深センでのiPhoneの位置づけ

つい先日の3月中旬、中国の深センを訪問する機会があり、いろいろ面白い最新情報に触れることができた。多くが知るように、深センはハイテク工場の集積地帯であり、ある意味でiPhoneの故郷だ。

いまや中国最大の都市で、物価も中国としては最高水準の同国屈指の富裕層の集まる状態の深センでは、かつて「山寨機(さんさいき)」と呼ばれる偽物のコピー携帯端末が大量に出回り、現地の多くのユーザーに利用されていた。理由は正規品は値段が高く、とても普通の人々の収入では手に届かなかったからだ。

だが現在、深センの一般的な在住者の収入は大きく増え、街のモールにはブランド店が並ぶまでになった。携帯キャリアや端末メーカーも、これら収入の底上げされた人々を多くターゲットとするようになり、街から山寨機は消え去っていった。実際、公共交通の車内や街ですれ違う人々の端末を見ていると、操作しているのはiPhoneであったり、Galaxyの比較的新しい端末であったりといった具合だ。

中国の深セン中心部付近にある華強電子街。同エリアを南北に走る華強路に沿って携帯ショップやパーツショップの巨大なビルが立ち並んでいる電脳街だ

Huawei、Lenovoといった地場メーカーはもちろん、最近話題となっているXiaomiの端末を使うユーザーもあちこちで見かける。かつて山寨機を販売していた雑居デパートでは、現在はその多くが大量のアクセサリや修理用パーツを販売する商店の集合体に様変わりしている。つまり、中国でも日本などの先進国とそう変わらない携帯市場が形成されつつあるようだ。