アドビ システムズは6月12日、都内でデジタルマーケティングカンファレンス「Adobe Digital Marketing Symposium」を開催した。昨年開催された「Adobe Digital Marketing Forum 2013」と同様に、企業でマーケティング業務に携わる約1500人が参加した。

基調講演に登壇したアドビ システムズ デジタルマーケティング事業部門担当のブラッド・レンチャー氏は、消費者行動の変化について触れた後、「一旦、今までのマーケティング手法を忘れ、ゼロから構築していく(REINVENTION : 再創造する)必要がある。これが私達の命題であり、本日みなさんと考えたいテーマだ」とした。その上で、「Adobe Marketing Cloudは、『詳細な個人の認識(パーソナライゼーション)』を可能にし、顧客一人一人に最適なエクスペリエンスの提供ができる」ことを強調。コアサービスとなる「Master Marketing Profile」の事例紹介やデモンストレーションを行った。

アドビ システムズ デジタルマーケティング事業部門担当 シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー
ブラッド・レンチャー氏

Adobe Digital Marketing Symposiumの開催に合わせて、同社は「Adobe Target」の新ラインナップ「Adobe Target Premium」を発表した。Adobe Targetは、Webコンテンツと顧客体験の最適化に向けたテストやターゲティング機能を提供。Adobe Marketing Cloudの1ソリューションとなる。4月にはAdobe TargetのおもにSMBに向けた「Adobe Target Standard」を発表しており、Premiumはその上位版にあたり多変量テストなどといった機能を備えている。

今回発表したAdobe Target Premiumは、顧客それぞれに適切なコンテンツやオファー、クロスセルのレコメンデーションの設計といったターゲティング作業を自動化できるほか、Adobe Analyticsなどリアルタイム解析の活用といった連携も強化している。

Adobe Analyticsとの統合では、「Master Marketing Profile」を構成する顧客の行動データの活用を可能とした。また、データマネジメントプラットフォーム「Adobe Audience Manager」との統合では、社内CRMのデータやサードパーティのオーディエンスデータ、オフラインの変動要因などの利用を実現。これらにより、分析した顧客の行動データやそのレポートをAdobe Targetで活用し、より適したキャンペーンの作成を行うことが可能となっている。

自動ターゲティング機能は、自己学習型のアルゴリズムを採用。Webサイト訪問者の現在と過去の行動データに基づき、適切なコンテンツを自動的に配信しながら、より精度の高いターゲティングを実現できる。

また、同日には、米AdobeがForrester Research発行の「The Forrester Wave : Webアナリティクス、2014第2四半期」において、Webアナリティクス分野のリーダーに選ばれたことも改めて強調した(米国では5月に発表)。ForresterのレポートでAdobe Analyticsは、「現行の製品」と「戦略」「市場におけるプレゼンス」の3分野で首位となったほか、全75項目の評価基準のうち66項目で最高得点を取得。「アドビはこれまで高度な解析機能を市場に投入し、すべてのマーケターにとって、これを価値あるものにするというビジョンを掲げ、高い期待水準を設定してきた」との評価を得た。

これに対し同社は、「今回、『Forrester Wave』でリーダーという強力なポジションを獲得したことからも、Adobe Marketing Cloudの中核に位置するAdobe Analyticsが、世界の著名ブランドや代表的なマーケターの支持を得て、彼らのデジタルマーケティング業務の原動力となっている理由をお分かりいただけると思う」としている。

このほか同日のシンポジウムでは、Adobe Marketing Cloudとそのコアサービスの導入事例の紹介や、デジタルマーケティングに関する約20のセッションが行われた。