主要キャリアのスマートフォンの利用料金が高止まりとなる中、注目を集めているのが格安通話サービスだ。4月10日には、NTTドコモが6月より提供予定の音声通話定額プランを発表したが、使い方によっては従来よりも利用料金が高くなる場合があるなど、決定版とは言い切れず、スマートフォン向け格安通話サービスの需要はまだまだありそうだ。

現在、様々な事業者より提供されている格安通話サービスは、大きく分けて2種類に区別することができる。ひとつは「050 plus」や「SMARTalk」などの"050"番号を利用するIP電話サービスであり、もうひとつは「楽天でんわ」や「G-Call」といった電話回線を利用した通話サービスだ。

両サービスは、それぞれ通話料の安さや音声品質の良さといったメリットがあるが、このIP電話サービスと電話回線を利用した通話サービスを組み合わせ、1つのアプリで使えるというユニークなサービスが、ブラステルが提供する「050 Free」だ。本稿では、同サービスの概要や使い方について紹介していきたい。

"ハイブリッド"な格安通話サービス「050 Free」とは?

050 Freeは、ブラステルが提供するスマートフォン向け格安通話サービス。"050"番号を使って発信するIP電話サービスと、電話回線を利用する通話サービスの両方を、1つのアプリで利用できるのが同サービスの特長だ。iPhone、Androidスマートフォン向けに提供されている同サービスのクライアントアプリでは、2種類の発信ボタンが用意されており、通話ごとに利用するサービスを使い分けることができる。

ブラステルが提供する格安通話サービス「050 Free

まず、電話回線を利用する通話サービスでは、相手の電話番号の頭にプレフィックス番号を付加して発信することで通話料が格安になる仕組みで、アプリを利用すればプレフィックス番号を自動で付加して発信可能。国内通話料は、固定・携帯電話宛ともに30秒あたり10円と、一般的なスマートフォンの通話料である20円/30秒の約半額だ。さらに6秒単位で2円ずつ課金されるため、通話料が無駄にかからないほか、海外経由のため消費税が非課税になるのもポイント。

6秒単位の課金が“お得“な理由 (画像提供:ブラステル)

電話回線を利用した通話であることから、パケット通信を利用するIP電話サービスなどと比べ、音声品質が安定しているのが特長。また、電話をかけた相手には、"090"などから始まる自身のスマートフォンの電話番号が通知される。

一方のIP電話サービスでは、登録時に取得できる"050"番号を使って発信する。こちらは電話回線を利用する通話サービスよりも、さらに格安な通話料が魅力だ。国内通話料は、固定電話宛が8円/3分(税抜)、携帯電話宛が5.5円/30秒(税抜)。また、ブラステルの050番号同士の通話は無料。

また、国際電話の通話料も格安となっており、たとえばアメリカ本土宛は3.99円/分、中国、タイ宛は4.33円/分など。これは、他社のIP電話サービスの国際電話の通話料と比べてもかなり割安だ。なお、050 Freeの国際電話も6秒単位で課金されるため、通話料が無駄にかかってしまうことがない。

このように、音声品質が安定している電話回線の通話サービスと、通話料がより格安なIP電話サービスを、電話をかける相手や用途に応じて柔軟に使い分けられるのが、050 Freeの何よりの魅力だ。たとえば、電波状況が悪く、IP電話サービスの音声品質が不安定なときに、一旦電話を切って、電話回線の通話サービスですぐにかけ直すといったことが可能だ。

通話料はプリペイド方式でコンビニでもチャージ可能

それでは、050 Freeの使い方について紹介していこう。同サービスでは、月額基本料や初期費用は無料となっており、使った分の通話料をあらかじめチャージしておいた金額から支払うプリペイド方式を採用している。

料金をチャージするのに使用するのが、同社独自の"ブラステルカード"で、Webサイトから申し込み、クレジットカードでチャージできるほか、ファミリーマートやミニストップ、サークルKサンクスなどのコンビニで配布されている"ブラステルカード"を入手し、現金でチャージすることも可能

通話料をチャージする"ブラステルカード"はコンビニなどで入手可能

"ブラステルカード"を入手したら、050 Freeのクライアントアプリで登録を行う。iPhone、Androidスマートフォンで同サービスのクライアントアプリとして使用できるのが、Acrobits社の提供する「Cloud Softphone(クラウドソフトフォン)」で、App StoreまたはGoogle Playから無料でダウンロードできる。

同アプリのインストール後、IDに「brastel」を入力してサインインし、「かんたん設定」の手順に沿って"ブラステルカード"の情報を入力することで登録を完了できる。なお、クレジットカード払いであれば、"ブラステルカード"不要でアプリから申し込みを行い、登録することが可能だ。

IDに「brastel」を入力してサインインすることで、050 Freeの設定がダウンロードされる

「かんたん設定」の手順により"ブラステルカード"を持っていない場合でも登録が可能

なお、クレジットカードやコンビニでは、最小2,000円からのチャージとなるが、TIC TOKYOや銀座三越の外国人観光案内所など、ブラステル認証店であれば、最小500円からチャージすることができる。また、クレジットカード払いの場合は、残額が少なくなったら自動で再びチャージを行う"オートリチャージ"を設定することもできる。

登録が完了し、通話を利用できるようになった050 Freeの画面

050 Freeでの発信時には、最初に音声でチャージ金額の残高がアナウンスされ、残高を確認した上で通話することが可能だ。利用開始するまでに若干手間が必要になるものの、プリペイド方式のため通話料を使いすぎてしまうことがないのが同サービスのメリットと言える。また、コンビニなどで現金払いでチャージできるため、クレジットカードを持っていない人も安心して使うことができるだろう。

「050 Free」を提供するブラステルの強みとは

050 Freeを提供するブラステルは、日本人ユーザーには馴染みが薄いかもしれないが、在日外国人にはよく知られた国際電話サービスの事業者だ。同社は元々、在日ブラジル人向けに低料金で母国へ通話できるサービスを提供することを目的に設立された国際通信事業者であり、その後、コンビニで簡単にチャージできる"ブラステルカード"を導入したことで、一気に利用者数を拡大した。

一方、スマートフォン向けIP電話サービスを2011年3月に国内で最初に開始したのも同社であり、同年7月にサービスが開始されたNTTコミュニケーションズの050 plusなどよりも早い提供となっていた。このような国際色の豊かさと、先進性が同社の強みだと言える。 050 Freeが、1つのアプリで2種類の通話サービスを利用できるというユニークなサービスであり、なおかつ"ブラステルカード"を使ったコンビニ払いに対応していて、とくに国際電話の通話料が他社と比べて格安となっていることの背景が見えてくるだろう。また、同サービスでは、日本語や英語、ポルトガル語など多言語での音声ガイダンスやカスタマーサービスを提供しており、日本で暮らす様々な人々が利用できるサービスとなっている。 同社の担当者によれば、050 Freeの現在の利用者数の割合は、日本人と在日外国人で半々であり、「(スマートフォンの)通話料を削減したい人に広く使ってほしい」とのこと。なお、IP電話サービスであれば、MVNOサービスのデータ通信専用SIMでも利用可能であり、「050番号を持ちたいときにも最適」だと言う。

また、「国際通信事業者として、日本から海外に出て活躍する人も応援していきたい」とのことで、同社では、国内の電話番号への着信を海外に転送する国際転送サービスを提供しているほか、"ブラステルカード"の残高から海外のSIMカードに残高移行できる国際リチャージ、海外ギフトサービスなども展開している。

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ブラステルが提供するスマートフォン向け格安サービス、050 Freeについて紹介してきた。"050"番号を使ったIP電話サービスと、電話回線を利用した通話サービスを使い分けられるのが同サービスの特長であり、通話料の安さだけでなく音声品質にもこだわりたい人におすすめだ。また、国内通話はもちろん、国際電話の通話料も格安で利用できるため、海外で暮らす家族がいる人などにも最適なサービスだと言える。ぜひ、コンビニなどで"ブラステルカード"を入手し、050 Freeを試してみてはいかがだろうか。