今や“バーガーアイランド”と呼びたいほどの兵庫県淡路島。道の駅やレストランなど同島の飲食店では、百花繚乱のごとくご当地バーガーが妍(けん)を競い、バーガー目当ての観光客も急増中とか。2013年11月には何と、“3,000円バーガー”まで誕生してしまった。なぜ淡路はバーガーの島になったのか? 3,000円バーガーって一体どんなバーガー?
「淡路ビーフにもっと光を」
瀬戸内海に浮かぶ“国生み神話”の島・淡路島。四方に広がる瀬戸の海、温暖な気候、豊かな海の幸などにひかれてこの島を訪れる人は多い。そんな観光客がびっくりするのが、島の全域にオリジナルのご当地バーガーを売りにする飲食店が多いことである。人呼んで淡路“バーガーアイランド”。だが、なぜバーガーなのか?
淡路島の食と言えば、海の幸や手延べ素麺(そうめん)などが真っ先に思い浮かぶが、特選グルメ素材はそれらばかりではない。タマネギやレタスなどの野菜類、それに淡路ビーフも忘れてはならない。淡路島は淡路牛と呼ばれる黒毛和牛の一大産地。赤身にほどよくサシが入り、ヘルシーでありながら舌にとろけるまろやかさのある淡路ビーフは、知る人ぞ知る最高級の牛肉なのだ。
「ただ、神戸牛や松阪牛に比べると、淡路ビーフは全国的な知名度が今ひとつ。そこで、淡路ビーフのブランド力を高めていこうと考えだされたのがバーガーだったんです。バーガーなら、牛肉、さらにはタマネギやレタスなど、淡路の自然が育んだおいしさを全てぎゅっと詰め込むことができますから」。
こう語るのは、南あわじ市商工会の「オニオンキッチン」プロジェクトでバーガーアイランド戦略の陣頭指揮を執った森本祐一さん。森本さんたちの開発した「あわじ島オニオンビーフバーガー」は、ご当地バーガーの祭典「とっとりバーガーフェスタ2011」で第2位に入賞、更に2013年には見事に第1位の栄誉に輝いた。
「この受賞をきっかけに2012年に「淡路島バーガー協議会」を設立し、島内の飲食店や観光施設に呼びかけまして、それぞれの店のオリジナルバーガーを淡路島バーガーとしてひとつにまとめたんです」。
それから2年、協議会に加盟するバーガーショップは全9店に増え、前記の「あわじ島オニオンビーフバーガー」の他、「プレミアム島バーガー」「タコぷりバーガー」「淡路牛カツバーガー」「ゴールデンハンバーガー」「じゃのひれバーベキューバーガー」「淡路牛バーガー」「淡路島ハーブハンバーガー」など多彩なバーガー・ラインナップとなった。
●information
イングランドの丘
アイドルユニット「淡路島ハンバーガール」も誕生
そんなラインナップに2013年9月に新たに加わったのが、1個3,000円の「前略、道の駅バーガー」だ。「あわじ島オニオンビーフバーガー」を販売する南あわじ市の、「道の駅うずしお」の新メニューである。
マクドナルドの1,000円ハンバーガーも形なしのびっくり価格だが、淡路ビーフのステーキを、それも250gの超ボリュームのステーキをサンドしていると聞けばそれも納得である。
「正直、3,000円でも実は採算がとれていません。食べていただいた方に淡路ビーフのおいしさを実感していただきたい、そんな思いで企画したバーガーなので、それもいたしかたないかと……。さすが淡路ビーフとお客様には大変好評です」(道の駅うずしお・金山宏樹さん)。
金山さんによれば、発売月の9月にはわずか5個にすぎなかった売れ数だが、10月には36個、11月になると193個、12月は108個と順調にその数を伸ばしているとのことである。年に5万個という「オニオンビーフバーガー」には比較にならないが、十分な健闘ぶりと言えるだろう。
淡路バーガー協議会では、2013年から「淡路島ハンバーガール」という名のご当地アイドルユニットも誕生させて、更に積極的に“ハンバーガーアイランド”淡路を全国に発信中だ!