東京国際フォーラムで行われた「Executive HR Seminar 2014 グローバル展開における人事の挑戦」

2014年10月17日(金)、東京国際フォーラムにおいて「Executive HR Seminar 2014 グローバル展開における人事の挑戦」セミナーが開催された。

同セミナーは、グローバル展開が加速している日本企業において、世界で活躍する人材の育成とマネジメントについて考察するというもの。グローバル展開を進める企業のビジネスマンや人事担当者など、約150名が参加した。


日立総合経営研修所 取締役社長 山口岳男氏

まず最初に登壇したのは、日立総合経営研修所 取締役社長 山口岳男氏。山口氏は、約900社、32万人にもおよぶ日立グループのビジネス戦略や人材戦略、今後の人材マネジメントなどについて語った。ビジネス戦略については、日立グループの2015中期経営計画を紹介。2013年度売上高実績は9兆6,162億円だったが、2015年度には10兆円を目標とし、営業利益率を現行の5.5%から7%超を目指すとした。この目標のためには、海外売上高比率の引き上げが必須となるとし、グローバルな事業展開を行える人材の確保が重要になると語った。

具体的な人材戦略については、これまで同じグループ内であっても、個社個社で行ってきたパフォーマンスマネジメントを、グローバルベースでプラットフォーム化。日立のコアバリュー、人材ポリシーなどを共通化することにより、組織の競走優位を図るとしている。さらに人材のダイバーシティを目指し、外国人や女性を積極的に管理職として任用、多様な人材が活躍できる組織にするとしている。

アルー 代表取締役社長 落合文四郎氏

続いて登壇したのは、アルー 代表取締役社長 落合文四郎氏。「戦える“グローバルマネージャー”の育て方」と題した講演では、おもにグローバルで活躍できる人材の資質やそうした人材をはぐくむための育成フローなどについて語った。まずグローバル人材については、「主体的に物事を考える」「多様なバックグラウンドを持つ同僚、取引先、顧客等に自分の考え方をわかりやすく伝え、文化的・歴史的なバックグラウンドに由来する価値観や特性の差異を乗り越えて、相手の立場に立って理解」「そうした差異からそれぞれの強みを引き出して活用し、相乗効果や新しい価値を生み出す」といった定義を紹介。こうした定義に当てはまるには「社会人的基礎力」「外国語によるコミュニケーション力」「異文化理解・活用力」の3つの能力が必要になるとした。

また、グローバル人材の育成フローについても触れた。グローバル人材については、国内での業務内容から新人や若手層の資質を見極めることが肝要とした。そうした人材を「グローバル人材予備軍」とし、業務上の経験や先輩上司の薫陶、外部の研修などによりグローバルマネージャーへと育成。その際、経験が70%、薫陶が20%、研修が10%の割合で重要になるという。

こうしたグローバルマネージャー論を展開したのち、アルーの「人材育成ソリューション」を紹介。インドやインドネシアなどに受講者を派遣し、英語を話す現地スタッフ2名(英語人材)をマネジメントすることでグローバルにおける実務能力を身につける「Servant Leadership Program」や、2カ月間、フィリピンでビジネス英語を学ぶ「ALUGO BOOT CAMP」などを解説した。

IHI顧問 昼間祐治氏

最後に講演したのは、IHI顧問 昼間祐治氏。昼間氏は、IHIがブラジルやロシア、アメリカで展開する事業を解説。実際の海外事業について紹介することで、グローバルで活躍できる人材がいかに大切かを説いた。また、IHIのグローバル人材の育成方法についても語った。ビジネス英語の講師を社内に常駐させ、海外事業に関わる従業員の英語力を向上させる「英会話ブース研修」や、毎年6週間にわたり若手社員をインドに派遣する取り組みなどを紹介した。

なお昼間氏は、講演の後にアルーの落合氏と、これからのリーダー像やグローバル人材の育成などについて対談を行った。また、この対談では参加者からの質問にも対応。人事担当者が抱えているグローバル人材における課題などについて答えた。