モバイル、特にスマートフォンの普及によって、市場が大きく変化してきていることを実感されている方も多いだろう。ちょっとした空き時間に利用できるスマホで情報を得たり、ネットショッピングをしたりできることで、消費者の購買プロセスが変わってきているのだ。この急激なパラダイムシフトを乗り切るキーワードとして、最近注目を集めているのが「オムニチャネル」だ。これはEC、実店舗、広告、営業など、顧客(個客)との接点を横断的に捉え、商品やサービスの提供機会を逃さないためのマーケティング手法で、既に取り組み始めている企業も増えてきた。

2015年2月24日、マイナビでは「ECビジネスの最新事例から学ぶ!デジタルマーケティング戦略セミナー」を開催するが、そのセッションのひとつでは、オムニチャネル戦略を進めていく上での課題や解決策などが、事例を含めて語られる予定だ。

個客の行動範囲にアミを張り、ITのチカラでニーズをとらえる

TIS株式会社 産業事業本部 東日本産業事業部 ストラテジックソリューション営業部 シニアエキスパート
秋野隆氏

オムニチャネル戦略についてのセッションを担当するのは、TIS株式会社 産業事業本部のシニアエキスパートである秋野隆氏。TISでは2012年から、様々な業務ノウハウを持った人材とシステム開発をパッケージ化して企業に提供し、マーケティングの戦略づくりからシステム構築までをサポートする密着型ソリューション「TECHMONOS(テクモノス)」を展開している。 「当社では、これまで数多くの大手ECサイトの構築を手がけてきました。その中で培ってきたWebやモバイルサイト上でのマーケティング、CRMや物流に連動させたシステム構築などのノウハウを、メーカー業や流通業のマーケティングにもお役立ていただけるのではないかと考えたのが、TECHMONOS起ち上げのきっかけです」(秋野氏)

当時はオムニチャネルという言葉すら知られていなかったが、「個客の行動範囲にアミを張り、時代の要請とお客様の真のニーズとをITのチカラでとらえる」という概念は、まさにオムニチャネルそのものだ。店舗やサイト、広告へのアクセス、キャンペーンへの参加、コールセンターへの電話まで、接点すべてを通して「個客」を把握・分析すれば、その人にとって最適なコミュニケーション方法で、最適な提案をすることができるようになる。必然的に個客を囲い込むことができ、収益向上につながるというわけだ。この手法はBtoCだけでなく、BtoBでも活用できる。

TECHMONOSのイメージ図

全社を挙げてオムニチャネルを意識したマーケティング戦略をとれば、その効果は計り知れないものになるだろう。現在、「TECHMONOS」は大手ネット金融機関や訪問販売業、製造業や流通業など、多様な業種に採用され、高く評価されているが、それを実践するところまで進めるには、乗り越えるべき課題も多い。

オムニチャネル戦略の実践を妨げる、企業内の課題

まずは部門間の壁だ。大企業になるほど、業務プロセスは事業部ごとに縦割り構造が進んでいる。営業、店舗、Webなど、各事業部にそれぞれのマーケターが存在する場合、業務を全社的な形で捉えることに抵抗感を抱かれるケースも多いという。また事業部ごとに独自のシステムが入っていると、オムニチャネル型マーケティングの要である、横断的なデータ活用が困難になる。

スピード感の差も問題となる。刻々と動く市場にあわせ、次々と施策を展開したいと考えるマーケターと、確実性・安定性を目指してシステム作りをしている情シスとでは、仕事に対するスピード感が大きく違う。経営判断にもスピードが必要だ。市場の変化にあわせた素早い対応をしていくためには、これまで以上に頻繁に、戦略やシステム要件に対する経営判断を下していかなければならない。 「全社的なマーケティング戦略を成功させるには、CMDO(Chief Marketing, Digital Officer)、つまりマーケティングとシステムの両方に精通した人材を経営層に迎え、適切なタイミングで経営的ジャッジをしていただく必要が、今後ますます重要になってくると思われます」(秋野氏)

TISのTECHMONOSチームは、クライアント企業に入り込んで、こうした部門ごとの溝やスピード感を調整しながら、各企業にあわせたシステムを構築し戦略の遂行支援をするだけでなく、予算取りの手法や、戦略に適した社内体制の再構築についての相談に応じることもあるという。こうした課題は、オムニチャネル戦略が主流となるに従い、多くの企業で生じるものとなりそうだ。セミナーでは、業務とシステムをどうすれば上手く融合していけるか、その間に想定されるトラブルや解決策が、事例をまじえて、より詳細に紹介される予定となっている。

「ものが溢れる時代にどう売上を上げていくか、その解決策のひとつがオムニチャネルだと考えます。競合のオムニチャネル戦略が成功しているから、自社も検討せざるを得なくなったという状況になる前に、ぜひ、その概要やノウハウについて、今回のセミナーで知っていただければと思います」(秋野氏)

同セミナーの詳細は以下の通りとなっている。申し込みは2015年2月23日の18時まで。

  • タイトル:ECビジネスの最新事例から学ぶ!デジタルマーケティング戦略セミナー
  • 開催日程:2015年2月24日(火) 14:00(開場 13:30)~16:40
  • 定員:100名
  • 申し込み締切日:2015年2月23日(月) 18:00
  • 参加費:無料
  • 開催会場:パレスサイドビル 東コア2F マイナビルームS
    〒100-0003 東京都千代田区一ツ橋1-1-1
  • 主催:株式会社マイナビ マイナビニュースセミナー運営事務局
  • 協賛:TIS株式会社

「経営に活かす! 戦略的なITコストマネジメントとは!?」の参加申し込みはこちら(参加費無料、2月24日(火)開催、東京都千代田区、13:30~16:40)