新鮮な食材や花などを販売する「日曜市」を開催する市町村は、現在では日本全国に存在するが、このルーツについてご存じだろうか? 日曜のルーツをたどると、高知市で行われている街路市に行き着く。近隣の農家の人たちが休みの日に市を立ち上げたことをルーツとする高地市の日曜市は、実に300年を超える伝統があるのだ。
一般的に「日曜市」は朝早くから始まり、正午に店じまいすることが多い。だが、高知市の日曜市は朝だけでなく、終日行われる。また、販売される品は農産物だけでなく、骨董品などまで出品されている。
市の長さは1.3kmにも及ぶ
高知市の日曜市が行われている場所は、本丸が完全に残る日本唯一の城として知られている「高知城」近く。その東側に設けられている表門の「追手門」前に伸びる「追手筋」。城の門を出たすぐのところから、国道32号の一本手前の筋まで、全長約1.3kmの道の両側に約430店舗が日曜日になると軒を並べる。
高知市産業政策課街路市係の柴田洋亮さんは、「日曜市の出店者は高知市近郊を始め、高知県内の宿毛市や安芸市など県下全域から訪れます」と説明する。柴田さんによると街路市の起源は正確には不明だが、1690年に制定された藩法「元禄大定目」の中で、既に街路市の開設日と場所は定められていたという。
「ですから、少なくとも300年以上の歴史があることになります」(柴田さん)。しかし、当時は曜日市ではなく日を定めた日切市で、日切市から現在のような曜日市に変わったのは、官庁が太陽暦を採用し日曜休日となった明治時代からだという。だが、当時の名残からか、高知市では月曜日と土曜日を除く毎日、市内のどこかしらで市が開催されている。
本来は観光目的ではなく市民のための市
これら市の中で高知市が管理しているのは、日曜市以外は火・木・金曜の市だが(水曜は私設市)、やはり最も規模が大きく、訪れる人が多いのは日曜市だという。「新鮮な野菜や果物以外に、金物や打ち刃物、植木なども売られていて、市民と観光客を合わせると1日に約1万5,000人が訪れます」と柴田さん。
近年では、この日曜市を目当てに県外から観光客も多く訪れているというが、基本は高知市に住む人たちが暮らしのための買い物をする場だ。実際、農家などが自分のところで育てた野菜や果実を持ち込むため、スーパーなどに比べても安く買えることが魅力となっている。「だいたい野菜がひとつ100円くらいですね」(柴田さん)。
高知ならではのグルメも楽しめる
日曜市は街路市だが、一般的な市場と同じで物販だけではなく飲食の店なども出店している。それらの中でも一番人気になっているのが、「芋天(いも天)」(250円)だ。「大平商店という店が販売しているイモの天ぷらですが、サクサク衣にほっくりお芋がおいしく、昔ながらの素朴な味が人気です」と柴田さん。
その他にも、高知名物の新高梨、そして土佐文旦(ぶんたん)、水晶文旦、温州みかん、小夏、ポンカン、柚子などの柑橘類はもちろん、サトイモ科サトイモ属の多年草「リュウキュウ(琉球)」といったように、県内でしか買えないような野菜も売っている。ちなみにリュウキュウは、沖縄から伝わった野菜ということでこの名が付けられた。
なお、8月の「よさこい祭り」の時は休催になるためご注意を!
※記事中の情報・価格は2014年3月取材時のもの