【レポート】

劣悪環境でこそ使えることを目指したインダストリアルIoT - Interop Tokyo 2015

 

ネットワンパートナーズ株式会社 ソリューション事業部 IoTアドバイザー 森川誠一氏

Interop Tokyo 2015(以下、Interop)が今年も開催された。特に2015年6月10日~12日の期間に幕張メッセで開かれた展示会は、約500社のブースが立ち並ぶ国内最大級のICTテクノロジーイベントであり、最新の技術・製品を間近に見られるとあって多くの来場者で賑わった。

今回特に注目したいスペースは「IoT World」だ。Interopでは、1990年代から今で言う“モノのインターネット”が提唱され、さまざまなテクノロジーが紹介されてきた。「IoT元年」とも言われる今年のInteropには、具体的な技術や製品が並び、いよいよ時代が到来してきたという印象だ。

本稿では、IoT Worldオープンステージに登壇したネットワンパートナーズ ソリューション事業部 IoTアドバイザーの森川誠一氏の講演に注目したい。同氏は、「IoTは『古いテクノロジ』の『新しい名前』?」と題した講演を行い、IoTという新しい“ことば”に踊らされることなく、IoTの“ビジネス”で勝機を見出すためのポイントについて解説した。

過酷な環境こそITが求められる時代

森川氏は、講演の冒頭で数枚の写真をスライドに映した。

炎天の日差しの下、地を這うスパゲティ状のネットワークケーブル、パソコンやネットワーク機器、それらを冷やすための扇風機。これらは、2015年5月に幕張海浜公園で開催された世界的な飛行機レース「Red Bull Air Race Chiba 2015」の舞台裏である。VIPルームやプレスルームにネットワークサービスを提供するための設備は、なんと屋外で運用されていたのだ。

さらに森川氏は、公立はこだて未来大学の和田雅昭教授が水産業にITを駆使する「マリンIT」の研究に取り組んでいることも例としてあげた。

これらの事例のポイントは、私たちがよく目にするITとはかけ離れた過酷な環境で、新しいITが求められるようになってきているという点にある。これまでのような快適なデータセンターで用いられるようなIT機器が、そのまま流用できるようなものではない。

100%の新技術はリスクが高い 応用技術だからこそ“使える”

森川氏は話を少し戻して、「そもそもIoTとは、まったく新しい技術なのでしょうか」と疑問を投げかけた。IoTのハードウェア/ソフトウェアを開発するメーカーが、「新しいものである」と言いたいのは当然だ。しかし、「IoTは新しい市場ですが、まったく新しい技術ではなく、既存の慣れ親しんだ技術が活用されています。本当に新しいものだったら、リスクが高くて使えません」と、森川氏は述べた。

では各業界の先進たちに、IoTはどのように受け入れられているのだろうか。インターネット技術の標準を策定するIETFは、2015年3月の会合で「既存のRFCとスマートオブジェクトを組み合わせたものがIoTである」と定義した。また、世界的な家電見本市である2015 インターナショナルCESでは、スマートフォンの周辺機器としてのIoT製品が多く並んでいた。

この点で参考になるのが、2015年5月に開催されたIoT Worldの分類だ。IoT Worldでは、コンシューマIoTとインダストリアルIoTにセッショントラックを分け、それぞれ前者はコネクテッド・カーやウェアラブルデバイスなど、後者はヘルスケアやスマートシティなどの小分類に分けられた。森川氏は「コンシューマ向けと企業向けのIoTは毛色が異なる」として、分けて考える必要性を示唆した。

統合されたインフラとして捉えるべきIoT

今回の講演で森川氏が強調したいのは、インダストリアルIoTのほうだという。

「既存の“インターネット技術”に、IEFTで定義されたIoT独自の“スマートオブジェクト技術”、そして過酷な環境でも耐えうる“環境性能”を付加したIoTが、漁業や農業、交通、電力、医療といった従来のITでは適用できなかった範囲まで、ITを広げる役割を担うのです」(森川氏)

森川氏が提唱する、インダストリアル Internet/IoT 技術的要点

そこで押さえておきたいのが、既存のIT技術である。例えばEthernetは、オフィス内では差すだけで利用できる高速な電線としか扱われない。しかし、IoTのニーズを考慮すると、ポートフィルタリングやシェーピングなどの制御機能を備えた奥深い技術であることがわかる。既存技術を最大限に利用するのがIoTビジネスの要だと、森川氏は強調する。

「おそらく、ベンダーやインテグレータが提出するIoT提案書の7割は、既存の内容になっていることでしょう。既存のインターネットと大きな差がないからこそ、安心して利用できるのです。さらにネットワンパートナーズは、ネットワークなどの個々のIoTユニットを提案するのではなく、IPやデバイス、配線、電力、空調から照明、管理する人に至るまで、統合的に管理するインフラとしてIoTを提案します。シスコシステムズのネットワーク製品を活用したネットワングループのインダストリアルIoTソリューションを、ぜひ体験してみてください」(森川氏)

トレンドであるIoTに関するセッションのため、立ち見が出るほどの盛況。来場者も熱心に聞き入っていた

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