トラブルの主戦場は、裏サイトから一般のコミュニティサイトに

友人や教師のうわさ話、誹謗中傷などが掲示板に書き込まれ、5、6年ほど前に「ネットいじめ」として社会的問題にまでなった「学校裏サイト」。だが、最近はあまり話題にのぼらなくなった。しかしその理由は、学校内の悪意ある情報をネット上に流通するケースが減少するなど、ネットを介してのトラブルが沈静化してきているからではない。むしろ今は、かたちを変えて拡大する傾向にあり、問題はますます深刻化している。

特にトラブルが起きやすいのが、SNSなどのコミュニティサイトだ。子どもでもSNSサイトを気軽に使えるようになったことで、実社会では親交のない人との接点も増えてきている。さらに、最近ではスマートフォンの普及により、誰でもリアルタイムに動画配信等を行えるようになっているのも、子どもがトラブルを起こしたり、トラブルに巻き込まれたりするリスクを高めている。

ネット上のトラブルの代表的なものが、いわゆる「炎上」である。スマートフォンで撮影した動画や画像を簡単にSNSサイトなどにアップできてしまうことから、思わぬ経緯で人々の興味を引き、炎上を招くケースが増えているのである。

こうした事態に対し、授業の中で安全なネット利用の方法について触れたり、専門家を招いてネットの安全利用に関する教室を開いたりと、啓発活動に取り組む学校も増えてはいる。しかし、高校生にもなれば普通のセミナーでは興味を示さなくなってくるため、何かしらの工夫も必要となるようだ。

「実際に起きたトラブルの事例など、身近な話題を出しながら説明してほしいという依頼も増えています」とコメントするのは、企業のレピュテーション対策などを手がけ、全国の学校で児童・生徒向けのセミナーなども展開しているピットクルーで、経営企画管理部 新事業企画開拓課長を務める齋藤良和氏だ。

7割近い保護者が、自治体や学校の啓発活動に期待

マイナビニュースはこの夏、子どもを持つ保護者の会員244名を対象に「子供のネット利用に関するアンケート」を実施した。その結果を見ると、トラブルを未然に防ぐために、自治体や私立学校が専門家に依頼し、見守りや啓発活動を行うことの必要性を感じている保護者の割合は7割近くにも達することが判明した。そして、子どもがネットトラブルに遭うなど困った時に相談できそうな人が身近にいないとする保護者も6割の割合を超えているのだ。

設問:トラブルを未然に防ぐために自治体や私立学校が専門家に依頼し、見守りや啓発活動を行うことは必要だと思いますか?
約7割の保護者が専門家などによる見守りや啓発活動を必要と感じている

設問:お子さんがネットトラブルに遭った時など、困った時に相談できそうな人が身近にいますか?
6割以上の保護者はネットトラブルについて身近に相談できる人がいない

さらに、実際にトラブルに遭った際の対処法を事前に子どもと話し合っているか?という質問に対しては、7割以上の保護者が話し合っていないという。

設問:コミュニティサイト利用について注意すべき点や、トラブルに遭った際の対処方法などについて、お子さんと話し合うことがありますか?
7割以上の保護者が事前に話し合っていない

この結果に対して齋藤氏は次のような見解を示す。「保護者の方々は、子どもがスマートフォンなどを使って何をしているのか把握しきれずに不安を抱いているものの、具体的にどのような対策をすればいいのかわからない、という状況に置かれているのでしょう。今はスマートフォンを使ってなんでもできてしまいますから、リスクも大きくなります。それに、子どもがスマートフォンを持っているのに対して、保護者の方はガラケーのままというケースも多く、リテラシーにギャップが生じている点も対策が難しいと感じさせている要因でしょう」

このようなギャップにより、どうしても保護者は最新のネット事情についていけなく、苦手意識を持ってしまいがちになる。すると、“子どもが大丈夫と言っているから”と、とりあえず何もしなかったり、そもそもネットで何が危険なのかを具体的に説明できなかったりと、子どもに安全なネット利用法を保護者だけで教えることはますます困難になってしまっているのだ。

全国10,000校以上の実績があるスクールネットパトロール

2008年よりピットクルーが展開している「スクールネットパトロール」は、教育委員会からの委託による27自治体、公立私立学校を含めて10,000以上の学校での実績を誇る。契約ごとに“ネットパトロール”の専門スタッフが付き、日々検索などを行いながら、状況をまとめて管理者に報告するとともに、怪しげな兆候が見られれば迅速に対応する体制が整っているのである。

「自動的にネット上を巡回するシステムもありますが、それだけでは新たに登場するサイトや、子ども達の使うネット用語の変化についていくことができないため、現状はナレッジやガイドラインをもとに目視を中心に対応した方が効果的です」と齋藤氏は語る。

スクールネットパトロールのサービス内容は大きく3つからなる。

まず1つ目が、インターネット利用実態調査だ。子どもたちがどのようにネットを利用しているのか、その実態を定期的なレポートにまとめ、各自治体の教育委員会や私立学校などへ提出しているのである。調査には過去5年間の活動で培ったノウハウが生かされており、システムと人の目線の双方による監視体制を整えている。もし自殺や事件に巻き込まれそうな兆候を発見した場合には、各教委に対して緊急連絡を行う。実際過去に、ネットに投稿された内容から自殺の兆候を見抜いて学校に報告し、最悪の事態を未然に防いだ事例などもあるという。

インターネット利用実態調査のイメージ

2つ目は、学校向けサポートサービスである。これには、トラブル対応の相談窓口、ネットトレンド情報提供といったサービスが含まれている。トラブル対応窓口では、問題が発生した場合の問い合わせや対応策について、これまでの経験と実績を生かした適切なアドバイスを提供している。

「学校や家庭でトラブルの未然防止にも利用していただけるように、子ども達への指導に役立つ情報を提供することを心がけています」(齋藤氏)

そして3つ目が、啓発活動である。これまでネットパトロールを通じて培ったノウハウやこれまでの対応実績をもとに、教職員や保護者、子ども向けのセミナーの実施、それにネットパトロール調査マニュアルや啓発リーフレットの提供も行っている。

「全国のネット利用状況を分析したデータが蓄積されているのに加えて、学識経験者、学校関係者、保護者との連携も行っているので、より効果的な情報提供が可能となっています」(齋藤氏)

ネットには危険が多いが、それ以上に役立つこともたくさんある。子どもたちに対しては、ただネットから遠ざけるのではなく、より安全に使えるように教育したり、環境を整えたりすることが今後ますます求められるようになるだろう。そのためには、自治体や学校、通信事業者、そして保護者がそれぞれの役割を果たしつつ連携しながら、子どもたちを見守ることができるような社会を築いていく必要があるだろう。

調査時期:2014年8月22日~2014年8月28日
調査対象:マイナビニュース会員 子どもを持つ保護者限定
調査数: 244名(男性129名、女性115名)
調査方法:インターネットログイン式アンケート

お問い合わせ・資料請求



ピットクルー株式会社
http://www.pit-crew.co.jp/
資料請求はこちら
https://www.pit-crew.co.jp/inquiry/siryou/