ブラックボックスの分析結果は信用できない

「私の経験からすると、現場でのデータ分析の9割はMicrosoft Excelなどで行えるシンプルなクロス分析だけで事足ります。ただし、残り1割については統計解析知識やマイニングツールなどを使わないといけないでしょう」──このような興味深い見解を述べるのは、通販専門のコンサルティング会社である千趣会マーケティングサポートの代表取締役、中山悦二郎氏だ。

千趣会マーケティングサポートの代表取締役、中山悦二郎氏。3月20日開催のマイナビニュース スペシャルセミナーに登壇する

中山氏は、今年で創業60周年を迎える通信販売の老舗、千趣会に1979年に入社。以来、カタログ企画制作や仕入、マーケティング、営業企画、顧客管理、そしてシステム企画など通販ビジネスのほとんどのセクションを経験するという経歴を有する。

特にマーケティングと情報システムに関しては、35年も前からマーケティングにITを活用したデータ分析を実践してきているのである。一方で、全従業員にSQL講習を受けさせ、さらにデータ分析の部内担当者をシスアドという人事制度にしたりした結果、業務におけるデータ活用の文化が定着してきたようだ。これもまた、中山氏が最初に手掛けたものなのだ。そんな同氏の言葉であるだけに、「クロス分析9割 : データマイニング1割」という数字には説得力がある。

「難しい高度な分析をやろうと思えばいくらでもできるでしょう。だけど、自分たちのビジネスのために本当に役立てようとするのであれば、まず自分たちがその分析の仕組みや意味について理解していなければならないのです。ブラックボックスのまま分析を行ったのでは、その結果を鵜呑みにして判断することはなかなかできないものです」(中山氏)

勘と経験は正しい! それを裏付け、次に進むための手段がデータ

自身の豊富な経験を踏まえて中山氏は、これから本格的にビジネスにおけるデータ活用を始めようとしている企業に対して次のようにアドバイスする。

「これまで勘と経験だけでやってこれたけれども、この先はアナログだけでは不安だよね──そんな"緩い"感じで取り組み始めた方が結果としてうまくいくと思います。実際、データ分析を始めたところで最初のうちはやはり勘と経験の方が上回っているものです。だけどそこで止めてしまったのでは意味がありません。勘と経験は白黒は言えてもどのくらいという尺度でと説明することができない決定的な弱点があります。それに対してデータ分析の場合は数字で説明ができるというのが強み。地道に続けていくことで次第にそのメリットを身を持って感じられるようになることでしょう」(中山氏)

3月20日(金)に開催されるマイナビニュース スペシャルセミナー『流通・小売 最先端企業のデータ活用』では、中山氏が最初の講演に登壇する。講演では、千趣会をはじめ、中山氏がコンサルティングを手がけてきた流通・小売業など各社におけるデータを活用したマーケティング事例が紹介される予定だ。

これに加えて、具体的なビジネス・データの使い方についての数々のヒントも提示される。例えば、千趣会のデータ分析から判明した購買の地域特性として、婦人ファッションとインテリアでは実はまったく逆の傾向があるという。講演では、それぞれどのような特性があるのかを地図で示すとともに、そこから一体どんな消費者行動が読み取れるのかを説明される予定だ。

中山氏は当日の来場者に向けて次のようなメッセージを送る。

「これまでデータ分析セクションは、周りからはあまり理解されにくい部署でした。でもビジネスにはとても大事だということが、通販ビジネスに長年携わっていると強烈に実感できます。世間で騒がれているからといって別にビッグデータにこだわる必要はありません。既にあるスモールデータでも十分にビジネスに貢献できるのです。当日は、身近にあるデータをうまく使うためにはどのようなことを行わねばならないかを理解していただければと思っています」(中山氏)

データ活用の歴史とともに常に最前線を歩いてきた中山氏の経験とノウハウを、セミナーに参加してぜひ受け取っていただきたい。

開催概要

マイナビニュース スペシャルセミナー 第2回 流通・小売 最先端企業のデータ活用

今回のスペシャルセミナーは、データ活用による売上・在庫の最適化などに長年にわたり取り組んできた流通・小売業に絞り、そのノウハウを学んでいただきます。

登壇者は、マイナビニュースが選出したスペシャリスト3名。上記の千趣会マーケティングサポート 中山氏のほか、Tポイント会員の購買履歴を元に店舗/顧客ごとに施策を展開するファミリーマート、本部主導の自動発注システムで全店舗の経営効率化を図るワークマンの事例もご紹介いたします。

スポンサーセッションのない編集主導イベント。ぜひこの機会をお見逃しなく。

<プログラム>

  • 14:00~ 「通販は『科学のビジネス』 ~データ活用力が業績を左右する~」千趣会マーケティングサポート株式会社 代表取締役 中山 悦二郎氏
  • 15:00~ 「ファミリーマートが推進するポイントカード戦略 ~ファミマTカード~」株式会社ファミリーマート 営業本部 営業推進室 CRMグループ 坂井 則夫氏
  • 16:00~ 「データ活用とアルゴリズム自動選択型発注システムで超効率経営へ」株式会社ワークマン 常務取締役情報システム ロジスティックス担当 土屋 哲雄氏

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