大学の学生食堂と言えば学生たちの憩いの場だが、出てくる料理は"安かろう悪かろう"のところも少なくないイメージ。しかし、その常識を覆す学食が東洋大学白山キャンパス(東京都・白山)にあるという。なんでも早稲田大学学食研究会による「2013年度の学食ランキング」で第1位にも選ばれたそうだ。

東洋大学の白山キャンパス。通う学生は約2万人のマンモス校。敷地内は非常にスタイリッシュ!

約1200席を有する6号館地下1階の学食スペース。お昼時にはこれだけの席数でも満席近くになるという

そんな素晴らしい学食があるなら、ぜひ味わってみたい! どうやら学生以外の人も利用できるってことなので、早速東洋大学 白山キャンパスに行ってみた。

キャンパスに着いてみると、新設された校舎があったりで、ものすごく近代的でキレイ。これは学食にもかなり期待できる! 本校は6カ所も食事のできるスペースがあるが、今回はその中でメディアなどにもよく取り上げられる6号館地下1階にある学食へ。

バラエティー豊かな7店舗

ひ、広すぎる!! 席数はなんと約1200席もあり、ショッピングモールのフードコートのようなスタイルで7店舗の専門店から選ぶことができるという。

しかも本格インドカレーを提供する「Curry mantra(マントラ)」、種類豊富なサラダと本格料理が楽しめる「Deli & Cafe(デリ & カフェ)」、選べるソースとサラダやデザートが付くパスタ屋「Ciao! a Domani(チャオ ア ドマーニ)」、オムライスなどの豊富なメニューとボリュームがウリの洋食屋「東京食堂 Oriental Kitchen」、熱々の鉄鍋ごはん専門店である「鉄鍋屋 Tokyo Kitchen」、こだわりの窯焼き料理の専門店「窯焼きKitchen」、みそ汁付きのセットが好評のおむすび屋「結 -Musubi-」と、和洋バラエティーに富んだラインナップ。

インド人、ネパール人がシェフを務める「Curry mantra」。ナンは作り置きせずにオーダーごとに350℃の本格タンドール窯で焼いている

これだけあったら「学食、もう飽きたな~」なんて学生もいないことだろう。なかなか見られない規模で、他大学はもちろんのこと、大企業の社食関係者、海外の大学の学食関係者なんかも視察に訪れるそうな。それにしてもどうしてこんなに大きい学食を作ったのだろうか。

「2005年から朝霞キャンパスに通っていた文系5学部の1、2年生も白山キャンパスに移ることにより、白山キャンパスに通う学生が一気に約2万人に増えるということで、学生が憩う場所を作ろうとこのような大きな学食を設けることになりました。やはり学生の満足度を優先してあげたいというのが大学の方針だったんです」(広報課職員)。

ああ、なんて理解のある大学なんだ……素晴らしい! しかし、いくら広くても肝心の料理の質が低くてはダメですよ。求めるのはコスパ、味の抜群なメニューだ。

本場インド人らが調理するカレー

まずは本格インドカレーが楽しめる「Curry mantra」へ。中をのぞくと厨房で調理を担当しているのは本場インド人とネパール人!! 学食で外国人がシェフをやってるなんて……そんな学食聞いたことねぇ!! 驚きつつも2種類のカレーをナンで食べる「Bセット」(500円)をオーダー。

ベジタブルカレーとチキンカレーの2種類を一気に楽しめる「Bセット」(500円)。ナンも特大でラッシーも付くぞ

いや、見るからにボリューミー。学生には間違いなくうれしいメニューだ。味はというと……うん、間違いない旨さ! ベジタブルカレーの野菜は大ぶりで、チキンカレーもいい感じでスパイシー。どちらのカレーもすげえナンに合う! さすが本物の味だ!

本格鉄鍋をつかったビビンバ

すでに腹は膨れているが、せっかくなのでもう一品食べることに。次に注文したのは、「鉄鍋屋 Tokyo Kitchen」の「チーズビビンバ鉄鍋ごはんセット」(500円)。

味だけでなく、食欲をそそる香りも音も堪能できる「チーズビビンバ鉄鍋ごはんセット」(500円)は他大学の学食にはないであろうクオリティ。サラダ、スープ、デザート、お茶つき

本格南部鉄器の鉄鍋を使用する「鉄鍋屋 Tokyo Kitchen」。30秒で約200℃まで上げられる電気調理器で、スピーディで熱々なメニューが楽しめる

ジュージューと音を立ててシズル感満点。香りも非常に食欲をそそらせる。鉄鍋も南部鉄器と本格的だ。チープなプラスチック容器が当たり前の学食の常識を根底から覆そうという姿勢が満々である。では早速一口……うーめぇぇ!! 特製タレにトロトロのチーズと濃厚な肉味噌が見事に調和してる! ここの学生だったら間違いなくリピーターになりますわ!

「社会勉強」というコンセプトも!

2品とも学食とは思えない、というか専門店と同等、もしくはそれ以上のクオリティー。他店舗のメニューも充実していて、どれも本当においしそう。それが500円程度で食べられるなんて、ここはユートピアか! そこで食堂関係者に、どうしてこんなコストパフォーマンスが成り立つのか聞いてみた。

「白山キャンパスは都内でもトップクラスのマンモス校で、このフロアだけでも1日2000~3000食出るほど学生さんによく利用してもらえるからこそですね。学生や教職員がおいしいものを食べて、勉学や仕事に励んでいただけることが一番。なので、ここの学食の料理は一般市場と同じクオリティーなんです。それに、学生さんたちの間の口コミの勢いもすごいものがあるので、しっかりとおいしいものを出さないとあっという間にはやらなくなってしまう。ですから各店舗必死で、競争は激しいです」

でもこんな素晴らしい学食があって、学生さんも幸せですね。

「この学食のコンセプトは、食べることも社会勉強の一環ということ。学生のうちから質の高い色々な料理に触れておくことで、食に対しての視野を広げ、それを社会に出てからも生かしてほしいという願いがあります。だからより多くの学生さんに味わってもらうために、各店舗も工夫して早くておいしい料理を提供しようと努力してるわけです」(同食堂関係者)。

そんなスゴすぎる学食は学生だけでなく、近隣住民たちもよく足を運ぶそう。ここを卒業した学生も、この味を忘れられずついつい母校を訪れてしまうに違いない!!