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Naked Securityにオンラインプライバシーに関する示唆に富んだ興味深い記事「Report from the future: Data Privacy in the year 2044」が掲載された。1月28日が「データプライバシーデー(Data Privacy Day)」だったことを受けて掲載された記事で、30年後の2044年1月28日のオンラインプライバシーの状況を報告するという体の記事になっている。30年後にこうなっているという状況を示すことで、現在の活動についてもっと真剣に考えようと投げかけるようなストーリーになっている。

記事の内容は2013年に発覚した米国家安全保障局(NSA)の過剰監視に関する問題を契機としてオンラインプライバシーの関心が高まったこと、当時の企業がオンラインプライバシーに関してどのような活動を行っていたかの説明、それに対してどのような対応が取られてきたのかという、いわば現在の状況を未来人の視点から俯瞰しながら説明するといった内容になっている。

ストーリーの落ちは最後の方にまとめられている。落ちを要約すると次のようになる。「2014年にデータプライバシーデーで声をあげた活動家は状況の一変ぶりに喜ぶだろう。何せ現状、検閲は事実上不可能だ。現在ではオンラインプライバシーは危険防止(セイフティ)という観点と緊密に結びついており、対象とする個人が信頼できるかどうか判断するための情報にはいつでもアクセスできる。プライバシーが、不正行為を隠蔽できるといった考えを含む安全保障(セキュリティ)という考え方と結びついていたのはもはや過去の話だ。結局のところ、隠す必要もないのに、なにを隠すっていうんだい。」

安全という観点をSecurity(安全保障)からSafety(危機防止)という観点に置き換えて、「安全のために個人情報は隠すことなく公開する」といった未来像を描いている。ユートピアなのかディストピアなのか考えさせられる内容になっており興味深い。記事の最後には2014年本来の視点から「もちろん、未来はこのようにはならないだろう」と説明した上で、プライバシーについてよく考えて欲しいと説明している。