『天空の城ラピュタ』『風の谷のナウシカ』、そして『風立ちぬ』――数々の名作アニメを生み出し、世界にその名を知られるスタジオジブリを題材にしたドキュメンタリー映画『夢と狂気の王国』が、21日にDVD&ブルーレイディスクで発売された。映像特典には、「未公開映像集 ウシコは見た! "ちょっと"夢と狂気の王国」や「ダイジェストショートフィルム(約2分)」が収められている。
本作の監督を務めたのは、『エンディングノート』などのドキュメンタリー作品で知られる砂田麻美監督だ。本作はいかにして生まれたのか、砂田監督が描きたかったものは何なのか。DVD&ブルーレイディスク発売を機に、砂田監督に話を伺った。
――まずは砂田監督が本作を撮ることになった経緯について教えていただけますか。
砂田麻美 |
前作の『エンディングノート』を公開した後にお話をいただいたのですが、スタジオジブリはご存知の通り過去に何度も取材をされていて、ドキュメンタリーも数多く制作されているんです。それもあって、じゃあ私はどういった新しいことができるんだろう、とまずは考えました。鈴木さん(鈴木敏夫プロデューサー)も取材に関しては絶対にダメという感じではなさそうだったのですが、企画書をお見せしても、どうも今ひとつ前に進まない状況が続いたんです。
――状況が変わったのは?
「これを映画にしたい」と伝えたときでした。企画は通らない、けれど『風立ちぬ』の制作はどんどん進んでいく中で、かなり追い詰められた状況で出た言葉ではあったのですが、それを伝えた瞬間、鈴木さんのリアクションが変わったのです。
――そこから1年間、カメラを回し続けたわけですよね。どれくらいの時間撮られたのですか?
300時間くらいでしょうか。ただ、『エンディングノート』もそうだったのですが、今回も"できるだけ回さない"ことを意識しました。
――それはなぜでしょう。
ずっとカメラを回していると定点カメラのようになってしまって、なぜ私がその場にいるのか、存在意義が薄れ、感覚も鈍ってしまうからです。本当に回さないといけない瞬間に回せなくなってしまうんです。ただ、あまりにも回さないでいると、逆にジブリのスタッフの方が心配してセッティングしてくれたりすることもありました(笑)。