声優として多くの作品で活躍し、さらにアーティストとしても主題歌タイアップなどで存在感を示す喜多村英梨が待望の2ndアルバムとなる「証×明 -SHOMEI-」が2014年4月9日にリリースとなる。
声優アーティストとして、その新たな世界観をみせつけた1stアルバム「RE;STORY」からおよそ1年半。「和」、そして「メタル」といったファクターを前面に押し出した2ndアルバム「証×明 -SHOMEI-」では、いかなるキタエリサウンドが展開されるのか? アルバムの制作過程や収録楽曲について、喜多村英梨本人が語ったメッセージを紹介しよう。
喜多村英梨が語る2ndアルバム「証×明 -SHOMEI-」の魅力
――1年半ぶりのアルバムになりますが、2ndアルバムを意識したのはいつ頃からですか?
喜多村英梨「自分の期待や目標という意味では、1stアルバムを出したときから、この世界に続きがあるのなら、次は『和』でいきたいと考えていました。役者として作品に関わりつつ、アーティストとして主題歌タイアップをリリースしてきたところに、1stアルバムという形で、初めてノンタイアップ的な作品を世に出したわけですが、その中で自分の好きなサウンドや、自分が本当にしたいことを打ち立てることができ、その反響、聴いてくださった方々の声が、勇気となり、自分のやりたいことを突き詰めていっても大丈夫という自信に繋がったんですね。自分の世界についてきてくれる人がいるぞって。なので、そのお礼というわけではないですが、次は、どこまでの自分に特化した、自分タイアップのような曲を引っ下げつつも、みんなが聴きやすいもの、聴きたいシーンのバリエーションが多い収録楽曲のアルバムを作りたいという希望を持ちました。なので、2ndアルバムを意識したのは、かなり早い段階ですね(笑)」
――1stアルバム「RE;STORY」の反響はかなり大きかったのではないでしょうか?
喜多村「声優という仕事をしていると、どうしても作品やキャラクターのイメージが先行してしまうので、中の人としてのイメージも、どの時期にどういう楽曲で私のことを知ってくれたかによって、大きく見え方が変わってくるということを『RE;STORY』では理解しました。声優という仕事をしていることで、楽曲やシーンのイメージに自分のニュアンスを落とし込むという作業は、もしかしたらアーティストさんよりも自分の強みになっていて、かなり幅広いバリエーションの曲を出すことができると思うんですけど、それは逆に言うと、バリエーションの中のひとつは、聴く人によってはハズレになるのかなって不安もあって……」
――ハズレになる不安ですか?
喜多村「例えばですが、『Happy Girl』が好きな人が、はたして『re;story』を好きになってくれるのかなっていう不安ですね。まったく異なる楽曲ですから。でも、声優さんが歌うキャラソンではなく、喜多村英梨というアーティストが歌う『re;story』を受け入れてくれる声をいただけたことで、時には作品に寄り添いながら、自分との融合を図っていくタイアップソングだけでなく、自分の好きなもの、いわゆる自分タイアップというところに特化した曲でも、良しとしてくれる人がいるということがわかって、だいぶ気が楽になりました」
――声優としてのバリエーションとアーティストとしてのバリエーションはやはり違ってきますよね
喜多村「そこはすごく難しいし、繊細なところだと思います。歌の場合、ラジオやイベントで話すのと違って、自分の想いをなかなかダイレクトには伝えられないじゃないですか。楽曲を聴いた人が先行してイメージを汲み取るので、自分のボーカルに対するニュアンスや声質の振り幅によって、自分の意図とは違う受け取り方をされるかもしれない。それはもしかしたらすごく怖いことかもしれないし、実際にレコーディングを行っているときも、スタッフの意向と自分の楽曲に対する未来にズレが生じて、『あれ? それだとキャラソンになりませんか?』ということもあったりしました。歌詞にしてもサウンドにしても、音作りにしても、声優さんだからキャラソンっぽいよねって言われると、じゃあキャラソンをやればいいということになってしまうじゃないですか。結局、キャラソンとしての良いコンテンツと声優アーティストとしての良いコンテンツの住み分けというのは、自分次第なのかもしれないとすごく繊細に考えるようになったので、今回の2ndアルバムの制作においては、そのあたりがややストレスになることもありました」