ヤフー 代表取締役社長 宮坂 学氏

ヤフーは10月29日、2014年度第2四半期の決算説明会を開催した。同四半期の売上高は前年同期(1007億円)に比べ2.5%増の1033億円であったものの、eコマース新戦略やセキュリティ強化、ビッグデータ関連の減価償却費の増加により、営業利益は460億円と、前年同期(498億円)の7.6%減にとどまった。なお、2014年度通期見通しは増収増益を想定している。

今期業績についてヤフー 代表取締役社長 宮坂 学氏は「2013年7月-9月期(前年同期)からのeコマース新戦略が一巡するまでは成長率が落ち着くが、今回で1年回った。広告売上高の成長率は、プレミアム広告の成長率が鈍化しているものの、YDNが引き続き好調だ」と語り、成長率についてはヤフオク!やYahoo!ショッピングの手数料無料化による減収効果が今期で終わることを強調した。

広告関連売上では、ディスプレイ広告がYDNの好調ぶりから18.2%の伸びを示す一方、検索連動型広告は1.7%増と小幅な増加にとどまった。これは、スマートフォン経由の売上が大きく伸びたものの、PCが減少し、全体として小幅増にとどまったのだという。

スマートフォンの伸長ぶりはデバイス別広告売上高増減にも表われており、スマートフォン広告売上高が14年度上半期で前期比174億円の大幅な増収を記録する一方で、その他広告売上高が87億円のマイナスとなっている。四半期でのスマートフォン広告売上高は、大台の200億円を突破(203億円)し、前年同期比で86億円増、73.9%の成長率を記録した。これにより、スマートフォン広告の売上比率は全体の33.7%まで上昇している。

一方で四半期のeコマース流通総額は、前年同期比11.9%増、298億円プラスの2811億円となった。ショッピング、オークション共に2桁成長を記録しており、スマートフォン経由比率も32.5%と高まっている。

スマートフォン対応は順調に

続いて現在のYahoo! JAPANについて。PC時代にはポータルの王者として君臨したが、スマートフォン時代ではどうなのか問われることが多いと宮坂氏は切り出した上で、スマートフォンとPC(タブレット、フィーチャーフォン含む)の各種ユニークブラウザ比率を明かした。

上位20サービスで、すでにスマートフォン利用者が過半数となっており、全サービス累計でも過半数になっているという。月次でも大きくスマートフォン比率の上昇、全体のブラウザ数が増加の一途をたどっており、PV数も半数弱にまで迫っているという。ヤフーの要である検索クエリについては半数弱とその他数字に比べてやや軟調といえるが、ヤフーへの利用回数、滞在時間も増加しており、結果としてスマートフォン利用者の73%がヤフーに訪問しているため「及第点ではないか」(宮坂氏)としていた。

同時に、スマートフォン時代に最適化したUIも発表(「ヤフー、スマートデバイス向けトップページにタイムライン表示を導入へ」)しており、今後もスマートフォンへの最適化を図っていくという。タイムライン型のUIは同時に、ヤフーの今後の広告事業成長の柱としても期待されており、データソリューション広告やビデオ広告、コマース広告、アプリ広告と並び立てて展開を図っていく。

質疑応答では、第3四半期も引き続き増収減益予想ながら、通期で増収増益となる予想について同社 取締役最高財務責任者である大矢 俊樹氏が「2013年度第4四半期は減損処理などで数十億マイナスだった。今年度についてはKCカードの買収もあり、ワンタイムで利益が数十億出るため、あわせてプラスになる」と話す。

また、9月末に起きたYahoo!メールの障害問題について宮坂氏は「あってはならないことだった」とユーザーへのお詫びを口にした上で「システムの多重化をこれまで以上に進めていく」と障害への備えを更に強化していく考えを示した。