今年のオラクルオープンワールドのテーマは、「Modern Business in the Cloud」であり、エリソン会長の基調講演の題目も、「Modern Cloud」だ。

米オラクルのラリー・エリソン会長

そのテーマに沿うようにエリソン会長は、「2014年は、クラウドに向けて数多くの技術を作り上げ、クラウド事業に大きな弾みをつけた。オラクルにとって非常に重要な年であり、ターニングポイントの1年であった」と前置きし、この1年で173種類の新たなSaaSや、55種類のインダストリーSaasといった、新たなクラウドサービスを提供したことを説明した。

具体的には、Marketing Cloud Applicationでは、84種類のうち29製品を2014年に新たに追加。Sales Cloud Applicationでは、69製品中14製品、Service Cloud Applicationでは113製品中14製品、Configure Price Quote & E-Commerceでは42製品中27製品、Social Campaigns,Listening & DaaSでは49製品中36製品、HCM SaaS Applicationでは84製品中16製品を2014年に投入。EPR分野においては、Financials Project Procurementの49製品中14製品、Supply Chain Applicationでは32製品中20製品、Industry Specific SaaS Applicationでは70製品中55製品が2014年に発売したことを明らかにした。

オラクルはOracle Cloudのポートフォリオを拡大した

そして、「2014年には、2000件以上の顧客が、オラクルのSaaSを利用し始めた。また、SaaSプロバイダーの20社中19社がオラクルを利用している」などと語り、「オラクルはクラウドでのナンバーワンを目指す」と宣言した。

時期は明らかにしなかったが、ナンバーワンを定義する指標は売上高。SaaSの品揃えでは、すでにナンバーワンとなったが、売上高では先行するセールスフォースを抜き去ることがターゲットとなる。

日本オラクルの杉原博茂社長は、日本において、2020年までにクラウドナンバーワンを目指すことをすでに公言しているが、これを追う形で、エリソン会長が「クラウドナンバーワン」を宣言した格好ともいえる。

オラクルは、今回のOracle OpenWorldにおいて、新たなプラットフォームサービスを導入し、Oracle Cloudのポートフォリオを拡大することを発表した。また、Oracle Cloud Platformサービスを通じて、ビッグデータ分析、ソーシャル機能およびモバイルを活用するアプリケーションの開発および導入を支援することも明らかにした。

米オラクルのマーク・ハードCEO

ハードCEOは、「Oracle Cloud Platformの利用により、顧客およびパートナーは、新規アプリケーション構築を簡易化でき、オラクルSaaSアプリケーションの機能強化のほか、既存のオンプレミス型アプリケーションからクラウドへの移行が可能になる。Oracle Cloud Platformは、Oracle Database、Java、そしてOracle Fusion Middlewareが持つ、性能、信頼性、拡張性、セキュリティが基礎となり、さらにマルチテナント機能、インメモリアナリティクス機能、モバイル機能、ソーシャル機能を内蔵している。また、迅速かつ簡単にクラウドへの移行が可能になる」と発言。

エリソン会長も、「Oracle Cloudによって、SaaS、PaaS、DaaS、IaaSを持つ、業界でもっとも広範なパブリッククラウドサービスのポートフォリオを提供できる」としながら、「オラクルは、SaaS、PaaS、IaaSのすべてを一緒に提供するのが基本姿勢である。オラクルは、ミニコン向けに開発した第1世代のデータベースから、第2世代のクライアント/サーバー時代に入る際に、そのままデータを移行できるようにした。これは第3世代となるインターネット時代に入ったときも同じ。そして、第4世代のクラウド環境へと移行するにあたっても、自分たちが持つアプリケーションやデータを、自分ではコードを書き換えずに、次の世代の技術に移したいというユーザーの要望に応えている。だからこそ、SaaS、IaaS、PaaSを自ら提供し、ボタンをワンタッチするだけで、オンプレミス環境からクラウド環境へと移行できるようにした」などと述べ、「これは、オラクルが30年前に顧客と約束したことであり、それをクラウド時代でも継続する。既存のデータを、近代的なクラウド環境に移行することで、より効率よくデータを利用することができる」などと語った。

なお、Oracle Cloudは、毎日6,200万人のユーザーと、230億のトランザクションに対応。全世界の19のデータセンターで、400ペタバイトのストレージ容量を持ち、3万のデバイス上で動作しているという。