【レポート】

1,000台の「Pepper」を導入するネスレ日本の狙いとは?

 

ネスレ日本は昨年の10月、ソフトバンクロボティックスの感情認識パーソナルロボット「Pepper」を、「ネスカフェ」のコーヒーマシンの接客に活用すると発表した。2015年末までに全国の家電量販店など1,000店規模での展開を目指す。

すでに昨年の12月からは、家電量販店でコーヒーマシンを販売する「ネスカフェ」コーナーで、Pepperが接客を始めている。現在は人が付いて一緒に販売を行っているが、いずれはPepper単独で、自由度が高く画一的ではない接客をしたいという目標を掲げている。

Pepperによる接客イメージ

全国で不足するコーヒーマシンの説明要員に「Pepper」を採用

ネスレ日本は、「ネスカフェ」をはじめとする様々な製品を幅広く展開している。近年はコンパクトで手軽に利用でき、本格的な味が楽しめる一杯抽出型コーヒーマシンにも注力。家庭向けだけでなく、オフィスでの利用を促進する「ネスカフェアンバサダー」というサービスを展開するなど、多くのユーザーが身近にコーヒーマシンを見かけ、利用できる機会を増やしている。

そうした中での新たな取り組みとしてスタートしたのが、ソフトバンクロボティクスの提供するコミュニケーションロボットとして開発された「Pepper」を使い、コーヒーマシン売り場で接客するという取り組みだ。

ネスレ日本 飲料事業本部 コーヒーシステムビジネス部 部長 大谷謙介氏

「コーヒーマシンはトライアルで買うものではありませんから、店頭で詳しく説明してくれる人が必要です。そこで、これまで十分に伝えられなかったところをPepperでカバーします。導入店舗での反応もよく、売上も伸びています」と語るのは、ネスレ日本 飲料事業本部 コーヒーシステムビジネス部 部長 大谷謙介氏だ。

ネスレが家電量販店を中心に設置する「ネスカフェ」のコーナーは、全国で約2,000カ所あるという。週末を中心に専任のスタッフが店頭で商品説明を行うが、それができるのは50~100店舗程度だ。大半の店舗は説明員を配置できていない。

現在、Pepperは特に集客力のある大型店舗などを中心に25店で展開(2014年12月末時点)しているが、最終的には1,000程度の拠点にPepperを配置する計画だ。これにより、これまで説明員がいなかった店舗でも、平日も含めた365日、いつでも適切な説明が店頭で受けられるようになる。

親子連れを中心に評判は上々、売上への貢献も

ネスレ日本 飲料事業本部 コーヒーシステムビジネス部 アシスタントマーケティングスペシャリスト 田岡凌氏

「2014年夏からプロジェクトがスタートし、12月1日にPepperが店頭で動き出しました。タイトなスケジュールではありましたが、うまくスタートできたと感じています」と語るのは、ネスレ日本 飲料事業本部 コーヒーシステムビジネス部 アシスタントマーケティングスペシャリストである田岡凌氏だ。

ネスレ日本の要件をもとに、ソフトバンクロボティクスがアプリ開発を担当し、運用面を含むプロジェクト推進を両社が連携して行った。

導入前段階では何か事故が起こる可能性はないのかなど店舗側から不安も提示されたが、閉店後の時間を利用して現場テストを行うなどした上で導入。実際に稼働し始めた店頭での評判は上々だ。特に親子連れなどに興味を持ってもらいやすくなり、購買につながっているという。

「現在は1m程度の距離で人が通りかかると反応し、顔認識を行って話しかけます。こうした動きを実現するセンサーは標準搭載のものです」と田岡氏。

Pepperにはコーヒーマシンを紹介するアプリのほかに、コーヒーの嗜好について会話しながら分析して最適なコーヒーマシンを勧める「Cafe診断アプリ」も搭載。さらに、スロットや早口言葉など、ゲームアプリも搭載されている。通りがかった際、Pepperに子供が興味を持ち、遊んでいるうちに購買へつながるという流れができているようだ。

「ビックカメラ 有楽町店」での接客の様子

「お客様の反応は、現在は現地のスタッフが調査しています。通常は月次のレポートを毎日実施し、今後の改善に向けた日々検討を進めています。これを今後はPepper自身が改善に向けた情報収集ができるようにしていきたい」と大谷氏は語る。

いずれはクラウド連携や感情認識機能を活用し、Pepperが顧客の反応などを収集し、更に新しい顧客体験を提供できるように活用範囲を広げる予定だ。

人の代りではない新しい価値を生み出すことへの期待

人を配置できない店舗にPepperを配置するというと、人員不足を解消する試みのように見えるが、ネスレ日本の狙いはそれだけではない。真の目的は、新しい付加価値の創造だ。ロボットの接客を受けるという未来的なショッピング体験の提供を目指しているのだ。

「人の代わりをロボットにさせるのではなく、人にしかできないこと、Pepperにしかできないことがあるはずです」と語る大谷氏が期待することの1つが、Pepperの持つ感情認識能力と、学習機能を活かした接客だ。

開発にあたった田岡氏も「現在は呼び止めて注目を集め、Q&Aで対応するという形です。将来的にはPepperの持つ機能、クラウドから得られる情報なども最大限活用して、より自由な会話を行えるようになって欲しいですね」と語る。

前述の「ネスカフェ アンバサダー」のように、ネスレ日本はこれまで新しい製品の創出やサービスの提供など、イノベーションを意識した展開を行ってきた。今回のPepper採用も、そうした動きの一貫だ。Pepperならではの新しいコミュニケーションを確立し、新たな付加価値を提供することを目的としている。

今のところはPepperという目新しいロボットの存在で注目を集めている状態だが、ネスレ日本では今後のPepperの成長や進化と、それによって現場でこれまでにない体験を創出できることに期待している。



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