジネスコーナーの他にも、ゆったりした対面式のソファにひとり用のソファ、なんと100インチの大画面テレビも完備している。
外国人客にも好評の大浴場
肝心のカプセルスペースも無線LANとコンセントが利用でき外国人客にも好評だ。実際に利用していた外国人客に聞いてみたところ、「カプセル内は思った以上にプライバシー性が高く居心地良い」という感想が多く、何より「ピッシッと張られたシーツは見ていて気持ち良い」とも言っていた。
3階にある大浴場とサウナは、白を基調とした明るく清潔感のあるスペース。巡回清掃も徹底されているようだ。やはりカプセルホテルにとって、大浴場とサウナの清潔感はキモと言えるだろう。
浴場には、シャンプーやボディーソープはもちろん、ボディータオルやひげそりなどのアメニティーも完備している。筆者が利用した時も、外国人客が仲間と楽しげに大浴場で楽しんでいたが、注意書きの効果か日本人的なマナーを守って利用している姿に感心させられた。
歌舞伎町にあるカプセルホテルは総じてレベルが高い。その中でも、「新宿区役所前カプセルホテル」のコスパの高さは日本人客にはもちろん、外国人客にも高い支持を得ている様子が印象的だった
※記事中の情報は2015年6月取材時のもの
筆者プロフィール: 瀧澤 信秋(たきざわ のぶあき)
ホテル評論家、旅行作家。オールアバウト公式ホテルガイド、ホテル情報専門メディアホテラーズ編集長、日本旅行作家協会正会員。ホテル評論家として宿泊者・利用者の立場から徹底した現場取材によりホテルや旅館を評論し、ホテルや旅に関するエッセイなども多数発表。テレビやラジオへの出演や雑誌などへの寄稿・連載など多数手がけている。2014年は365日365泊、全て異なるホテルを利用するという企画も実践。著書に『365日365ホテル 上』(マガジンハウス)、『ホテルに騙されるな! プロが教える絶対失敗しない選び方』(光文社新書)などがある。
「ホテル評論家 瀧澤信秋 オフィシャルサイト」