ベネッセホールディングスは16日、EdTech領域における業務提携を発表し、都内で記者会見を行ない、米Udemy社と業務提携し、新規ビジネスに参入することを発表した。
ベネッセがオンライン講座に本格参入
同社代表取締役兼社長の原田泳幸氏はこの日、米Udemy社と包括的業務提携を締結したと発表。EducationとTechnology を融合させたEdTechと呼ばれるジャンルの学習サイト・日本版Udemyを4月末に共同でスタートさせる。
Udemyとは、映像講座を提供する教育プラットフォーム。米カリフォルニア州を拠点とするUdemy社により、2011年より運営されている。約1万4000人以上の講師による2万5000以上のコースが提供されており、現在、プログラミングや料理、ヨガなどをUdemyで学ぶ受講者は、世界で6000万人を超えるという。
原田社長は「世界と日本のボーダーレス化はどの分野においても進んでおり、教育におけるボーダーレス化も必至。デジタルテクノロジーを駆使した教育の提供、教育におけるボーダーレス化の推進・投資の第一ステップとして、Udemyとの業務提携に至った」と、新規ビジネスへの参入意図を話す。
またUdemyは、教えたい人が講師としてオンライン講座を提供できるというのも大きな特徴。"企業から個人へ"ではなく"個人から個人へ"という「CtoC」市場の発展にも繋がる。また、近年高まっている社会人向けのサービス提供という市場の要望に応えるものになる。
「ベネッセとしてはCtoC市場への参入は初めて。社会人を中心に、学ぶことへの需要は高まっているが、学べる場というのは非常に少ない。Udemyは多様化する学びのニーズに応えるもの」と説明した。
米Udemy社の設立は2010年で、市場のニーズに応える形でわずか5年で急成長を遂げ、世界でも注目を集めた。同社CEOを務めるデニス・ヤン氏は「近年では、必要な知識が今までになく早く変化している。現在の小学生たちの65%は、将来おそらく今、存在しない仕事をすることになるだろう。今の教育制度は、将来に役に立たなくなるものに基づいている。そういう意味で、新しい学びの場が必要」と、急速に変化していく現代の状況に対応した、必要な学びの場であると説明した。
インストラクターの募集も開始
ベネッセの国内教育カンパニー国内教育戦略担当本部長(CSO)の前之園世紀氏は、Udemyとの提携について「生涯教育に関する思いが合致している。多様な学びのニーズが出てきている中、インターネットの活用機会が増えている。一方で、学びとしては不適切なコンテンツも存在している。学びを安心かつ安全に提供できるプラットフォームになる」と新市場に期待を寄せる。
そして、ベネッセでは今後、講師となるインストラクターも募集を行なっていく。
「知識を持っている人が、学びたい方に広く伝えることができるのがメリット。講師が簡単に講座を開くことができ、価格も基本的に講師が自由に設定できる。ただし、ベネッセの品質ガイドラインや知見に基づいてきっちり精査し、厳選された安心・安全なコンテンツ提供をしていく。そのためのベネッセサポートプログラムも実施する」と、CtoC市場をサポートしていくと話した。
その上で「ベネッセの持つ60年の知見を活用しないのは、機会の損失。そういったコンテンツも提供していくし、将来的には、個人が企業にレクチャーするようなCtoBのモデルも想定する」と、展望を語った。
日本版Udemyは、PCやスマートフォン、タブレット端末などで受講することができる。語学やIT、ビジネス系、スキルアップ系など、約300コースで4月末より開始される。