少子化・高齢化の日本では、これらのトレンドが今後の労働や経済にどのような影響を及ぼすのかが注目されているが、米国でも労働人口が大きく変化しているようだ。この15年で55歳以上が労働人口に占める比率が増え、女性の活躍もさらに改善した。だが課題も指摘されている。

就職情報サイトの米CareerBuilderが3月末、2001年と2014年の15年で労働人口がどのように変化しているのかをまとめた報告書を発表した。調査は、同社の子会社で労働市場統計企業のEconomic Modeling Specialists International(EMSI)のデータを元に約800の職業について、性別、年齢、人種について、「The Changing Face of U.S Jobs」としてまとめた。

男女の賃金格差は米国でも

性別では、労働人口に占める女性の比率がほぼ男性と同じとなった。2001年ですでに就業人口の48%を占めていた女性の比率は2014年には49%となり、さらに改善した。数でみると、女性の労働者は2001年から490万人増え、男性の増加数である220万人を上回った。

一方、仕事の種類という点では、男性は全職業の中で72%の職業で就業していたのに対し、女性は21%と偏っていることがわかった。男性は、女性が多い薬剤師、クレジット審査、理学療法士などの職種で増えた一方で、女性は労働関係専門家、景観設計家、農業経営などのこれまで男性中心だった職種で進出しているという。

日本でも男女の賃金格差が指摘されているが、米国でもあるようだ。調査によるとこの15年の間に、外科医、CEO、ソフトウェア開発者など報酬が高く、男性が多くを占める職種で、女性が占める比率が下がった。

このほかに、高報酬の職種は弁護士、政治学者などがあがっている。時間あたりの平均賃金は、男性が25.49ドルであるのに対し、女性は20.85ドルとなり、約5ドルの差があることがわかった。

また、女性の高学歴化が進む一方で、高報酬の職種につながる分野で学ぶ女性が少ない点も指摘している。2001年~2013年の間に大学の学位を取得した女性は男性よりも560万人多かったが、高報酬につながるコンピュータサイエンス、工学、法などの分野では男性が過半数を占めていたという。コンピュータサイエンスの場合、男子学生の比率が83%と圧倒している。

その一方で、製造管理者、電気技師、軍関係、電話回線設定など労働人口が減っている職種のほとんどが、男性中心の仕事であるとも報告している。

年齢についても、ここ15年の間で大きく変化しているようだ。多くを占めるのは35歳~54歳(2001年の62.7%2014年は61.9%)だが、55歳以上は2001年の15%から20%となり、40%増加した。

増加数は830万人で、これはニューヨーク市の人口に相当する数という。一方で、14歳~18歳は33%減少し、占める比率は2001年の4%から2014年には2%と縮小した。労働の高齢化はほぼすべての職種でみられ、55歳以上の労働者が25%以上を占める比率は職種は210件で、2001年の86件から増加した。55歳以上が多い職種は、牧師や聖職者、図書館司書、CEO、小学校・中学校の教育行政などとなっている。

人種ではヒスパニック系、アジア系などが占める比率が増えているという。ヒスパニック系は96%、アジア系は90%の職種で活躍していると報告している。