近年のオリジナルアニメーション(=原作なしアニメ)のヒットの一角を担っている「TIGER & BUNNY」。2月8日には2012年のTVシリーズ後初となる完全新作『TIGER & BUNNY -The Rising-』(以下、『The Rising』)が公開される。
今回は、「タイバニ」というヒット作の特徴のひとつである、ヒーロー物としては「型破り」なストーリー展開やキャラクター造形について、脚本を担当する西田征史氏にお話をうかがい、同氏の魅力的な物語を生み出す手法に迫っていく。
――タイバニはジャンルとしてはいわゆるヒーロー物と言えますが、日本の代表的なヒーローで戦隊物などとはかなり構図が異なります。まず、戦隊ものであれば「赤」を担うような物語の中心となる人物をひとりに定めず、主人公を「バディ(男同士の仲間)」にしたのはなぜなのでしょうか?
監督やプロデューサーからお話をいただいた時に、バディを軸とした話であることは決まっていました。で、30代~40代以上の男が胸を熱くできる物語を書いてほしいということでしたので。だから、バディを選んだ理由というところにはあまり僕は関与していないんです。
――それでは、虎徹とバーナビーをこのようなキャラクター造形にした意図は?
それはやはり、対比となるふたりを配置したかったからですね。虎徹はベテランだけどどこか抜けていて、一方バーナビーは若手なのにしっかりしている。ふたりでいると、虎徹の立場が無い感じがあるじゃないですか。そのアンバランスさと、ふたりの距離感が変化するのを楽しんでもらえる物語にしたほうがいいだろうと考え、じゃあ、こういう性格のコンビはどうかな、と思いついて。
――西田さんが脚本を担当する上で、特に工夫した部分は?
んー、虎徹とバーナビーのNEXT能力を同じにしたことですかね。この部分についてはすごく悩みましてた。性格も対照的なので能力も対照的にしようかとも考えていたんですが、その日、打ち合わせに向かう道すがら車を運転しながら、「逆に、ふたりの能力を同じにしたら面白いかもしれない」と思いつきました。同じ部分があることで、ふたりのライバル感だとか、差がより出るのではないかと。
――なるほど。ほかのヒーローは皆能力がバラバラなのにバディだけが能力が同じなのはそういう理由があったんですね。